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聖歌は生歌

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2006.11.08
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カテゴリ:答唱詩編
39 神のいつくしみを

 今年の典礼暦も、いよいよ、最後の主日を迎えます。一年の最後の主日は「王であるキリスト」の祭日で、この世ではなく、神とともにすべてを治めておられる主・キリストをたたえるものです。来週からは、いよいよ待降節に入り、今度は、主キリストの到来を待ち望みます。

【解説】
 詩編93は、この後の、詩編96-100と同じく、全世界のほうであるイスラエルの神をたたえる詩編で、何らかの神殿祭儀で用いられたようです。学者の中には、この詩編は、本来、詩編96-100と一連のものであったのが、祭儀のために細分化されたと考える人もいるようです。また、この、詩編は非常に古く、古代中東の都市でもあった、ウガリトで歌われた詩にも似ています。「海(潮)」は古代から神に逆らう力の象徴とされてきました。教会は、この詩編を、神とともにすべてを治めるキリストをたたえる詩編とし、「朝の祈り」の第三主日の第一唱和で、用いています。
 この答唱句はまったく拍子が指定されていません。と言うのも、順番に、四分の三、四、五、三、四、と変わってゆくからです。ですが、歌うと、まったくそれを感じさせず、歌詞の意味どおりに、自然に歌うことができるから不思議です。
 冒頭は、75「神よあなたのことばを」などと同じく、オルガンの伴奏が八分音符一拍早く始まります。「とこしえにうたい」と「代々につげよう」では、テノールでFis(ファ♯)が用いられ、伴奏でも、ことばを意識しています。
 答唱句の終止は、五の和音で、上のFis(ファ♯)が用いられているところは、五の五の和音(ドッペルドミナント)と考えることもできますが、旋律は、G(ソ)を中心に、上下に動いているので、教会旋法の第八旋法に近いようにも考えることができます。また、最初にもあげたように、拍子が指定されず、グレゴリオ聖歌の自由リズムが生かされています。「主のまこと」で、旋律が最高音C(ド)となり、和音も、ソプラノとバスが2オクターヴ+3度に広がります。
 詩編唱は、鍵となるG(ソ)を中心に動きます。
 答唱句の音域や、詩編唱の和音からは、あくまでもC-Dur(ハ長調)で、終止は半終止と考えるほうが妥当ですが、それほど単純ではなく、グレゴリオ聖歌から取り入れた作曲者自身独自の手法と言うことができるでしょう。

【祈りの注意】
 冒頭、オルガンの伴奏が八分音符一拍早く始まりますが、これを良く聴き、「み」のアルシスを生かしましょう。前半は一息で歌いたいところですが、息が続かない場合は、「いつくしみ」の付点四分音符のところで、一瞬で息を吸ってください。最初は一息でいかないかもしれませんが、祈りの流れに、毎回、こころを込めると、徐々にできるようになるのではないでしょうか。最初から「無理」とあきらめずにチャレンジしてください。
 この「」を、付点四分音符で延ばす間、少し cresc. すると、祈りが、次の「とこしえに」へ向かって、よく流れてゆきます。ただし、やり過ぎないようにして、最初の、音の強さの中で、cressc. しましょう。「歌」の後で息をしますが、祈りは続いていますから、間延びして流れを止めないようにしましょう。この後、よく耳にするのが「まこと」の四分音符を、必要以上、二分音符ぶん位、延ばしてしまうものです。「主のまことを、代々に告げよう」は一つの文章、一息の祈りですから、「」は四分音符だけで次へ続けます。
 このようになるのは、おそらく、答唱句の最後で rit. することが背景にあるかもしれませんが、これは明らかにやりすぎです。ここでは、rit. しても、四分音符は四分音符の音価として歌います。
 最初にも書いたように、年間最後の主日は「王であるキリスト」の祭日で、この世には属していない(ヨハネ18:36)、神の国ですべてを治められる、主キリストをたたえます。解説にも書いたように、教会はこの詩編を、王であるキリストをたたえる詩編とし、「朝の祈り」でも用いています。今日の朗読もこの、王であるキリストにふさわしい箇所が選ばれています。ちなみに、詩編唱の最後には「栄唱」が付けられていますが、これは、元来、旧約の祈りであった詩編に、新約のメシア的意味を持たせ、新約の民の祈りとするものです。父である神とともにすべてを治めておられるキリストをたたえ、その、いつくしみを深く賛美しましょう。

《この答唱詩編のCD》
典礼聖歌アンサンブル」『四旬節の聖歌』(詩編は異なります

【参考文献】
『詩編』(フランシスコ会聖書研究所訳注 サンパウロ 1968)
 







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Last updated  2006.11.08 10:09:48



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