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カテゴリ:答唱詩編
70 神よあなたの顔の光を
【解説】 詩編4は、その前の詩編3が朝の祈りといわれるのに対して、夕べの祈りと言われていて、教会では、主日・祭日の前夜の寝る前の祈りで唱えられます。多くの人々が神を疑うのに対して、この、詩編作者は神への強い信頼を歌います。 答唱句は、詩編唱と同じように、各小節最後の四分音符以外は、すべて八分音符で歌ってゆきます。旋律は第三音のEs(ミ♭)から始まり、主音に降り、神が穏やかにその顔の光を照らしてくださる様子が表されています。旋律もその他の声部も動きが少なく、特にバスは他で歌われているすべての詩編に共通する、神への信頼を表すように、主音に留まります。 詩編唱も基本的にドミナントから段階的に下降しますが、各小節とも終止音は持続音より2度上昇しており、この反復が詩編唱に緊張感と安らぎを与えています。4小節目の終止の部分は、答唱句の終止の部分と同様に終わっています。 【祈りの注意】 答唱句の最初は、mp で始め、1小節目の終わりで、いったん rit. と dim. しますが、2小節目の冒頭で元に戻し、最後は、さらにrit. と dim. を豊かにして終わります。特に、最後の答唱句は、最初からp あるいは、pp で始め、早さも、一段とゆっくりします。とはいえ、祈りのこころ・精神は、一段と深く、強くしなければなりません。 解説でも書いたように、答唱句は各小節の最後の四分音符以外、すべて八分音符で歌ってゆきます。楽譜を入れることができませんので、ことばだけで書きますが、「ー」は八分音符一拍分のバスところを、太字は自由リズムの「1」にあたる拍節を、*は八分休符を、赤色の字は音が変わった最初の音を、それぞれ表しています。 かみよあなたのかおのひかりをー*|わたしたちのうえにてらしてくださーぃ となります。 よく聞く歌い方で気になるのは、 1小節目=かみよーあなたのかおのひかりをー 2小節目=わたしたちのうえにーてらしてくださいー というように「かみよー 」と「うえにー」さらに「さいー」を延ばすものです。 もし延ばすのであれば、楽譜にきちんとこのように書いてあるはずです(たとえば367「賛美の賛歌」参照)。 「かみよー」ではなく「かみよ」、「うえにー」ではなく「うえに」となっているのですから、この「よ」と「に」は、八分音符で歌い、すぐに、「あなたの」と「てらして」に続けなければなりません。 特に、「うえに」は、その後の「あなた」の「あ」と字間があいているので、あけるしるしと勘違いされることがありますが、ここで、字間があいているのは、楽譜を作る上での技術的な限界から来るもので、決して延ばすしるしではありません。 実際に、歌い比べてみると、延ばさないほうがはるかに深い祈りとなるはずです。 2小節目の最後の「ください」も「くださいー」としてしまうと、品がない歌い方になります。「くださーぃ」と、「さ」を延ばし「い」を最後に添えるようにすると、品位ある祈りになります。 詩編唱は、第一朗読で語られるペトロのことばを受けています。特に、最後に言われる「悔い改めて立ち帰りなさい」は、詩編唱の2節につながっています。「聖なる正しい方」を受け入れる人には「悩みの中にもいこいが与え」られるのです。詩編唱はこの、神への全幅の信頼をもって、こころ穏やかに、祈りましょう。 この答唱詩編は、答唱句・詩編唱ともに、非常に繊細なものです。祈るわたしたちも、日本語の繊細さを生かしながら、細やかなこころで祈りを深めてゆきましょう。 《この答唱詩編のCD》 「典礼聖歌アンサンブル」『待降節・降誕節の聖歌』 【参考文献】 『詩編』(フランシスコ会聖書研究所訳注 サンパウロ 1968) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006.04.05 11:28:51
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