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カテゴリ:答唱詩編
40 神のいつくしみを
【解説】 詩編107は、詩編集第五巻の冒頭に当たります。この詩編は、大きく二つに分けられます。さらに、導入(1-3節)に続く前半(4-32節)は細かく4つに分けることができます。
なお、この詩編は、神殿祭儀の時、祭司と会衆の間で歌い交わされたと思われ、現在の答唱詩編の原型とも言えます。この答唱句では、歌われないのですが、後半の33-43節は賛歌の形式で、バビロン捕囚と捕囚からの帰還を述べています。 この答唱句はまったく拍子が指定されていません。と言うのも、順番に、四分の三、四、五、三、四。と変わってゆくからです。ですが、歌うと、まったくそれを感じさせず、歌詞の意味どおりに、自然に歌うことができるから不思議です。 冒頭は、75「神よあなたのことばを」などと同じく、オルガンの伴奏が八分音符一拍早く始まります。「とこしえに歌い」と「代々につげよう」では、Fis(ファ♯)が用いられ、伴奏でも、ことばを意識しています。 答唱句の終止は、五の和音で、上のFis(ファ♯)が用いられているところは、五の五の和音(ドッペルドミナント)と考えることもできますが、旋律は、G(ソ)を中心に、上下に動いているので、教会旋法の第八旋法に近いようにも考えることができます。また、最初にもあげたように、拍子が指定されず、グレゴリオ聖歌の自由リズムが生かされています。「主のまことを」で、旋律が最高音C(ド)となり、和音も、ソプラノとバスが2オクターヴ+3度に広がります。 詩編唱は、鍵となるG(ソ)を中心に動きます。 答唱句の音域や、詩編唱の和音からは、あくまでもC-Dur(ハ長調)で、終止は半終止と考えるほうが妥当ですが、それほど単純ではなく、作曲者自身の、グレゴリオ聖歌から取り入れた独自の手法といえるかもしれません。 【祈りの注意】 冒頭、オルガンの伴奏が八分音符一拍早く始まりますが、これを良く聴き、「かみ」のアルシスを生かしましょう。前半は一息で歌いたいところですが、息が続かない場合は、「いつくしみを」の付点四分音符に、一瞬で息を吸ってください。最初は一息でいかないかもしれませんが、祈りの流れに、毎回、こころを込めると、徐々にできるようになるのではないでしょうか。最初から「無理」とあきらめずにチャレンジしてください。 この「を」を、付点四分音符で延ばす間、少し cresc. すると、祈りが、次の「とこしえに」へ向かって、よく流れてゆきます。ただし、やり過ぎないようにして、最初の、音の強さの中で、cresc. しましょう。 「歌い」の後で息をしますが、祈りは続いていますから、間延びして流れを止めないようにしましょう。この後、よく耳にするのが、「まことを」の四分音符を、必要以上に、 このようになるのは、おそらく、答唱句の最後で rit. することが背景にあるかもしれませんが、これは 今日の、答唱詩編と第一朗読は、福音朗読で読まれる、ガリラヤ湖での船上の出来事の予型として朗唱・朗読されます。今日のような朗読の関連は、比較的わかりやすいものなので、詩編を先唱されるかたも、よく、こころにおさめることができると思います。詩編唱の7節の1小節目と2小節目、8節の1小節目と2小節目のことばは、特に福音朗読を導くものです。このような「神のいつくしみと不思議な出来事」に感謝して、わたしたちは、感謝の祭儀をささげると言えるでしょう。 《この答唱詩編のCD》 「典礼聖歌アンサンブル」『四旬節の聖歌』(詩編は異なります) 【参考文献】 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006.06.06 15:21:02
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