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テーマ:■ムービー所感■(484)
カテゴリ:多国合作映画
チネチッタ撮影場を舞台に、フリッツ・ラングが「オデッセイア」を製作するという設定で、脚本家の夫とその妻の断絶をシニカルに描きだす――。 私生活で、妻アンナ・カリーナとの仲を悩んでいたゴダールが、原作に自身の苦悩を投影して撮った作品だとか。 ふつうなら感情的になりそうなものを、観念的に昇華して一切感情移入させないのがスタイルか。 罵り、手をあげたりする場面はあっても、なんにも感じない。この断絶感とか、ポップさと辛辣の同居するチグハグさが、まさにゴダール。 舞台となったカプリ島にあるマラパルテ邸は有名な建物で、海辺の断崖はふたりの諍いの場面にぴったりだった。 夫がプロデューサーに卑屈になることを妻は許せない。嫌悪を露わに軽蔑するのだが、そんな彼女だって、アメリカ人プロデューサーに思わせぶりな態度をとって夫に見せつけたりする・・・・なんだかなぁなノリなのだ。 とはいえ、たかが夫婦の諍いと侮れないのがゴダール作品。各国の業界人を登場させて、ハリウッド化のすすむヨーロッパ映画に警鐘を鳴らしているのです。 舞台はイタリア、夫婦はフランス人、フリッツ・ラング(ご本人)はオーストリア生まれの名監督、アメリカ人プロデューサーは「シェーン」の俳優ジャック・パランスが演じている。 劇中映画を撮るラングの撮影風景と、意味深長な台詞も第二のみどころ。 脚本家の妻を演じたブリジット・バルドーのしなやかなヌードが綺麗だった。色気たっぷりな面立ちと肢体は超セクシイ。 彼女の辛辣なデッドエンドだけがちょっとショックとはいえ、あまりにさり気なく幕が下りることに、かえって感心してしまう。 監督・脚本/ ジャン=リュック・ゴダール 原作/ アルベルト・モラヴィア 音楽/ ジョルジュ・ドルリュー 出演/ ミシェル・ピッコリ ブリジット・バルドー ジャック・パランス フリッツ・ラング (102分/フランス=イタリア=アメリカ合作) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2011.08.19 21:42:30
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