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テーマ:■ムービー所感■(484)
カテゴリ:日本映画
吉田喜重監督が日本航空と提携して製作した作品。 男女の会話劇、繰り返される独白、原爆というキーワード。否応なく『二十四時間の情 事』を思い出す。 う作品といっていいのだろうか。。訪れる都市は、ポルトガル、スペイン、フランス、スウェ ーデン、デンマーク、オランダ、それにイタリア。ヨーロッパ映画のような情緒あふれるロー ドムービーとなっている。主演俳優2人と6人のスタッフのみで、旅しながら撮影されたとい う。
学生の頃、長崎の博物館で見た写生画のカテドラルに心を奪われ、その原型を探しに 旅に出た川村(横内)。辿りついたリスボンで、買い付けの仕事をしている直子(岡田)と 出会い、恋に落ちる。しかし彼女にはアメリカ人の夫と、そして、消し去った過去があっ た――。
故郷を捨てた女と、旅先で恋に落ちた男。詩的な会話が、異国情緒漂うなかで繰り広げら れていく。監督の妻、岡田茉莉子の美しさが、ひと際きわ立っていた。 何度別れても、幾つもの国々で、おかしなくらいに再会を重ねるふたり。 ありえない――そう思いながらも、気がつくと、旅先の風景に心奪われ心絆され。ストーリ ーは二の次の、非現実を漂うロードムービーが、いいなと思う。 "長崎"。この街で直子は、母と弟を失った。終戦の夏から、帰る故郷をなくしたと信じる 直子の悲痛な嘆きは、川村の一途な想いを受けても癒すことはできなかった。 すでに冷めている夫との別離を決意したのも、新しい愛のためじゃなく、かりそめの夫婦 関係から自分を自由にしただけ、、さらに深まるだろう彼女の孤独が、強さと美しさに彩ら れながら深まっていく。 凛としたカッコいい直子こそが、本作の主人公。ひと夏の旅は、静かに終わりを告げてい く。 戦争と原爆にしっかり焦点をあてていた『二十四時間の情事』とは、根本は違っているの でくらべまい。どちらも好きな作品だと思う。 どこかへ旅したくなること必至。それは魅力な、歴史ある建造物と街並が目を楽しませてく れるから。
脚本/ 山田正弘 長谷川竜生 吉田喜重 音楽/ 一柳慧 出演/ 岡田茉莉子 横内正 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2011.07.20 20:39:50
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