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行きかふ人も又

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2011.12.10
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カテゴリ:日本映画
  これは相当おもしろい。ほぼ主役の4人しか登場しない、絶妙な笑いと奇妙な間がなんともいえないおかしみを生むブラックコメディ。
変人たちの織りなす愛と復讐の人間ドラマは、変態チックで、オタクぽくて。突き抜けたどうしようもなさが愛おしい。 

 (あらすじ) とある古びた平屋の集合住宅、他人の機嫌を窺って生きる奈々瀬(美波)は、同居の男・英則(浅野)を、兄でもないのになぜか“お兄ちゃん”と呼んでいる。ある日、近所に、番上(山田)と妊娠中の妻・あずさ(小池)が引っ越してきた。あずさは奈々瀬の高校時代の同級生だった。番上夫妻の出現は、奈々瀬と英則の関係に少しずつ変化をもたらすのだが――。

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原作は舞台劇らしく、物語展開はほぼ集合住宅のみ。場面づくりの妙と人の魅力で、一気に見終えてしまった。この4人のキャスティングがとにかく絶妙で、怪演妙演のオンパレードだった。
ひとに嫌われたくなくてへつらって生きる奈々瀬の悲しい性はともかく、登場シーンからしてハンパない引きなのだ。彼女のめんどうくさい生き方に巻き込まれた3人が、それぞれに葛藤と復讐と愛を昇華させて殻をぶち破って生き直してくまでを、巧妙な脚本でぐいぐい描き倒す。

とにかくみんなヘンテコ。子どものころ奈々瀬に両親を殺されたと信じている英則は、軟禁状態に置くことで奈々瀬に復讐をしている。しかも屋根裏から彼女のことを覘いたりするヘンタイ。
越してきた身重のあずさは、奈々瀬のことをなぜか憎悪していて、それは過去に彼氏を寝盗られたからなのだが・・・・またしても夫の番上を寝盗られてしまう・・・・。

相手の機嫌を窺うから「YES」も「NO」も言えず、ただ愛想笑いしかできない奈々瀬は、不幸を呼び寄せてさらにどん底に堕ちていく。演じる美波がかわいすぎて、とても幸薄げには見えないが、憎めない主人公を好演している。絶対友達にはなりたくないけれど!
4人がそれぞれにはじけていて、邦画もまだまだ捨てたものじゃないなーと思った。
接吻』がとても好きだった小池栄子の存在感、山田孝之の滑稽さ、浅野忠信の変態度合、美波の異彩、個性炸裂の一本。

ひさしぶりに容赦ない惹かれようだったなー。すごくおすすめ。



   監督・脚本  冨永昌敬
   原作  本谷有希子
   音楽  大谷能生
   出演  浅野忠信  美波  小池栄子  山田孝之
 
   (カラー/97min)





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Last updated  2011.12.11 07:40:42
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