原作が好きなので、期待しないようにして劇場へ足を運んだ。
敬愛する作家・佐々木丸美さんの本で仏教をすこし知りたくなって、遠藤周作さんの『深い
河』で、ぜったいインドに行こうと思ったのだけれど、出発前、この『ブッダ』を読んで
こころの準備をしたくらいに好きなのだった。
長大な原作を、三部作で映像化。第一作目のこちらは、釈迦族の王子シッダルタの誕生か
ら僧として旅立つところまでが描かれる。
原作どおりにチャプラやタッタのストーリーも、同時進行する。
原作にはたしかに忠実だ。けれども、いかんせんキャラクターデザインが別物となってしま
って、とても残念。
宮崎アニメ風ドラマチックさもなく、原作のロマンも感じず、正直眠くて眠くてしかたがなかっ
た。
手塚作品の主人公たちは、たいてい生に苦しんでいる。そこが好きなものにとっては、たっ
たひとコマふたコマに凝縮されたドラマを愛着持ってみているのだけれど、映像となったら
失われているなんて、、あの深みは何処へやら、、。
絵の好きキライはとりあえず置いておくとして、エンディングテーマ曲がX JAPANのバラー
ドというのは、ちぐはぐしていると思う。
† † †
監督/ 森下孝三 演出/ 古賀豪
原作/ 手塚治虫 脚本/ 吉田玲子