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聖歌は生歌

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2007.01.22
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カテゴリ:答唱詩編
100 しあわせな人(2)

【解説】
 「幸いだ(アシュレー)、神に従う人」から始まる詩編1は、神に従う人神に逆らうものを対比しています。一部のギリシャ語の写本や古代語訳の「使徒言行録」の13:33においては、次の(現代の『聖書』の)詩編2が、詩編1となっていることから、5巻からなる詩編集が編纂されたときに、第一巻の冒頭におかれたとも考えられています。よしんば、この詩編が全詩編の中で、新しいものだとしても、この詩編1は全詩編=というよりも、全聖書を貫く主題を端的に言い表しているものということができます。
 答唱句は八分の六拍子で滑らかに歌われます。2小節目は和音が4の和音から、後半、2の7の和音に変わりますが、これによって祈りを次の小節へと続けさせることを意識させています。続く「」では旋律で最高音C(ド)と4の和音を用い、次の「おそれ」ではバスにその最高音H(シ)が使われ、「神をおそれ」では、旋律が6度下降して(それによって母音の重複も防がれています)、前半の主題を強調しています。7小節目後半の3つの八分音符の連続は、最終小節に向かって上行音階進行しており、終止の rit. を効果的に導いています。
 この答唱句は、C-dur(ハ長調)の主和音ではなく5の和音で終わっています。これによって、祈りを詩編唱につなげる役割もありますが、この曲はいわゆる長調ではなく教会旋法に近い形で書かれていることがわかります。G(ソ)を終止音とする教会旋法は第8旋法ですが、その音階は、D(レ)からd(レ)なので、この曲には該当しません。他にも、36~40「神のいつくしみを」、130~135「主をたたえよう」などがこれにあたります。これらから考えると、この旋法は、教会旋法を基礎に、作曲者が独自の手法とした旋法であり、「高田の教会旋法」と名づけることが出来るでしょう。
 詩編唱も、答唱句と同様の和音構成・進行ですが、3小節目だけ、冒頭の和音は答唱句で経過的に使われている2の7の和音となっていて、3小節目の詩編唱を特に意識させるものとしています。

【祈りの注意】
 答唱句で特に注意したいことは、だらだらと歌わないことです。だらだらと歌うとこの答唱句のことばがまったく生かされなくなってしまいます。そのためにはいくつかの注意があります。
  1. 八分の六拍子は、八分音符を一拍ではなく、付点四分音符を一拍として数えること。
    先へ先へと流れるように歌うこと
  2. 「しあわせなひと」の「」をやや早めに歌うこと
  3. 次の「せなひ」の三つのことばの八分音符で加速をつけるようにすること
の三点です。また2については、1・3・5・7各小節の前のアウフタクトのアルシスを十分に生かすことにつながることも忘れてはならないでしょう。このようにすることで、祈りが自然に流れ出てゆき、答唱句のことば「主の道を歩む」「しあわせ」が、豊かに表現できるのです。
 前半の終わり「おそれ」では、やや、わからない程度に rit.するとよいかもしれません。答唱句の終わりは、歩みが確固としたものとして、ただし、主の前を静々と歩むように、十分に rit. して、滑らかに終えましょう。
 第一朗読の「エレミヤの預言」でも、福音朗読でも、この「神に従う人」と「神に逆らうもの」の対比が一貫した主題となっています。わたしたちの行動は、ついつい、目に見える、他人の目を気にしがちですが、肝心な、神様の目を忘れてしまってはいないでしょうか?人の目を気にして得た、富も名誉も、神さまのもとに変えるときには、すべて、おいてゆかなければなりません。尽きない泉であるキリストから水をいただき、いつも、神さまのために豊かな実を結ぶことができるよう、今日の詩編をこころに刻み付けたいものです。

《この答唱詩編のCD》
典礼聖歌アンサンブル」『四旬節の聖歌』(詩編は異なります

【参考文献】
『詩編』(フランシスコ会聖書研究所訳注 サンパウロ 1968)
 








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Last updated  2007.01.22 14:01:33



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