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2011.08.05
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カテゴリ:日本映画


336358_01_01_02.jpg

 『めがね』以来となる、ひさしぶりの荻上直子監督最新作。やっぱりいいねー。

製作チームはおなじでも、荻上監督が作るものはだれにも真似できないし、文句なしにい

い。

 

 (あらすじ) 問題だらけでバラバラな3兄妹、モーリー、レイ、リサは、母親が亡くなって

実家で同居することになった。実家には母が亡くなる直前、日本から呼び寄せた祖母

の"ばーちゃん"がいるのだが、彼女は英語が喋れず自室に籠りっきりだ。しかもトイレが

長く、出てくるたびに不思議な長いため息をつく・・・・。

ちょっとおかしな家族が、深い絆でむすばれる姿をユーモラスに描いた快作。


336358_01_02_02.jpg

 

引きこもりでピアニストの兄モーリーも、厭世的でプラモデルオタクの弟レイも、勝ち気な

妹リサも、みんな可笑しくも愛おしい人々。好き勝手して、互いをうまく労わってあげられな

かった兄妹たちがいつしか変わっていくのは、怒るでも悲しむでもなくただ静かにいてくれ

"ばーちゃん"のおかげ。

「ほんとうの自分で、おやんなさい」

そんなことひと言も発していないのに、佇まいと眼差しで語りかけるもたいまさこの圧倒

的な存在感がサイコーにステキです。彼女の包容力はもはやミラコー。


336358_01_06_02.jpg

 

兄妹みんなどのエピソードもとてもいい。たとえば、モーリー(写真・左)は、母の形見の古

びた足踏みミシンを"ばーちゃん"に直してもらい、作りたいものがある!と、4年ぶりに外

出する。パニックになりながら必死になって買ってきた可愛い布で、彼が縫ったものとは

・・・・・!! (驚)

結局、この作りたかったモノのおかげで、彼の心の病は癒されて、再びピアノを弾くことが

できるようになる展開が好き。 So クール!

 

論理的なオタクのレイにつきまとう、3000ドルの誘惑もじつにたのしい。

血の繋がりを感じられない"ばーちゃん"をDNA鑑定するのに3000ドル。どうしても欲し

いプラモデル3000ドル。車の修理費3000ドル。・・・・もっとたくさんの3000ドル。

彼が最後になにを選ぶのか、予想もつかなかったサプライズ、そしてタイトルのトイット

まで、一気にみせてくれる、爽快な後味と小気味良いオチ。

 

どのシーンもたまらなく好きで、曇り空さえいとしかった。

選び抜かれたセットや小物は、いつもながら凝視したくなるほどに魅力で、食べ物のシー

ンも相変わらず上手くて、ギョーザと瓶ビールと煙草がすごく美味しそう。

ほんわか切なく、とびきりユーモラス、何気にロックな魂でもって描いた家族の絆の物語

は、ひょっとすると『かもめ食堂』より好きかもしれない。

ビバ! 荻上監督!


(カラー/109min/日本=カナダ)







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Last updated  2011.08.09 16:41:18
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