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聖歌は生歌

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2005.12.11
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カテゴリ:答唱詩編
148/149 遠く地の果てまで

【解説】
 主の降誕の夜半のミサで歌われる詩編96と、日中のミサで歌われる詩編98は、その間にある詩編97とともに、王である神(主)をたたえ、イスラエルだけではなく、すべての民・すべての国がその到来を待ち望むことが言われ、〈第二イザヤ〉とも表現や思想が共通することなど、非常に似た内容となっています。この詩編96は歴代誌上16:23-33に同じ詩が載せられており、「人々が神の箱を運び入れ、ダビデの天幕に安置し」(同16:1)たことと関連づけられています。
 答唱句は、作曲者が「時間と空間を超越した表現」として用いる6度の跳躍で、旋律が始まり、これによって、「遠く地の果てまで」という空間的・地理的広がりと、そこに救いがもたらされるまでの時間的経過が表されています。「すべてのものが」では、バスが半音階で上行し、それに伴って和音も変化し、さらに、「ものが」で、旋律が再び6度跳躍し、「すべてのもの」という、量的数的多さが暗示されています。
 「みの」では、旋律が最高音になり、旋律とバスも2オクターヴ+3度に開き、王である神の偉大さが示されます。「くいを」は、旋律が最低音(ミサの式次第のそれと同じ)となり、救いが地に訪れた様子が伺われます。「すくいを見た」では、アルトに臨時記号〔Des(レ♭)〕を用いることで、答唱句をていねいにおさめるとともに、ことばを意識することにもなっています。
 詩編唱は、主音F(ファ)から始まり、上下に2度動くだけですが、1小節目では終止の部分で音が動き、ことばを強調します。4小節目は属調のC-Dur(ハ長調)に転調しことばを豊かに表現するとともに、そのまま答唱句の冒頭へとつなぐ役割も持っています。
〈第二イザヤ〉 
 イザヤ書40-55章を指す。イザヤ書は、その文体や思想などから「アモツの子イザヤ」という一人の預言者ではなく、彼の精神、思想を受け継いだ多くの後継者の加筆、著述がまとめられたというのが、現在の研究の一般的な見解。


【祈りの注意】
 答唱句は、解説でも述べた、「時間と空間を超越した表現」として用いる6度の跳躍で始まりますから、この「遠く地の果てまで」という表現にふさわしく、祈りの声を表現しましょう。ユダヤから見れば、この日本はまさに遠い地の果てです。この日本にキリストによる救いがもたらされるまで、二千年近い時間もかかりました。しかし、わたしたちは確かにキリストによる神の救いを見て、それを信じているのです。この確信を込めて、答唱句を歌い始めましょう。そのために「果てま」の付点四分音符は十分にのばし、その後一瞬で息継ぎをします。「すべてのもの」は、やや早目にすると、臨場感があふれます。最後の「」は、その前の「の」にそっとつけるように歌うと、ことばが生きてきます。決して「ものがーと歌ってはいけません。「み」はアルシスの飛躍を生かします。最後の「救いを見た」は解説でも書いたとおり、アルトに臨時記号〔Des(レ♭)〕を用いることで、答唱句をていねいにおさめるようになっていますから、決してぞんざいにならないように、まことに、わたしたち一人ひとりが「神の救いを見た」という確信を込めたいものです。

 いずれの詩編唱でも冒頭「新しい歌を神に歌え」と始まります。「新しい歌」とは、新しく作られた(作詞作曲された)歌という意味ではなく新たな体験によって新しく意味づけがなされた歌を言います。主の降誕の記念(アナムネーシス)は、毎年繰り返されますが、去年の主の降誕から、この一年間に体験した出来事によって、今年の主の降誕は、また、新たな意味を持ってきていると思います。
 夜半のミサで歌われる詩編唱の、「世界よ、神をおそれよ」とは、怖がるという意味ではなく、神を神として敬うということです。この答唱詩編・第二朗読・アレルヤ唱のあと、福音朗読において、まさしく「神は、世界をさばきに来られる」のです。
 日中のミサでは「神は不思議なわざを行われた」「神は救いを示し、諸国の民に正義を現された」と歌われます。まさに、世が造られる前から、神とともにおられたみことばが人となられたことを表しています。 
 このようにして、神の救いは、遠く地の果てまで、すべての民に示されました。わたしたちは、この偉大な出来事=「救いを日ごとに告げ知らせる」ように、遣わされているのです。

 最後に技術的なことですが、各小節で音が変わるところ、特に1小節目の最後のところで、間をあけないで滑らかに続けるようにしてください。

【おことわり】
 今日の解説と祈りの注意の一部は、同じ答唱句が歌われる、年間第29主日の答唱詩編から転載いたしました。

【参考文献】
『詩編』(フランシスコ会聖書研究所訳注 サンパウロ 1968 )

 






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Last updated  2005.12.11 08:37:36



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