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カテゴリ:筆記用具
万年筆(Pelikan M450)にインクを吸おうと
ピストンを戻していたら、 尻軸ごとすっぽり抜けてしまいました Pelikanの万年筆では、 10年~経過してくると、けっこうよくある現象です。 尻軸と胴軸の接着剤が経年劣化して起きます。 胴軸内のピストン吸入機構がシンプルであるため 起こる問題とも言えます。 万年筆のなかには、 胴軸にコンバーターを仕込んだだけ のようなものもあり、 特にイタリアの万年筆メーカに よく見られます。 これも否定的に見る訳では無く、 修理時にアッセンブリー交換で済むという メンテナンス性の良さがあります。 (ただし、ディスコンや部品の変更など 調達性の問題はあります) また、コンバーターの欠点として、 インク吸入量が圧倒的に少ないという デメリットもあります。 Pelikanやモンブランはインク吸入に於いて、 本当にシンプルな吸入機構で 今日まで進化をし続けており、 自分はそういった点も含めて好きです。 今回のように尻軸が胴軸から抜けてしまうのも、 可動部品であるため、日々使っていれば 最低限のメンテナンスや調整が 発生するのは仕方がないと考えています。 ちなみに15年ほど前までは、 こういう修理をPelikanの正規ディーラーは 無料で行ってくれていました。 (任天堂ばりの厚遇でした) それが2007年ごろを境にガラッと対応が変わり、 すべてが有償修理となってしまいました そういった背景もあり、 これくらいのことなら、交換部品もいりません ので、自分でやるのが良いと考えます 今回、尻軸抜けを起こして壊れたのはM450です。 今は廃版になってしまいましたが、 バーメイルとトートイスの このシリーズは必ずまた復活します。 元々は1950年代前半(まだスーベレーンという 名称が無かった頃)に500シリーズとして 金張り(rolled gold)キャップにトートイス軸が デビューし、同じ時期に600シリーズとして 14金キャップのトートイス軸がデビューしたときに まで遡ります。 ※トートイス軸は1934年の100シリーズがルーツです。 非常に由緒正しきシリーズなので、次回作に期待です。 (この画像は修理後です) 通常リペアではシェラック (ラックカイガラムシの体表を覆っている分泌物) という樹脂状の接着剤で、胴軸と尻軸を くっつけますが、天然由来とはいっても接着剤で あるため、次にピストン交換などが必要になって 尻軸を抜く際、 「加熱によるシェラックの軟化」が 必要になります。 しかし、これが胴軸を痛めます。 胴軸のトートイス柄は、この世に2つと同じもの が無いため、できる限り同じものを使い続けたい と自分は思っています。 そこで接着以外の方法にて修理します やり方は簡単で、 尻軸側にテープを巻きつけて直径を太くし、 胴軸との嵌合力を上げることで 接着と同じ効果を得ることができます。 たったこれだけです ただ、テープの材質にこだわらないと、 すぐにダメになったり、樹脂の内側を溶解させるなど 大惨事になってしまいます。 このテープですが、 とってもスーパーなものが日本にはあります フッ素系樹脂フィルムをつかったテープで 耐薬品や耐熱、圧に柔軟な対応をしてくれるうえ、 樹脂へのダメージがゼロなのでとても有用です。 ここで、厚さはとても重要で 0.08mmを一周巻きつける のがジャストサイズです。 中興化成工業 チューコーフロー(ASF110FR) 貼り付けの際、もともと胴軸と接着していた 接着剤が残っていると思いますが、 このテープなら柔軟に包み込んでくれるため、 綺麗に剥がそうとせず、その上から巻きつけて OKです。 また、このテープは何度でも剥がせますし、 慌てず作業すれば30秒程度で終わります。 (とはいえ、3回も巻き直したら、新しいテープに した方がいいです) さらに、何度失敗してもやり直せますし、 どこにも傷を付けません。 落ち着いて修理作業してください そもそも尻軸が抜ける理由は ピストンの固着によることが多いため、 このタイミングで ピストンゴムをグリスアップしてあげると 凄く有効です。 劇的にインク吸入がスムーズで快適になります グリスアップの際は、 液体に強く密閉性が高い シリコングリスが使われますが、 大定番の時計裏蓋防水パッキン用を使います。 ここで、せっかくですから ピストンゴム以外に ピストン吸入機構のロッドにも塗布します。 こういう細かい作業が 一層滑らかなピストン吸入を実現します。 ひと手間かけましょう これは絶対にお勧めします。 セイコー(SEIKO) シリコングリス TSF-451 これらのオーバーホールにより、インク吸入が 新品時の滑らかさ以上にスムーズな 動きとなり、とても快適です ピストン吸入の万年筆を普段使いしている 人だけの密かな楽しみだと思います。 使うたびにだんだん重たくなっていたピストンが 嘘のように軽くスムーズになります! さて、修理の方ですが、 以下写真のように 尻軸側の嵌合部に巻きつけるだけです↓ あとは胴軸にゆっくり差し込めばおしまいです。 【注意事項】 尻軸のピストン機構を完全に締めこんだ状態 『ピストンが吸い上げきった位置』 で挿入しないと、 同軸と尻軸に隙間ができてしまいます。 もし隙間ができてしまったら、 慌てずに尻軸をゆっくり抜いて ピストン機構を締め上げてリトライです。 接着していないので慌てる必要は 無いです。 何度かやれば、絶対できます このあと、超スムーズになった ピストンで何度かインクを吸入して、 尻軸側からの漏れや インクの吸入量などをチェックします。 作業の際、胴軸の尻軸側まで インクが流れ込んできてしまったら、 一度、ぬるま湯でインクを洗浄し、 しっかり乾燥させてください。 慌てずにひとつずつ観察して作業すれば、 だいじょうぶです。 そもそも超シンプルな作りですので こうして簡単な修理なんかしていくと、 愛着がよりいっそう湧きますね ▼2020/5/15 追記------------------------- youtubeにピストン分解の説明がありました。 (M1000なので胴軸へスリーブをはめ込み部分が ねじ込み式になっています) 6:27あたりからピストンの動作が見られます。 10:30あたりからピストン機構の巻き上げの セット方法に関する説明が始まります。 10:32でいったん尻軸ネジを巻き上げ切った状態 にしています(ピストンが一番後ろに下がった 時の状態です)。 その後、尻軸ネジを緩めて10:45あたりで 緩め切った状態にしています(ピストンが一番前に 出たときの状態です)。 そして、10:52から、この状態でピストンロッドを 吸い込んでいくさまが説明されています。 ここが一番重要なポイントだと思います。 この万年筆は11年ほど前にPen houseで 買いました。 万年筆をネットで買うのに躊躇いもありましたが、 このお店は発送前にひとつずつ検品する ので安心でした。 10年以上前からある専門店なので万年筆 のペン先の話や重量バランスの話など、 勉強になることも多く書かれています。 【送料無料】ペリカン 万年筆 スーベレーン M800 【正規品】【ギフト化粧箱入りボトルインク付】ラッピング無料/名入れ無料【ペンハウス楽天市場店】 アルテマ 日本語の宙に浮く地球儀〜21cm〜地勢図 FL21GEO【ビックカメラグループオリジナル】 ヴィトラ Vitra Sunflower Clock サンフラワークロック Wall Clock ウォールクロック 掛け時計 デザイン:George Nelson ジョージ・ネルソン カラー:バーチ デザイナー ビトラ パントン イームズ 【RCP】【smtb-KD】 先日50代の方に万年筆を贈ることが あったのですが、その方は 『何は無くともモンブランがいい』 と仰っていました。 手の大きさがあまり大きくないため、 あえて146にしましたが、とても良かったです。 ボディバランスという面では149より146が 優れていると思います。 【万年筆 名入れ】モンブラン 万年筆 マイスターシュテュック ル・グラン 146 ブラック【高級万年筆】【メーカー保証付・送料無料・名入れサービス・ラッピング無料】「ブランド」【 プレゼント ギフト 】【ペンハウス楽天市場店】 (71000) ホワイトハウスコックス【Whitehouse Cox】型番:S1023(ブラック) ペンケース ビジネスツール ブライドルレザー 牛革 男女兼用 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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