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2011.05.25
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カテゴリ:日本映画
334821_01_08_02.jpg
 鉄男シリーズに新作、しかも海外進出というニュースを耳にしたとき、うれしかった。
結局、調節がうまくつかず、製作に名乗りをあげるいい会社も見つからなくて、いつもの
スタイルになってしまったそうだが、塚本節は健在。
主役にアメリカ人のエリック・ボシックを迎えて、全編ほぼ英語。
激しい怒りとともに鋼鉄の肉体へと変貌していく男の姿を、変わらないパワフルさで、スピ
ードフルに描いていく。
 
『鉄男TETSUO』が生まれたのは1989年。世界各国で上映され、絶賛されたサイ
バー・パンク・ムービーは、これがシリーズ3作目。
 舞台は東京。とある企業に務めるアメリカ人のアンソニーは、妻と息子と3人で幸せに
暮らしていた。だがある日、最愛の息子を、謎の男(塚本)に誘拐され殺されてしまう。
絶望のなか、息子が殺された理由を追う彼は、悲しみに壊れた妻の責め苦に冷静さを
失いながらも、やがて解剖学者だった父が関わっていた“鉄男プロジェクト”に辿り着くの
だが―――。
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鉄男シリーズの醍醐味は、理屈などない、かくもおぞましき怒涛の展開に引き込まれて
いく、そういう無二の映像体験にあった。
20年を経た新作は、すっかりストーリーと背景をまとい、長い歳月のなかで身に付けた
様々な映像手法や感性によって立派になって、当然あのころの強烈さや、熾烈を極めた
撮影風景の息吹のようなものは薄れてしまっている、、。それは仕方のないことなのだ。
その間、塚本氏は家庭を持ち、すっかり一児の父親に。守るべきものを持った、これか
らの更なる進化が楽しみだ。
ギラギラ時代を通り過ぎ、これからは、もっと『ヴィタール』で描いた形而上的な世界観を
、変わらないビジュアルで見せてくれそうな予感がする。
 
いままで、あまり気に止めてこなかったけれど、いつも塚本作品の音楽を手掛けてきた
石川忠さんによるテーマ曲を聞いた時、自然とわくわくする自分がいた。これから始まる
ぞ!というわくわく。
意識して聞くと、相性の良さが、すごくよくわかる。 
 
自身の身体が鋼鉄に変化していく――恐怖と怒りに支配された男の運命は、受容する
ことによって救われていく。監督のやさしさを感じるラストがいい。
ヤツという名でキレた役を熱演する塚本氏は、やはりキチガイじみてて素敵なのだった。
 
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原作・監督/ 塚本晋也
脚本/ 塚本晋也  黒木久勝 
撮影/ 志田貴之  林啓史 
音楽/ 石川忠 
出演/ エリック・ボシック  桃生亜希子  中村優子  塚本晋也
(カラー/71分) 





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Last updated  2011.07.21 00:07:17
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