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聖歌は生歌

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2005.12.27
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カテゴリ:答唱詩編
136 すべての王は

【解説】
 「ソロモンの詩編」というタイトルを持つこの詩編72は、王の即位の歌と言われています。神の み旨とみこころにしたがって民を公正に治めることが、王の使命であり、それによって、王にも子孫にも祝福が与えられます。教会は、この王を、地上の王を超越したメシア=キリストに当てはめ、キリストの支配が終わりなく続き、限りない祝福で満たされるものと考え、特に、公現の祭日の答唱詩編として用いてきました。『典礼聖歌』ではそれを踏まえ、答唱句(11節)では「かれ」を「あなた」に、詩編唱では「」を「」に言い換えています。
 答唱句に3回出てくる八分休符は、その前の助詞と次のアルシスを生かすためのものですから、祈りの流れ、精神は持続して歌います。冒頭、第三音(H=シ)から始まった旋律は「王は」で主音になりますが、和音は六度が用いられ、地上の王の不完全さが表されています。続いて旋律は「あた」の最高音C(ド)から、音階の順次進行で下降し、「ひざをがめ」で最低音Cis(ド♯)に至り、地上のすべての王が、神とキリストの前にひざをかがめる様子が表されます。このことは、テノールのGis(ソ♯)と旋律のCis(ド♯)で強調されています。「すべての国は」は、和音内構成音のG(ソ)を加えて6度上昇し、その広がりが示されています。
 旋律は、最低音の「ひざをがめ」のCis(ド♯)を中心に、冒頭の「べての」と最後の小節の「あた」がH(シ)、二小節目の「あた」と「すべてのくには」が最高音のC(ド)と、ちょうどシンメトリーになっています。
 詩編唱和の旋律は、調性と伴奏は異なりますが、17・18「いのちあるすべてのものに」および123「主はわれらの牧者」と同じで、神が主キリストとしてわたしたちを治めてくださる、という共通の主題で統一されています。

【祈りの注意】
 解説にも書きましたが、答唱句に3回出てくる八分休符は、その前の助詞次のアルシス生かすためのものですから、祈りの流れ、精神は持続して歌うようにしましょう。八分休符の前の助詞は、その前の音符に軽くつけるようにし、助詞の八分音符はフェイドアウトするように歌います
 速度の指定は、「四分音符=69くらい」となっていますが、最初は少し早く始めるとよいでしょうか。冒頭から「かがめ」まで、祈りの流れは一息で歌うようにしましょう。実際に息継ぎなしで歌うのは難しいかもしれません。途中、二つある八分音符で息継ぎしてもよいでしょうが、最初にも書いたように、祈りの流れと、精神は持続させなければなりません。流れを止めないように気をつけてください。「ひざをかがめ」では、いったん、普通より豊かに rit. しましょう。この rit. で、すべての王がひざをかがめる様子を音楽的にも、祈りとしても表してください。後半の「すべての国は」からは、テンポを元に戻し、最後は、さらに豊かに rit. することで、祈りのことばがよく味わえるでしょう。
 詩編唱では、神の み旨を行う、真の王の姿が歌われます。これこそ、主キリストに他ならないことは、言わずもがなです。第一朗読福音朗読も、このことを表すものです。それはまた、主がピラトの前で、御自分の国は、地上のものではなく、それを超越したものであることを、暗示しているのではないでしょうか。主は、地上の支配者とは異なり、詩編唱の4節に歌われるような方であることを、こころに刻み、わたしたちも、その、キリストの王職を行うことができるように祈りたいものです。

【参考文献】
『詩編』(フランシスコ会聖書研究所訳注 サンパウロ 1968 )





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Last updated  2005.12.27 17:59:32



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