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テーマ:■ムービー所感■(484)
カテゴリ:イギリス映画
同性愛や殺人といった醜聞に満ちたバロック絵画の画家ミケランジェロ・メリージ・ダ・ カラヴァッジオ、(1571年~1610年)の一生を映画化。監督は、画家・美術監督から映 画監督へと転身したデレク・ジャーマン。自らもゲイであったジャーマン氏は、1994年、AI DSによる合併症で死亡している。
アーティストらしい目線で捉えられたシーンの、絵になること。深い陰影が中世の重厚な空 気感を見事に再現している。おどろおどろしく、甘美に力強く、ベットリと張りつく様に、幻 想と史実の狭間に画家の生涯を閉じるまでが描かれていく。 驚くのは、当時を見事に再現したなかに、なにげなく挿入されている現代の小道具たちの 数々。洋服、計算機、タイプライター・・・・そこに生まれる違和感さえ作品の一部になって しまう手腕。 市井の人たちを多くモデルにつかったという、カラヴァッジオ。一目惚れした青年をモデル に起用し、娼婦である彼の恋人まで面倒みながら、金に飽かせて退廃的に生きた男。 そんな彼の生涯を、最後まで支え見つめ続けるのは、幼くして彼の元に買われて来た唖 の青年――。 彼は父親のようにカラヴァッジオを愛し、寄り添い、身の回りの世話をしながら、画家の生 き様を見つめている。その静謐な眼差しがあまりにも美しい存在感を放っている。
こちらも『死ぬまでに観たい映画1001本』のなかの一作。わたしが手に取ったきっかけ はこれだけれど、カラヴァッジオという画家を知るために観るのも為になりそう。作品を映 像に取り入れているので、よりリアルに異端の画家について学べる構成となっている。た だ構図は同じでも、筆致だけは、意図してかまったく別物だった。 長回しに眠気を誘われるのが玉に瑕か。 (イギリス人監督のイギリス映画ゆえ、イタリア語ではなく英語なのもちとおしい)
撮影/ ガブリエル・ベリスタイン 音楽/ サイモン・フィッシャー・ターナー 出演/ ナイジェル・テリー ショーン・ビーン デクスター・フレッチャー お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2011.07.14 22:20:06
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