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テーマ:■ムービー所感■(484)
カテゴリ:日本映画
しばらく日記を休んでいるあいだ、熱を出して、しぶしぶ臥せっておりました。 先月末から、来客が続いて疲れがたまっていたのでした。 仕事も春から新体制で、休むにやすめず。 熱をおして出歩いて、休息する暇をみつけられずに、だらだらと悪化させてしまったのだけれど、ようやく今日あたりから本調子です。 これから書こうと思っている3作品、ひさしぶりなので長くなってしまいますが、どうぞお付き合いくださいませ。 『探偵物語』 1983年 アメリカ行きの決まっている令嬢・直美は、ボディー・ガードの私立探偵・辻山を巻き込み、殺人事件の容疑者として追われている、辻山の別れた妻を匿ってしまう。 警察とヤクザを敵に回し、危険な捜査を開始するのだが――。 直美のお嬢様な暮らしが、とりあえずいい。 常識を超えた行動とワガママで、経験豊富な辻山を振り回していくところは好みなわけだけれど、まだ大学生の直美には立ち入れない、大人の世界もたしかにあって、そのあたりの切なさも見逃せない。 胸キュン (暫く休んでいたせいでいつもの自分取り戻せず、、、) ともかく、辻山の元妻は、暴力団幹部の愛人で、いつも密会しているホテルでその男は何者かに殺害されていた。当然疑いは元妻に向くが、事件の真相は意外な展開をみせる。 80年代の邦画の濃さは、とても魅力的だと、わたしは思う。 昼下りのドラマ並みに濃い、人々の愛欲と愛憎の図は、ピュアな薬師丸ひろ子の不思議ちゃんな演技によって中和されていく。 童顔な薬師丸ひろ子が、それでいてなぜに現代の歳頃の女優さんにはないエロチックさを湛えているのか、、。 何作か観た後で、けしてガリではないぽっちゃりとした可愛らしさと、おちょぼな唇と、目の下の黒子かな、と結論づけてみた。そしてそれ以上に、エキセントリックな演技が、観る人をさらに魅了するのだろう。 絵に描いたようなラストシーンがまた胸キュンなのだった。 すべてが解決したあとで、父の待つアメリカへと旅立つ直美と、小娘だと思っていた直美にいつしか惹かれていた辻山の別れのシーン。勇気を振り絞って告白した直美を、がんばって突き放した辻山の切ない表情といったら、、! そして、成田空港での絵になる切ないキスシーン。 30センチの身長差にもうキュンキュンしまくり (まだ取り戻せず、、、) 振り向きもせず気丈に旅立った直美の清々しさと、立ち去れずに佇む辻山を映し続けるエンドロールが秀逸だ。 監督 根岸吉太郎 製作 角川春樹 原作 赤川次郎 出演 薬師丸ひろ子 秋川リサ 岸田今日子 松田優作 (カラー/111min) 『セーラー服と機関銃』 1981年 これはもう、いうまでもなく有名すぎて。 「か い かん」 名台詞ここにありき。 死んだ父がヤクザだったため、父の代わりに組長にされてしまった女子高生・泉の、破天荒な活躍ぶりを描いた物語。 御相手役は渡瀬恒彦。いかにもヤクザでキザで、濃いぃ。 内容は、もうハチャメチャで、はっきりいってどうでもよかった。ヤクザもの映画が得手じゃないので、なおさらつらい2時間。 そんなわたしを救ってくれたのは、いまでは名優(いや、名バイプレイヤー)と呼ぶに相応しい大好きな役者さんたちの、若かりし日々の姿だ。 組員役の酒井敏也さんと、同級生役の光石研さんは、岩井俊二作品で好きになったお二方。こんなお若い姿を拝見したのは初めて。しかも酒井さんは本編がデビュー作なのらしい。 それから柄本明さんのギラギラした刑事役など、垂涎ものだと思う。 物語自体は、申し訳なくもほんとうに退屈で、観終えるのがやっとだったのだけれど、いいシーンだなというのを挙げるとすれば、マユミ役の風祭ゆきさんがブランコに乗ってる場面かもしれない。 マユミは、泉の父親の生前の恋人であり、組長の娘。犯罪歴ある擦れてくたびれた大人の女で、遺言に従って、すこしの間だけ泉と一緒に暮らしたりなんかする。 彼女がひとり、痩せた体でブランコを漕いでるシーンはなにやら哀愁漂い切なかった。 忘れてはいけない。いいシーンといえば、薬師丸ひろ子のスローモーションな名セリフ「か い かん」も重ねて書いておかなければならない、気がする。 監督 相米慎二 製作 角川春樹 多賀英典 原作 赤川次郎 出演 薬師丸ひろ子 渡瀬恒彦 風祭ゆき (カラー/112min) 『Wの悲劇』 1984年 これは名作だと思う。甘い酸っぱいを越えた、ひとりの女性の成長記であり、演劇界を舞台としたバックステージものとしても見応え十分。 胸の苦しくなるくらい爽やかな、切ないラブストーリーのお相手は、若かりし世良公則、ステキです。 本編をわたしにおすすめしてくれたのは、なにを隠そう江頭2:50のエィガ本なわけですが、「エガちゃん! ありがとう!」と素直に言ってみる。 舞台女優を目指す静香は、劇団“海”の研究生。小さな役で臨んだ大阪公演の幕が開けたその夜、静香は劇団の看板女優・翔(三田佳子)の部屋で、彼女のパトロン・堂原が死んでいる現場を目撃してしまう・・・。 ああ、ここまで書いてきて、ひさしぶりで疲れてきた。。おもしろかった映画の感想なのでサイゴまで頑張って書きます。読んで下さっている方もお疲れでしょう。お付き合いくださってありがとう! (あともう少しデス) 舞台女優の卵・静香は、誰もいない深夜の野外劇場で、不動産屋に勤める昭夫という青年と知り合った。昭夫の熱烈な誘いで、いつしか付き合うようになったふたりは、順調に愛を育んでいく。 しかし偶然、看板女優・翔の部屋で彼女のパトロンである堂原の死体を目撃した静香は、翔から、ヒロイン役の交代を餌に、堂原を自分の部屋で死んだことにするよう頼まれ、それを引き受けてしまうのだった・・・・。 堂原の愛人として、一躍有名人となった静香に、戸惑いを隠せない昭夫と、真実を話せない苦しい静香の思い。 それでも、世間に注目され、東京公演から『Wの悲劇』の主演女優に抜擢された静香は、少しずつ昭夫のことよりも、夢に見た主演女優としての喜びに浸っていく。 本編と並行して、観客の目を楽しませてくれた劇中劇『Wの悲劇』もさることながら、なによりもこの作品では薬師丸ひろ子が魅力的だ。真の舞台女優となった彼女がカーテン・コールをするシーンなど、鳥肌がたつような臨場感がある。 劇場を出た静香と、公演を観に来ていた昭夫の身に起こる悲劇もまた、Wの悲劇というべきか・・・。 いつかふたりで暮らそうと話した広いアパートで、再会した静香と昭夫。ふたりは、もう未来を決めている。 立派な女優となった静香を引き留めることなく、優しく見送る、なんとも清々しい世良公則が至極ステキなのだった。 夢を掴み、これから女優の道を歩み始める静香の可能性の大きさや、そのために諦めた愛の大きさを想う時、切ない涙が落ちてしまうのだった。 監督 澤井信一郎 製作 角川春樹 原作 夏樹静子 出演 薬師丸ひろ子 世良公則 三田佳子 (カラー/108min) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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