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聖歌は生歌

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2007.07.01
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カテゴリ:答唱詩編
101 しあわせな人(2)

【解説】
 詩編15は神殿の中での典礼を背景にした教訓的な詩編の一つ(他に、24,134)で、巡礼者が神殿に入るときに儀式が土台になっていると思われます。1節は巡礼者の問い、2節目以降が、おそらく、祭司あるいはレビ人の答えと思われます。神に受け入れられるためには、悪を行わない(掟を守る)だけではなく、隣人のことを大切にすることも必要で、キリストが教えた新約における愛の掟の序曲ともいえる詩編です。
 答唱句は八分の六拍子で滑らかに歌われます。2小節目は4の和音から、後半、2の7の和音に変わりますが、これによって祈りを次の小節へと続けさせる意識を高めます。続く「みを」では旋律で最高音C(ド)と4の和音を用い、次の「おーれ」ではバスに最高音H(シ)が使われ、「神をおそれ」では、旋律が6度下降して(それによって母音の重複も防がれています)、前半の主題を強調しています。7小節目後半の3つの八分音符の連続は、最終小節に向かって上行音階進行しており、終止の rit. を効果的に導いています。
 この答唱句は、C-Dur(ハ長調)の主和音ではなく、5の和音で終わっています。これによって、祈りを詩編唱につなげる役割もありますが、この曲はいわゆる長調ではなく、教会旋法に近い形で書かれていることがわかります。G(ソ)を終止音とする教会旋法は第8旋法ですが、その音階は、D(レ)からd(レ)なので、この曲には該当しません。他にも、36~40「神のいつくしみを」、130~135「主をたたえよう」などがこれにあたります。これらから考えると、この旋法は、教会旋法を基礎に作曲者が独自の手法とした旋法であり、「高田の教会旋法」と名づけることが出来るでしょう。
 詩編唱も、答唱句と同様の和音構成・進行ですが、3小節目だけ、冒頭の和音は答唱句で経過的に使われている2の7の和音となっていて、3小節目の詩編唱を特に意識させるものとしています。

【祈りの注意】
 答唱句で特に注意したいことは、「だらだらと歌わないこと」です。だらだらと歌うとこの答唱句のことばがまったく生かされなくなってしまいます。そのためにはいくつかの注意があります。

《その1》 
 八分の六拍子は、八分音符を一拍ではなく付点四分音符を一拍として数えること。
《その2》
 先へ先へと流れるように歌うこと。
《その3》
 「しあせなひと」の「」をやや早めに歌い、上の太字の三つのことばの八分音符で加速をつけるようにすること。

 の三点です。
 また《その2》については、1・3・5・7各小節の前のアウフタクトのアルシスを十分に生かすことも忘れてはならないでしょう。
 このようにすることで、祈りが自然に流れ出てゆき、答唱句のことば「主の道を歩む」「しあわせ」が、豊かに表現できるのです。
 前半の終わり「おそれ」では、やや、わからない程度に rit.するとよいかもしれません。答唱句の終わりは、歩みが確固としたものとして、ただし、主の前を静々と歩むように、十分に rit. して、滑らかに終えましょう。 
 第一朗読では、アブラハムの天幕に神の使いが訪れ、サラの出産が預言されます。アブラハムの天幕は、神の幕屋ではありませんが、神の前に正しい人であり、神のことばを聞いて、カルデアの地・ウルから旅立ったアブラハムは、まさに「とがなく歩み、正義を行う、主の道を歩むもの」でした。福音朗読でマルタは「多くのことに思い悩み、心を乱して」いました。ですから、「心からまことを語る」イエスのことばに耳を傾ける余裕すらなかったのでしょう。わたしたちも、ついつい、普段の生活に追われて、一番大切な神のことばに耳を傾けることをおろそかにしてしまいがちです。いつも「神をおそれ、主の道を歩む」ことができるように、まず、神のことばに耳を傾けることを、もう一度、この詩編を味わいながら、心に刻み付けたいものです。
 さて、最後に、いつも書いていることですが、字間のあいているところで、間を置いたり、延ばしたりすることは絶対してはいけないことです。1小節が滑らかに歌われ、祈られるようにしてください。

《この答唱詩編のCD》
典礼聖歌アンサンブル」『四旬節の聖歌』(詩編は異なります

【参考文献】
『詩編』(フランシスコ会聖書研究所訳注 サンパウロ 1968)
 







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Last updated  2007.07.01 16:54:53



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