|
テーマ:■ムービー所感■(484)
カテゴリ:日本映画
『めがね』以来となる、ひさしぶりの荻上直子監督最新作。やっぱりいいねー。 製作チームはおなじでも、荻上監督が作るものはだれにも真似できないし、文句なしにい い。
(あらすじ) 問題だらけでバラバラな3兄妹、モーリー、レイ、リサは、母親が亡くなって 実家で同居することになった。実家には母が亡くなる直前、日本から呼び寄せた祖母 の"ばーちゃん"がいるのだが、彼女は英語が喋れず自室に籠りっきりだ。しかもトイレが 長く、出てくるたびに不思議な長いため息をつく・・・・。 ちょっとおかしな家族が、深い絆でむすばれる姿をユーモラスに描いた快作。
引きこもりでピアニストの兄モーリーも、厭世的でプラモデルオタクの弟レイも、勝ち気な 妹リサも、みんな可笑しくも愛おしい人々。好き勝手して、互いをうまく労わってあげられな かった兄妹たちがいつしか変わっていくのは、怒るでも悲しむでもなくただ静かにいてくれ る"ばーちゃん"のおかげ。 「ほんとうの自分で、おやんなさい」 そんなことひと言も発していないのに、佇まいと眼差しで語りかけるもたいまさこの圧倒 的な存在感がサイコーにステキです。彼女の包容力はもはやミラコー。
兄妹みんなどのエピソードもとてもいい。たとえば、モーリー(写真・左)は、母の形見の古 びた足踏みミシンを"ばーちゃん"に直してもらい、作りたいものがある!と、4年ぶりに外 出する。パニックになりながら必死になって買ってきた可愛い布で、彼が縫ったものとは ・・・・・!! (驚) 結局、この作りたかったモノのおかげで、彼の心の病は癒されて、再びピアノを弾くことが できるようになる展開が好き。 So クール!
論理的なオタクのレイにつきまとう、3000ドルの誘惑もじつにたのしい。 血の繋がりを感じられない"ばーちゃん"をDNA鑑定するのに3000ドル。どうしても欲し いプラモデル3000ドル。車の修理費3000ドル。・・・・もっとたくさんの3000ドル。 彼が最後になにを選ぶのか、予想もつかなかったサプライズ、そしてタイトルのトイレット まで、一気にみせてくれる、爽快な後味と小気味良いオチ。
どのシーンもたまらなく好きで、曇り空さえいとしかった。 選び抜かれたセットや小物は、いつもながら凝視したくなるほどに魅力で、食べ物のシー ンも相変わらず上手くて、ギョーザと瓶ビールと煙草がすごく美味しそう。 ほんわか切なく、とびきりユーモラス、何気にロックな魂でもって描いた家族の絆の物語 は、ひょっとすると『かもめ食堂』より好きかもしれない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[日本映画] カテゴリの最新記事
|