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カテゴリ:本
三浦しをんさんが紹介してたこちら。もう! 読み終わるのに苦労したこと。 登場人物の名前からしてメンドウで。白妙(しろたえ)、双葉子(ふたばこ)、たをやめ、丹生持節(にふよしとも)、遠笛裔秀(とおぶえすえひで)・・・・・・・・。 これでもかというほど箇条書きが登場して、あらゆる読み物の引用が多くて、わりと最近の本とはいえ、作者が1919年生まれというのもあって、古風、奥ゆかしい、笑ってしまうくらい真面目。 博読家で、古今東西あらゆる小説を自在に駆使する、とにかく濃いい、めんどぅな一冊だった。いや二冊だった。 (あらすじ) 1985年7月、麻田布満は埼玉県与野市の彼の住所から失踪した。1997年4月、彼は北海道釧路市の病院で目覚める。名前は秋山信馬とされ、12年間の記憶が失われている。「冤罪・誤判」とされた、2つの殺人事件を通して描かれる、人間と社会のあるべき姿とは――。 覚醒した麻田(秋山)が、ある事件の大切な証人である自らの立場を知り、記憶喪失に苦悩し闘う姿が描かれている。 そして、その根底にあるのは、国家とマスメディアが振り回す権力にたいする問題提起、らしかった。 登場人物は、みんなインテリ。解説の鎌田哲哉氏が、「彼らのなかに入って一緒に論じあえたら・・・」というようなことを書いてらしたけれど、インテリさんなら会話シーンなどおもしろくて仕方がないのだろう。 引用される作品には、ガルシア・マルケスの「予告された殺人の記録」や、チェーホフの「犬を連れた奥さん」、冒頭の方では村上春樹の「羊をめぐる冒険」が批判されていたりして、ここ最近耳に触れたタイトルも、少しはあった。 これが、引用作品をほとんど知っているなら、きっとおもしろさ倍増だろうと思う。 主人公がマジメすぎて笑えるって、、それもどうかと思うが、改めて三浦しをんさんの紹介文を読んでみても、おなじところで笑ってて安心した。 「三四郎はそれから門を出た」に紹介されています。 最近、やや下ネタに近づく傾向があるので、ここでは書かないでおこう。 タイトルにもなっている、ニーチェの引用。 <深淵を覗きこむと、深淵もまたあなたを見返す> これはたしか、『アビス』の冒頭にも使われていて、懐かしい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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