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カテゴリ:筆記用具
万年筆を使うにあたって、重量バランスは
とても重要です。 マラソンをするのに靴が重要な要素であるのと 同じく、重量の前後バランス が筆記に対して重要な要素となります。 もちろん、ペン自体の重量も筆記に大きな 影響を及ぼします。 万年筆というものは、昔は便利な筆記具の 高級品という位置づけでしたが、今は単なる 高級品になってしまいました。 いつしか”用の美”が欠落し、華美な装飾により、 筆記困難なモデルも散見されるようになりました。 それはそれでひとつの文化であると思いますが、 ここでは、基本性能である筆記に関する 重量の情報を書いてみたいと思います。 まず、万年筆で筆記できる仕組みですが、 ほぼすべては「毛細管現象」です。 これにより、インクがペン先(ニブ)まで 伝ってきます。 ペン先にはインクが円滑に導けるように空気を 取り込む仕組みが作られています。 切り割りの根元に丸だったりハートだったり 穴が開いていますが、あれのことです。 空気を取り込んだ分だけインクがペン先に向かう、 ということになります。 よって、そんなに速く筆記できません。 ここはとても大事で、速く書く必要は無いですよね? ・・と心に余裕を持ちたい次第です。 ゆったりとした筆記で初めて非常にデリケートな ペン先のしなりやすべりを感じられ、 心地よい筆記となります。 この辺りを感じ取れるようになると、 筆記そのものが楽しくなると思います。 これが自分の考える万年筆の醍醐味です。 出先でちょっと思いついたアイディアや 何十年も忘れていたことをふと思い出したとき、 万年筆を通じて書き綴るのはいいものです また、自らの五感を使って筆記したものは忘れず、 記憶に残ります。 (もし忘れかけていても、あとで読み返したとき 容易に記憶がよみがえります) 筆記にはペン先が紙と接触する角度が非常に 重要です。 (過去ブログ)万年筆の筆記角度について それを実現するために大事な点として、ここで ご紹介する「重量」ですが、大きく分けて 以下の2点がポイントです。 1)万年筆自体の重量 2)重量の前後バランス たとえば、軽くて振り回しやすい万年筆ですと、 引っ掻き回すように指先で筆記できてしまうので ボールペンの様な角度でも何とか書けてしまいます。 しかし、これでは万年筆が持つ本来の性能が 発揮できず、筆記の醍醐味は半減してしまいます。 重量の前後配分については、筆記の角度を保つ ために後ろ荷重の万年筆がおススメです。 荷重が後ろに感じられることから、必然的に 筆記角度が寝るので万年筆に適切な角度(45°)が 得られます。 また、必要以上にペン先に力を掛けなくなるため、 しなりやすべりの心地よさが感じられるようになります。 だまされたと思って実践してみてください。 しかしながら、長い会議などで何時間も万年筆で 筆記していると、さすがに優雅でも疲れてきます。 そんなときはペンキャップを外して使えば良いです。 軽快で俊敏な筆記もまたよし、です。 万年筆が具体的にどれくらいの重さなのか、 手持ちの3本を測ってみました。 ライトウェイト 『モンブラン 22』 既に50年近く使われている万年筆です。 (自分は途中から引き継ぎました) モンブランの最高傑作はこの二桁シリーズに あると考えています。 前後重量に偏差なしです。 モンブラン 22(樹脂) キャップなし 8[g] モンブラン 22(樹脂) キャップあり 14[g] ペン先(ニブ)はFですが、インクフローが 素晴らしいことから、とても軽快で筆がすべり、 滑らかな筆記が得られます。 しかし、軽すぎるので万年筆での筆記を身につける には不向きであり、一番最初に持つ万年筆としては おすすめできません。 ボールペンのように書いたり、引っかいたりする 癖がついてしまう可能性があります。 ミドルウェイト 『ペリカン M450』 このサイズにK18のペン先をセットし、 バーメイル&トータスシェルを復活させた名品です。 発売された瞬間に買いました 前後重量はキャップを付けることで大幅に 後ろ寄りになります。 ペリカン M450(樹脂+バーメイル) キャップなし 12[g] ペリカン M450(樹脂+バーメイル) キャップあり 25[g] ペン先(ニブ)はFですが、しなる感触が分かります。 それでいて滑らかな筆記です。 モンブランがすべるような滑らかさなのに対し、 ペリカンはしなりながらの滑らかさです。 どちらも甲乙つけがたいですが、胴軸とのバランスに よって生まれる奇跡の筆記です。 傑作です。 最初の一本には、こういった後ろ荷重が調整できる キャップを選び、10年ほど使い込むと万年筆の筆記が 理解でき、良いように思います。 ヘヴィウェイト 『モンテグラッパ スペシャルリザーブ1996』 ここ10年ほどは装飾品メーカのようになってしまった モンテグラッパの往年の傑作です。 前後重量に偏差なしですが純銀なので全体的に重いです。 モンテグラッパ 1996(シルバー925) キャップなし 38[g] モンテグラッパ 1996(シルバー925) キャップあり 52[g] これは重量級です。 ペン先(ニブ)がEFということもあり、筆記は堅めです。 重量があることから筆記は鈍重ですが、他には無い しっかりとした筆記が楽しめます。 決して観賞用では無く、普段使いできます。 ただし、キャップを付けると胴軸の重さに加え、 相当な後ろ荷重になり、長さもあることから、 筆記の自由度はかなり下がります。 そういった点ではキャップは装飾の要素が強く、 キャップ付きの状態でおススメできる 筆記方法やシチュエーションが思いつきません 【万年筆の選択について】 自分はかれこれ万年筆を30年近く使っています。 その間、色々なメーカを試しましたが、 やはり良品を何十年も使って、ペン先が自分になじみ、 自分も使い方を理解できてこそ、到達できたものも あったと思っています。 従って、可能な限り長く使える良品を選定したほうが 良いと思います。 好きなブランドやデザインを買うのも良いのですが、 万年筆は”古いテクノロジーの物”ですから、 使い手を選んでしまうという弱点を理解して購入 された方が良いと思います。 決して、狭き門であるというようなことを言いたいわけ ではなく、スケートやスキーのように慣れるまで少しの コツが必要と言う点をお伝えしたい次第です。 また、いわゆる「さらさらと書く」ことについて、 万年筆は長けていますが、画数の多い漢字をしっかり 書いていくには、向かないペン先(ニブ)もあります。 その点を踏まえて、購入することがよりよい万年筆との 出会い、付き合いになると考えています。 一般的に漢字を書くなら細いペン先=EF(ExtraFine)が 適しています。しかし、もちろん書き味は硬くなり、 万年筆らしさはあまり無いです。 そのため、もともとペン先が柔らかめのブランドで 漢字も書ける細めのペン先=F(Fine)を選択すれば 両方の良いとこどりができると思います。 新品でしたら、Pelikanがベストだと思います。 M405は軽く軽快な筆記が行え、キャップを付ける ことで後ろ荷重もあるていど可能です。 入門から生涯に渡って十分使える万年筆です。 【万年筆 名入れ】ペリカン 万年筆 スーベレーン405シリーズ M405 ブラックストライプ 【ギフト化粧箱入りボトルインク付】 【送料無料・名入れサービス・ラッピング無料】【高級万年筆】【Pelikan】【Fountain pen】【ペンハウス楽天市場店】 (35000) ※自分もペンハウスでは過去2回購入していますが、 検品後に出荷するため、安心できます。 ペリカンM800はサイズが大きくなり、径も太いです。 ペン先が18Kになり、サイズアップするため しなやかさが増します。 ペリカンを代表するモデルで、モンブラン149と並んで 世界ナンバーワンと言える一本です。 但し、手の小さい人ですと、ペン自体を扱えなくなる のでこのサイズは醍醐味が味わえません。 万年筆好きにとって、Pelikanを否定する人は、 おそらく一人もいません。 その反面、モンブランは10数年前に経営方針を変え、 無駄に広告を増やし、高級路線になったため、 否定派は多いです。 もし、モンブランを購入するなら、中古品のなかから 選んで買うと良いと思います。 未使用に近い、もしくは癖の無い個体もたくさんあります。 euroboxさんはwebで見ると全然掲載されていませんが、 お店に行くとたくさんストックがあり、試し書きさせて もらえるので、よく行きます。 eurobox(ユーロボックス)さん 公式 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2018.11.25 15:53:20
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