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カテゴリ:答唱詩編
6 あなたのいぶきを受けて
【おことわり】 灰の水曜日は、主日ではありませんが、主日と同じく、第二朗読も行われ、特に、四旬節の始めとして、ミサが多くの教会で、会衆の参加しやすい時間に行われるので、取り上げることにいたしました。 【解説】 今日の答唱詩編は詩編51の前半(1-11節)が歌われます。灰の水曜日のミサ全体もそうであるように、この詩編は回心・ゆるしが主要テーマです。詩編の表題の1・2節には、「ダビデの詩。ダビデがバト・シェバと通じたので預言者ナタンがダビデのもとに来たとき」(サムエル記下11:1~12:15参照)と記されていて、旧約時代以来、ダビデの歌とされていますが、実際にダビデが歌ったかどうかは定かではありません。回心の七つの詩編の一つで(他に詩編6、32、38、102、130、143)、神に赦しを願い、罪からの清めと神のいぶき(聖霊)による聖化を求め、典礼(神殿祭儀)での感謝と賛美を神に約束します。 答唱句の旋律は、冒頭、最高音部から始まり、次第に下降することで「あなたのいぶき」すなわち神のいぶき=聖霊を願い、それが、天から降り、与えられる様子が表現されます。また、アルトとバスは主音のEs(ミ♭)を持続し、神へのゆるぎない信頼と、回心の強い決意が表されています。後半は、同じ音の動きが3度下のG(ソ)から始まり、わたしたちが新たにされることが、とりわけ「あたらしく」のバスで最低音を用いることで、謙虚に示されています。旋律も和声もシンプルですが、それによって、ことばが生かされ、祈りが深められます。 詩編唱和は、旋律の終止音であり、また、最低音でもあるEs(ミ♭)から始まり、2小節目の後半はAs(ラ♭)、4小節目の最後はB(シ♭)というように、嘆願のことば、あるいは、信仰告白のことばが歌われる部分で、前半、後半、それぞれの最高音を用いることで、ことばを強調し、叫びを高めています。 【祈りの注意】 この日の、テーマである神への回心の呼びかけが、第一朗読のヨエル書で読まれ、答唱詩編はこれに答える形で歌われます。 答唱句の指定速度は、四分音符=63くらい、ですから、それほど早くも遅くもない速度です。ことばの持つニュアンスから言うと、「荘重に」歌うようにしたいものです。特に、後半は、静かで謙虚なこころの中にも、荘厳さがあるとよいでしょうか。答唱句は、それぞれの詩編唱に対して、こころから「あなたのいぶきを受けて、わたしは新しくなる」ことを、言い表しましょう。バスの下降もこれらを助けています。 詩編唱は、上にも書いたように、答唱句の終止音で、かつ、最低音であるEs(ミ♭)から始まります。最初は、こころの深みから、詩編で歌われる回心のことばを、神に告白しましょう。音の強さとしては、mp から始めるのがよいと思いますが、それは、あくまでも音量であって、告白するこころが真剣な力強いものとなることは、言うまでもありません。このことばは、詩編を歌う人、個人のことばであるばかりではなく、その共同体、そのミサに参加するすべてに人のこころを言い表しているものでもあることを、忘れないようにしたいものです。2小節目の後半と4小節目の最後には、上にも書いたように、神への嘆願のことば、信仰告白のことばが歌われますが、ここは、「あなたのいぶきを受けて、新しく」されたわたしたち一人ひとりの持つ、神へのゆるぎない信頼を込めて神に呼びかけてください。 ヨエルの預言にも「断食を布告し、聖会を召集せよ」(15節)と書いてあるように、回心への呼びかけは、個人的なことだけにとどまらず、共同体全体の問題=言い換えれば全人類の問題でもありるのです。また、「民を呼び集め、会衆を聖別し」(16節)ともあるように、回心の始まりは、聖なるものへの始まりでもあると言えるでしょう。これらの呼びかけに答えて、先唱されるかたは、共同体を代表し、また、共同体すべての人々のために、神に祈りをささげていただきたいと思います。この共同体とは、神が造られた人類、あるいは、すべての被造物という共同体と言えるのではないでしょうか。 《この答唱詩編のCD》 「典礼聖歌アンサンブル」『聖週間の聖歌』(詩編は異なります・絶版) 【参考文献】 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007.02.11 08:57:36
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