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テーマ:今日のこと★☆(105751)
カテゴリ:オーガニックな話題
感情の起伏の激しい録音の一日でした。 雑多な人々の集まる東京とは違い 関西のオーケストラは純粋培養的な部分も多く、 外部からの人間に神経質になる…と聞いた事があります。 今回、そういうことは全く感じないでレコーディング中 過ごしましたが、他の曲が三枝成彰、前田憲男と日本を代表する 超ベテラン作品がぞろぞろと並び、あきらかに私の作品は記譜の仕方が 甘く、そこが録音時に確実に時間がかかってしまうのでした。 私の経験不足以外の何ものでもありません。 予想はしていたものの、自分の非力に泣きたくなりましたが とにかく後戻りはできない…のですよね、 レコーディングですから。 実力が不足していようがどうしようが 今ある全力で最大の努力をしなくてはなりません。 今回何よりも助けてくださったのは指揮者の 下野竜也さんでした。30代後半という超若手の マエストロですが、今やクラシック界ではひっぱりだこ。 朝比奈隆さんのお弟子でもあったので大阪フィルハーモニーは 下野さんが大好きだというのは音でもわかりました。 その彼が、あらかじめ起こりうるであろうトラブルの種を すべてチェックして下さり、事前にかなり解決策を 練りました。 それでもレコーディング中に、思わぬトラブルが出てきます。 録音というのはそういう事で、悩んでいる時間はあまりなく、 とにかく最善策をパッパッと出していかないと作曲家はいけないんです。 そういうのだけは慣れているのがせめての救いでした。 さらに、コンサートマスターがいろいろな演奏方法を ご披露下さり、ごく短い時間でトラブルは解決できて 演奏は素晴らしいものとなりました。 結果、作品は楽譜以上のものに仕上がってしまったんです。 テイクを重ねると結果、どんどんオーケストラの音が 中央にまとまってきて、そこに世界的なソリストの音が 浮かび上がるので、想像を超えたオーラが漂い、 迫力満点の音楽が聞こえてきてそれはそれは素晴らしい時間でした。 今回この素晴らしい指揮者の下野竜也さんと大阪フィルハーモニー、 そして8年のお付き合いになるソリストの外囿祥一郎さんとの 共演にご一緒させていただけた事を心から幸せに思いました。 音楽の仕事をしていて良かった…と心から思えたひと時でした。 録音終わったときに大阪フィルハーモニーのマネージャーの 方がいらして「オリーさんの曲、いいですねぇ…いつ頃書かれたんですか?」 とおっしゃいました。何だか救われました… 帰りの機内では自分の非力さに悔しさと恥ずかしさと… でぐじゃぐじゃになりかけましたが、 とにかくここから前進あるのみ。 次回はきっともっと勉強して…と頭の中がグルグルでした。 最終便で帰ってきたのですが関西空港に向かう前から 旦那さまのメールが入り、羽田まで迎えに行くから JALか全日空かだけ教えて欲しい、とありました。 こういう時にパートナーの暖かさ、ありがたさは 心に沁みますね。 帰宅後だんな様に「もっともっと叩かれてたくさん書いて 経験を積んだらいいんだよ。書いて書いて書き倒すぐらい 書かなくちゃな。とにかくおめでとう!」と 言ってくれました。 これからさらに精進です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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