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カテゴリ:答唱詩編
【解説】
詩編30は瀕死の人が重病から救われたことを感謝する詩編です。死は「死の国(よみ)、墓(穴)、滅び、ちり、嘆き、荒ら布」などと表現され、いのち(=神の)は「喜び、恵み、踊り、晴れ着」ということばで対照的にたとえられていて、神による救いが強調されています。ここでは、歌われませんが、5節では、詩編作者が自らの喜びを、人々にも一緒に歌うように促します(「神を信じる人は神をたたえ、とうといその名をほめ歌え」)。死から救われて神の救いにあずかることは、個人的なことだけにはとどまらず、共同体的な喜びへと広がってゆくものなのです。 答唱句は、珍しくテージス(小節線の後ろ)から始まります。旋律の音は、G(ソ)、A(ラ)、C(ド)の三つの音で、その他の声部の音も大変少ない音で構成されています。文末以外は、ほとんどが八分音符で、「すくわれる」と「たたえよう」で四分音符が用いられて、ことばが強調されています。とりわけ「たたえよう」では、アルトのAs(ラ♭)とテノールの最高音E(ミ)で、信仰告白のことばが高められています。さらに、テノールは冒頭から「いつくしみ」までC(ド)が持続して、神への信頼と救いの確信が表されています。 詩編唱は、3小節目でバスに臨時記号が使われ(Fis=ファ♯)、緊張感が高められますが、4小節目は5の和音で終止し、旋律も答唱句の冒頭と同じ音になり、落ち着いて終わります。 【祈りの注意】 冒頭は、指定の速度の、四分音符=72よりやや早めで始めるとよいでしょう。八分音符が連続しますので、メトロノームで計ったように歌うと、歌はもちろん この答唱句は、「神はわたしを救われる」と現在形になっています。神の救いのわざ(仕事)は、 今日の答唱詩編は、第一朗読で、朗読されるペトロたちのあかしを黙想して歌われます。大祭司は使徒たちに「あの名」によって教えてはならない、と言います。「あの名」とはイエスの名ですが、ヘブライ語で「名」は、その人あるいはそのものの本質をも意味します。「あの名」すなわちイエスの名によって教えることは、イエスご自身が教えになることなのです。自分たちがやみ裁判を開き、異邦人の手によって殺したものの名によって教えることを許す事は、イエスの復活を認めることになるわけです。それに対し、ペトロたちは、イエスの復活がまことの出来事であるがゆえに、神を「たたえ、黙っていることがない」(詩編30:13)のです。わたくしたちも、この、使徒たちの模範に励まされ、神のなされた不思議なわざを、「とこしえにたたえ」(詩編30:13)て行きたいものです。 《この答唱詩編のCD》 「典礼聖歌アンサンブル」『四旬節の聖歌』 【参考文献】 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007.04.07 09:08:59
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