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聖歌は生歌

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2007.06.05
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カテゴリ:答唱詩編
53 神のはからいは
【解説】
 この答唱句で歌う詩編は二つありますが、答唱句自体は、ここで歌われる詩編139:18に基づいています。今日の詩編139は、神がいつもともにいること、神がともにあることを熱心に呼びかけます。前半では、神の全知全能(1-6)、神の遍在(7-12)が語られますが、それは、人間を十把一絡げにとらえるものではありません。すなわち、後半では、一人ひとりを造り心にかけてくださる神をたたえている(13-18)ことからも明らかです。全詩編の中でも、最も優雅な詩編ですが、最後は敵の中での救いを求める嘆願で終わっています。

 答唱句の前半、旋律は、E(ミ)を中心にしてほとんど動きが見られません。後半、旋律は一転して主音のA(ラ)から4度上のD(レ)へと一気に上昇します。旋律では「そのなかに」で、テノールでも、やはり「なかに生きる」で、最高音のD(レ)が用いられ、限りない神のはからいをたたえるこころと、そこに生きる決然とした信仰告白が力強く表明されます。前率と同じように、バスとテノールも前半はA(ラ)を持続し、さらに、テノールは後半「その」まで、A(ラ)に留まり、神のはからいの限りない様子と、その中に生きる決意が表されています。最後は、導音を用いずに終止し、旋法和声によって歌い終わります
 主音から始まり、主音で終わる詩編唱は、最低音がD(レ)〔3小節目〕、最高音がC(ド)〔4小節目〕と、続く小節で、7度の開きを持ち、劇的に歌われます。1小節目と2小節目はA(ラ)を中心にシンメトリーになっています。これは、下の、祈りの注意にも書きましたが、1小節目と2小節目の内容が基本的にという関係になっていることにもよります。また、3小節目が、1小節目と4小節目の両方とやはり、シンメトリーになっていまが、これも、やはり、3小節目と4小節目が同じくであるのに加え、1小節目+2小節目が、3小節目と4小節目が、という内容にもなっていることによります。

 【祈りの注意】

 答唱句は、 で、しかし、強い精神で歌い始めます。最初の「み」の「」を強く発音するようにしましょう。これは「限りなく」の「」も同様です。後半、「わたしは~」からは、だんだんと、cresc. して、力強さを増してゆきますが、決して乱暴な歌い方にならないように注意しましょう。答唱句の息継ぎは、原則として、「限りなく」の後、一回ですが、最後答唱句は、終止の rit. を豊かにするために、「その中」の後でも、息継ぎをするとよいでしょう。ただし、息継ぎが長すぎて、「」の四分音符の基本的な音価が、崩れないようにしてください。また、同じく、最後の答唱句は、冒頭 pp で始め、最後は、力強く終わると、この答唱句の持つ、豊かな味わいが、より、深く表現できるのではないかと思います。
 詩編唱は、冒頭、mf から始めるとよいでしょうか。基本的に、1小節目と2小節目が、3小節目と4小節目が同じくであるのに加え、1小節目+2小節目が、3小節目と4小節目が、という内容にもなっていますので、この対比をよく味わえるような強弱法や、速緩法を用いるようにしましょう。
 この日のことばの典礼では「母の胎」ということばが一つのキーワードになっています。洗礼者聖ヨハネが母の胎に宿ったとき、天使のお告げを受けたザカリアは、そのことばを信じることができず、口がきけなくなります。息子が誕生し、天使に言われたとおり「ヨハネ」と言う名を付けると、再びしゃべることができるようになりました。母の胎に子どもが宿るのも、子どもに名前をつけるのも、単なる偶然や人間の考えだけではありません。これらのことは、まさに、神の創造のわざに参与していることです。この神の不思議なわざに参与できることを、心からたたえて、この詩編を味わいたいものです。

《この答唱詩編のCD》
典礼聖歌アンサンブル」『待降節・降誕節の聖歌』

【参考文献】
『詩編』(フランシスコ会聖書研究所訳注 サンパウロ 1968)
 








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Last updated  2007.06.05 17:15:07



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