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カテゴリ:答唱詩編
124 主よあなたは永遠のことば
【解説】 詩編19は、前半と後半ではその性格が全く異なります。前半は、天空、特に太陽の動きを通して、神の栄光をたたえています(147「天は神の栄光を語り」で歌われる)。それに対して、後半では、教え・さとし(トーラー=律法)を与えてくださった神に栄光を帰しています。この、後半部分は詩編119(125で歌われる)と似ています。そして、最後は、その教えを守ることができるようにとの祈りで結ばれています。 答唱句は、非常に複雑な和音で進んでゆきます。冒頭は、2♭の長音階、B-Dur(変ロ長調)の主和音で始まりますが、これは、最初のアルシスだけです。最後は、バスからC(ド)-G(ソ)-Es(ミ♭)-C(ド)の和音で終わることから、教会旋法の第一旋法に近いと言えるでしょう。前半はバスが音階進行で動き、とりわけ「永遠の」では、バスとアルトで臨時記号が使われた半音階の進行で、こころを「永遠」に向けさせます。後半では、バスが第三小節でG(ソ)、第四小節でC(ド)を持続し、旋律は、最高音のC(ド)となり、この信仰告白の体言止のことばを力強く終わらせます。 詩編唱は、ドミナント(属音)のGを中心にして動きます。 なお、この詩編19を歌う124の場合は、詩編唱の1小節目と3小節目の、最後の四分音符と八分休符(オルガンでは付点四分音符)および小節線を省き、1小節目の全音符から2小節目の全音符、3小節目の全音符から4小節目の全音符へと、それぞれ続けて歌います。1小節目と3小節目にある最後のことばも、すべて、八分音符で歌います。 詩編の1節を例に挙げると、以下のようになります。赤の太字は、音が変わるところです。 かみのおしえはかんぜんでたましいをいきかえらせー*| そのさとしはかわらずこころにちえをもたらすー* 【祈りの注意】 答唱句のことばは、《ガリラヤの危機》の後のペトロの信仰告白のことば(ヨハネ6:68)です。最初の「主よ」の後の八分休符は、次の「あ」のアルシスを生かすものです。「よ」が惰性で伸びないようにし、オルガンの伴奏が一足早く変わるのを味わえると、「あ」のアルシスがより生きると思います。「あなたは~」のところを、メトロノームで、はかったように歌うと、ことばを棒読みしているように聞こえます。四声の場合は、アルトは特にレガートをこころがけましょう。一連の八分音符を、やや早めの気持ちで歌うと、「あなたこそ」という確信に迫る祈りになるのではないでしょうか。「ことば」の部分、特に、アルトの動きは、最後の rit. を促すものです。オルガン伴奏だけのときも、この音の動きをよく味わい、オルガニストは、祈りを込めて弾きたいものです。この答唱句を歌うとき、ペトロと同じように、キリストに従う決意を新たにしたいものです。 詩編唱は第一朗読、出エジプト記の十戒の朗読を受けて歌われます。十戒は、単に、神から与えられた戒め・法律ではなく、神とわたしたち、わたしたち相互の関係について、神とともに生きる本来のあり方を示したものです。この教えの本来の意味・正しい解釈を表したのが、主キリストの福音と言えるでしょう。聖ヒエロニムスが「聖書を知らないことはキリストを知らないこと」と言っているとおりです。答唱詩編の詩編はもちろん、答唱句を歌うことも、キリストを告げ知らせることだと覚えておきたいものです。 【参考文献】 『詩編』(フランシスコ会聖書研究所訳注 サンパウロ 1968) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006.02.26 08:55:59
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