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カテゴリ:答唱詩編
159 門よとびらを開け
【解説】 行列の詩編で、95の前半と似ている詩編100は、イスラエルの王・祭司としてのメシア(キリスト)について歌った詩編です。詩編95から、この詩編100までは、神の王権をたたえる詩編と言われており、詩編100はその締めくくりの詩編に当たります。表題にあたる1節には「賛歌。感謝のために」(『新共同訳』)、「感謝祭の詩。」(フランシスコ会訳)とあるように、感謝のいけにえの奉献の時に歌われたものと思われます。イエスが、この詩編の第1節を「ダビデの子についての問答」(マタイ22:41-46)の箇所で、自分自身への預言として述べていることから、新約聖書の時代から、教会は、栄光を受けたキリストに対する預言として、この詩編100を引用してきました(使徒2:32-36)。なお、元来、すなわち旧約的な解釈では、表題に「ダビデの詩」(この場合はダビデに対する詩)とあるように、ダビデ王朝における王の即位のために作られ、用いられたと考えられています。「メルキセデク」は創世記14:17-20に出てくる「いと高き神の祭司であったサレムの王」(14:18)で、サレムは現在のエルサレムと考えられます。 答唱句はテージスから雄大に始まり、音階の順次進行で最高音Des(レ♭)に上昇し、門が開き、永遠のとびらがあがる様子が示されています。 allarganndo(次第にゆっくりしながら大きくする=rit.+dim.)によって答唱句はいったん「あがれ」で終止しますが、和音は、続く「栄光」で用いられる並行短調のf-moll(へ短調)の五度に当たるC(ド)-E(ミ)-G(ソ)で、門のとびらが開ききり、永遠のとびらがあがりきった様子と、その中を進もうとする栄光の王(すなわちメシア=キリスト)の輝きが暗示されています。 その後、旋律はもう一度、最低音のF(ファ)から和音内の構成音As(ラ♭)を含め6度上昇し、「おう」で再び最高音Des(レ♭)に至り、栄光を帯びた王の偉大さを象徴しています。詩編へと続く部分の終止は、f-moll(へ短調)からEs-dur(変ホ長調)に転調して、詩編唱の冒頭へと続きます。Lastのほうは「おうが」から、バスとテノールのオクターヴが保持され壮大さを保ったまま終止します。 詩編唱は、主和音から始まり、旋律の、一小節目から二小節目、三小節目から四小節目、が同じ音で続き、各小節の最後の音は、冒頭の音からいずれも二度上昇してゆき、四小節目の最後で、最高音C(ド)に力強く達して答唱句へと戻ります。 【祈りの注意】 答唱句は雄大に歌われますが、決して、 旋律はいったん「門よとびらを」のC(ド)に下降しますが、いわば、「あがれ」の最高音Des(レ♭)と allarganndo に向かう上昇のための勢いを付けるようにも感じられます。この上行が力強さを持ちながらも、快いテンポで歌うようにしましょう。このとき大切なことは、皆さんの前に、実際に、栄光の王が入る門・永遠の戸があり、その門の扉が実際に開き、永遠の戸が上がり、いま、そこで、栄光の王が入る、その場に皆さんがいて、この答唱詩編を歌っている、ということです。つまり、絵に描いたようにとか、映画を見ている要にではなく、皆さんが、そのとき、その場にいる(現存している)のでなければ、この答唱句を、本当にふさわしく歌うことはできないのではないでしょうか。 なお、allarganndo の後は、テンポをやや、子戻しにして、さらに豊かに rit. すると、この答唱句の雄大さをふさわしくあらわすことができるでしょう。特に最後の、答唱句、すなわちLastに入るときは、allarganndo rit. をたっぷりとしてください。 詩編唱は第一朗読の、サレムの王、メルキセデクの供え物を思い起こして黙想されます。第一朗読にある、メルキセデクの供え物「パンとぶどう酒」、福音朗読にある「パンを取り、賛美の祈りを唱え、裂いて弟子に渡して」という記述は、いずれもミサに通じるものです。ちなみに、この創世記の朗読の部分の出来事は、ローマ典文と呼ばれる、第一奉献文でも思い起こされ(アナムネーシス)ます。今日、朗読される一連の出来事は、単に、物質としてのパンとぶどう酒(そこに現存するキリスト)をさすだけではなく、感謝の祭儀で記念される、受難・復活・昇天も記念されると言っても過言ではありません。それは、この詩編唱で歌われる、詩編100を見ても明らかでしょう。この詩編を黙想する間、これまで、復活節の間に、記念してきた、キリストの過越し全体をもう一度、深く、心に刻み付けられるよう、準備したいものです。 《この答唱詩編のCD》 「典礼聖歌アンサンブル」『ミサ』(詩編は異なります) 【参考文献】 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007.05.24 18:20:04
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