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カテゴリ:答唱詩編
101 しあわせな人(2)
【解説】 詩編15は神殿の中での典礼を背景にした教訓的な詩編の一つ(他に、24,134)で、巡礼者が神殿に入るときに儀式が土台になっていると思われます。1節は巡礼者の問い、2節目以降が、おそらく、祭司あるいはレビ人の答えと思われます。神に受け入れられるためには、悪を行わない(掟を守る)だけではなく、隣人のことを大切にすることも必要で、キリストが教えた新約における愛の掟の序曲ともいえる詩編です。 答唱句は八分の六拍子で滑らかに歌われます。2小節目は4の和音から、後半、2の7の和音に変わりますが、これによって祈りを次の小節へと続けさせる意識を高めます。続く「かみを」では旋律で最高音C(ド)と4の和音を用い、次の「おそーれ」ではバスに最高音H(シ)が使われ、「神をおそれ」では、旋律が6度下降して(それによって母音の重複も防がれています)、前半の主題を強調しています。7小節目後半の3つの八分音符の連続は、最終小節に向かって上行音階進行しており、終止の rit. を効果的に導いています。 この答唱句は、C-dur(ハ長調)の主和音ではなく、5の和音で終わっています。これによって、祈りを詩編唱につなげる役割もありますが、この曲はいわゆる長調ではなく、教会旋法に近い形で書かれていることがわかります。G(ソ)を終止音とする教会旋法は第8旋法ですが、その音階は、D(レ)からd(レ)なので、この曲には該当しません。他にも、36~40「神のいつくしみを」、130~135「主をたたえよう」などがこれにあたります。これらから考えると、この旋法は、教会旋法を基礎に作曲者が独自の手法とした旋法であり、「高田の教会旋法」と名づけることが出来るでしょう。 詩編唱も、答唱句と同様の和音構成・進行ですが、3小節目だけ、冒頭の和音は答唱句で経過的に使われている2の7の和音となっていて、3小節目の詩編唱を特に意識させるものとしています。 【祈りの注意】 答唱句で特に注意したいことは、「 《その1》 八分の六拍子は、 《その2》 先へ先へと流れるように歌うこと。 《その3》 「しあわせなひと」の「わ」をやや早めに歌い、次の太字の三つのことばの八分音符で加速をつけるようにすること。 の三点です。 また《その2》については、1・3・5・7各小節の前のアウフタクトのアルシスを十分に生かすことも忘れてはならないでしょう。 このようにすることで、祈りが自然に流れ出てゆき、答唱句のことば「主の道を歩む」「しあわせ」が、豊かに表現できるのです。 前半の終わり「おそれ」では、やや、わからない程度に rit.するとよいかもしれません。答唱句の終わりは、歩みが確固としたものとして、ただし、主の前を静々と歩むように、十分に rit. して、滑らかに終えましょう。 詩編は、まさに第一朗読と福音朗読の橋渡しです。神の掟と戒めは、人間をがんじがらめに縛るのではなく、神が本来与えてくださった、神のこの自由に生きるためのものです。以前、教会法担当の神父さんがおっしゃったことばを引用すれば「教会には愛の掟があれば、他の法はなくてもよい」のです。現代のわたしたちも「昔の人の言い伝え」に縛られ「神の掟を捨てて、人間の言い伝えを固く守」っていることが少なくないかもしれません。それ以上に、大切なことは、 最後に、いつも書いていることですが、字間のあいているところで、 《この答唱詩編のCD》 「典礼聖歌アンサンブル」『四旬節の聖歌』(詩編は異なります) 【参考文献】 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006.08.12 17:34:16
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