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カテゴリ:答唱詩編
134 主をたたえよう
【解説】 詩編138は悩みの中から救われた個人的感謝の詩編ですが、神殿祭儀でそれを歌っただけではなく、主に感謝することを全世界の王に期待します。 さて、この「主をたたえよう」はすべての答唱句の中で、最も多くの詩編唱が歌われます。答唱句は、詩編136:1〔131〕から取られています。この詩編は、グレゴリオ聖歌では復活徹夜祭に歌われます。八分の十二拍子の答唱句の冒頭は、トランペットの響きで始まります。なお、『典礼聖歌』合本では、最初、テノールとバスは、H(シ)ですが、『混声合唱のための 典礼聖歌』(カワイ出版 2000)では、四声すべてFis(ファ♯)-Dis(レ♯)-Fis(ファ♯)-H(シ)-Dis(レ♯)となっています。この、ユニゾンのほうが、力強い響きに聞こえると思います。 「主をたたえよう」では、バスがGis(ソ♯)からFis(ファ♯)へ下降することで、ことばを延ばす間に、和音も二の和音から四の和音へと移り、さらに「主はいつくしみ」までE(ミ)からDis(レ♯)へと深まります。その後は、旋律も和音も落ち着いており、神のいつくしみの深さと限りないあわれみを穏やかなこころでたたえながら、答唱句は終わります。 詩編唱は、冒頭、最高音のH(シ)から、力強く始まります。主に、詩編唱の1節全体で、一番重要なことばが多い第三小節は、最も低いDis(レ♯)を用いることで、重厚さと、低い音への聴覚の集中を促しています。詩編唱の最後は、主音Fis(ファ♯)で終わり、そのまま、答唱句へとつながります。 【祈りの注意】 答唱句の旋律は、主音:Fis(ファ♯)⇒旋律の最低音:Dis(レ♯)⇒主音:Fis(ファ♯)⇒旋律の最高音:H(シ)と動きますから、この旋律の上昇の力強さを、全世界への呼びかけの強さへと結びつけましょう。八分の十二拍子のこの曲は、八分の六拍子の曲と同様に、 「たたえようー」と延ばす間、さらに cresc. を強めることで、呼びかけが、すべての国に広がるでしょう。このとき、バスがGis(ソ♯)からFis(ファ♯)へ下降することで、和音が変わりますから、他の声部はしっかり呼びかけを続け、バスは地球の裏側にまで、この呼びかけを深めるようにしましょう。その後、八分休符がありますが、この休符は、次の「主」のアルシスを生かすためのものですから、きちんと、入れてください。 この、「主」がアルシスで、よく歌われると、このことばがよく生かされるばかりではなく、続く、滑らかな旋律の信仰告白が、ふさわしい表現となります。最後の「深く」の四分音符が、必要以上に延ばされるのをよく耳にしますが、それでは、答唱句の重要な信仰告白のことばが、 最後は「そのあわれみは」くらいから徐々に rit. して、答唱句を締めくくります。「えいえん」で、八分音符を五拍延ばす間、まず、dim. (だんだん弱く=いわゆるフェイドアウト)しますが、きちんと五拍分延ばしてください。その間、作曲者も書いていますが「神様のことを」、神のいつくしみの深さもあわれみも永遠であることを、こころに刻み付けましょう。最後の「ん」は、「さーぃ」と同じように、「え」の終わりにそっと添えるように歌います。 第一朗読では、その罪のゆえに滅ぼされようとしていたゴモラの町を、そこにいるわずかな正しい人も一緒に滅ぼしてしまわないようにとのアブラハムの願いを神が聞き入れられた箇所が朗読されます。詩編は、その、神のいつくしみに感謝して歌われます。天地創造以来の歴史を振り返れば、おそらく、人類は何万回も滅んでいることでしょう。しかし、神は、ご自分の似姿として造られた人類の滅びを望まれず、かえって、すべての人の救いのためにご自分のひとり子を遣わしてくださいました。いつの時代においても、神の前に正しい人の祈りが聞き入れられたのです。加えて、わたしたちの願いに対して、神はよいものばかりでなく、ご自身の息吹である「聖霊を与えてくださる」(ルカ11:13)のです。 このような神のいつくしみに応えながら、この詩編で神に感謝をささげたいものです。 《この答唱詩編のCD》 「典礼聖歌アンサンブル」『復活節の聖歌』(詩編は異なります) 【参考文献】 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007.07.15 12:43:18
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