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聖歌は生歌

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2006.10.25
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カテゴリ:答唱詩編
19 いのちあるすべてのものは

【解説】
 詩編146は、ここから始まる5つのハレルヤ詩編(146-150)の最初です。この5つの詩編は、冒頭とおしまいに「ハレルヤ」があることから「ハレルヤ詩編」と呼ばれています。現在も、ユダヤ教の朝の祈りで用いられていますし、教会の祈りでは、読書課に含まれています。この、詩編146は元来、神殿で唱えられた神への賛美です。「神」が主語となっている部分の動詞は、すべて分詞「~~するもの」という意味ですが、これは、その動作が現在も継続して行われていることを表しています。つまり、分詞で表されている「まことを示し」「裁きを行い」「かてを恵み」「解放される」「目を開き」「愛される」という神のわざは、現在も神が継続して行われているのです。また《同義的並行法》を用いることで、それらの内容が、さらに強調されています。
 答唱句は、冒頭、オルガンが主音Es(ミ♭)だけ、八分音符一拍早く始まります。二小節目の「すべてのもの」では「地にあるすべてのもの」を象徴するように、旋律の「すべて」でC(ド)、バスの「べての」でG(ソ)と、それぞれ、最低音が用いられています。また、アルトの「すべの」では、ナチュラルでH(シ)が歌われ、それが強調されています。なお、二小節目の冒頭は、他の声部では八分休符になっていますが、バスだけは、一拍早く始まり文章の継続を表しています。後半では、旋律もバスも、ほぼ、1オクターヴ上昇し、特に、Last では、旋律が最高音Es(ミ♭)まで上がり、力強く「神をたたえよ」(原文では「主を賛美せよ」)と呼びかけます。
 詩編唱は、前半、G(ソ)-As(ラ♭)-F(ファ)-G(ソ)と動きが少なくなっていますが、後半の三小節目では、最後に八分音符で旋律が上昇し、さらに、四小節目で最高音C(ド)にまで、高まり、バスのB(シ♭)との開きも2オクターヴ+3度に広がり、「神をたたえよ」という呼びかけが力強く歌われます。

【祈りの注意】
 答唱句の前半、一小節目と二小節目、旋律では、八分休符が冒頭にあり、下降→上昇の動きが繰り返されます。八分休符は、ことばのアルシスを生かすだけではなく、旋律の動きも生かすものです。二回目の八分休符があるところも、バスだけ、早く、一拍早く出て文章を継続させています。混声四部でない場合でも、オルガンの伴奏が、それを表していますから、二小節目の八分休符で文章の継続も、祈りの精神も切れることのないようにしましょう。
 前半の終わり「すべてのもの」の後では、一瞬で息を吸いますが、そのためには、「のー」でわずかに rit. します。できるだけ分からない程度にしましょう。これは、非常に難しいかもしれませんが、何回も練習することで、だんだんとできるようになってきます。
 後半の、上行音階では、「すべてのもの」に呼びかけますから、力強く cresc. しますが、ここで、気をつけなければならないのが、間延びすることと、rit. の違いです。rit. の場合は、「神を」で元のテンポに戻りますが、間延びした場合は、前のテンポのままか、さらに遅いテンポになっています。この違いがはっきり分かり、元のテンポで始められるかどうかが、ことばにふさわしい祈りの歌にできるかどうかの分かれ目になります。
 今日の第一朗読でも福音朗読でも、神の恵みに一抹の不安も持たず万全の信頼を置いているやもめの姿が描かれています。詩編唱でも、そのやもめをはじめ、神に信頼する人々に恵みを与えられる神のいつくしみが歌われます。詩編を歌う人も、これを聴くわたくしたちも、名誉や富や人の目ではなく神にのみ信頼して日々過ごせるように、その恵みを祈りたいものです。

 《この答唱詩編のCD》
典礼聖歌アンサンブル」『復活節の聖歌』(詩編は異なります

【参考文献】
『詩編』(フランシスコ会聖書研究所訳注 サンパウロ 1968)
 







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Last updated  2006.11.08 09:37:05



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