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カテゴリ:答唱詩編
164 喜びに心をはずませ
【解説】 答唱句もここから取られているイザヤ書の12章の3節は、有名なフォークダンス「マイム・マイム」(マイーム・ベサソン=喜びをもって水を)の元となった箇所です。イザヤの12章は、ユダとエルサレムに関する預言の最後の部分です。11:11-16で、出エジプトの出来事が思い起こされ、12:1-6の救いに感謝する歌の導入となっています。さらに、この12:1-6は、出エジプト記の「海の歌」(15:1-1)にある、神が「住まいとして自ら造られた所、御手によって建てられた聖所」(15:17)の成就となっています。 答唱句は八分音符や十六分音符などの細かい音符を多く用いて、大きな喜びを持って歌われます。「よろびに」は、各音節が異なる音価で歌われ、旋律も一気に最高音C(ド)に上昇し、喜びの心を高めています。「こころ」と「すくい」は付点八分音符+十六分音符のリズムで、これらにはさまれた動詞「はずませ」の心の動きを促し、「はずませ」の旋律はA(ラ)とG(ソ)を反復し、バス(太字)ではH(シ)=を用いて転調することで、ことばを生かしています。 「すくい」では、旋律が6度跳躍し、キリストによる尽きることのない泉に象徴される神の救いの豊かさ(ヨハネ4:7-15)が表されています。最後は、旋律が低音部で歌われ、この尽きることのない泉から水を汲む、わたしたちの姿勢が暗示されます。 詩編唱は、数少ない2小節からなるものの一つで、旋律も和音も複雑ではありませんが、逆にそれが、歌われることばの多さを生かすもの、となっています。 今日のこの答唱詩編は、復活徹夜祭の第五朗読の後の答唱詩編と同じです(ただし、復活徹夜祭では、詩編の4節は歌われません)。この第五朗読は、洗礼の恵みを表すもので、第五朗読が読まれなかった場合で、洗礼式がある場合には、第七朗読のあとにこの答唱詩編を歌うように勧められています。それほど、この答唱詩編は、洗礼の恵みを先取りするものとされています。 今日の福音朗読でも、洗礼者ヨハネによる、洗礼の場面が朗読されます。わたしたちも、福音と救い主を受け入れる「しるし」として、洗礼を受けました。今日の答唱詩編と福音朗読を味わいながら、救い主の到来の準備と自らの洗礼の時の決意も思い起こしたいものです。 【祈りの注意】 答唱句は、十六分音符の活き活きした動きを生かして歌いましょう。「はずませ」のA(ラ)とG(ソ)を反復は、ややマルカート気味にするとよいかもしれませんが、はっきりしたマルカートでは 詩編唱は洗礼によって与えられる、救いの喜びを思い起こしながら先唱してください。詩編唱の1節、および2節と3節の2小節目は、音節(ことば)が多いので、早めに歌います。そうしないと、答唱句とのバランスが取れないからです。なお、「民に伝え」の後で、息継ぎをしてもよいでしょう。その場合、「民に」くらいからrit. して、一瞬で息をし、「その名」に入ったらすぐにもとの速さに戻します。
《この答唱詩編のCD》 「典礼聖歌アンサンブル」『待降節・降誕節の聖歌』 【参考文献】 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006.11.26 16:55:41
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