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聖歌は生歌

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2007.08.17
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カテゴリ:答唱詩編
34 神に向かって

【解説】
 詩編68は、美しい表現に満ちています。全詩編のうちでも、内容が難解なことから、さまざまな解釈がされますが、契約の箱を中心として、契約の箱とともにイスラエルを導かれた神の救いとシナイへの入国を歌っています。また、8-9、12-15節は、デボラの歌(士師記5:2-31)の影響を受けていると考えられています。ぜひ、一度、士師記のデボラの歌も読んでみたいところです。
 詩編95から取られている答唱句は、冒頭、旋律が「神に向かって」で和音構成音、「喜び歌い」が音階の順次進行で上行して、最高音C(ド)に至り、神に向かって喜び歌うこころを盛り上げます。また、テノールも「神に向かって」が、和音構成音でやはり、最高音C(ド)にまで上がり、中間音でも、ことばを支えています。前半の最後は、6度の和音で終止して、後半へと続く緊張感も保たれています。
 後半は、前半とは反対に旋律は下降し、感謝の歌をささげるわたしたちの謙虚な姿勢を表しています。「感謝の」では短い間(八分音符ごと)に転調し、特に、「感謝」では、いったん、ドッペルドミナント(5度の5度)=fis(ファ♯)から属調のG-Durへと転調して、このことばを強調しています。後半の、バスの反行を含めた、音階の順次進行と、その後の、G(ソ)のオクターヴの跳躍は、後半の呼びかけを深めています。
 詩編唱は属音G(ソ)から始まり、同じ音で終わります。2小節目に4度の跳躍がある以外、音階進行で歌われますから、歌いやすさも考慮されています。また、4小節目の最後の和音は、答唱句の和音と同じ主和音で、旋律(ソプラノ)とバスが、いずれも3度下降して、答唱句へと続いています。

【祈りの注意】
 答唱句は、先にも書いたように、前半、最高音のC(ド)に旋律が高まります。こころから神に向かって喜び歌う」ように、気持ちを盛り上げ、この最高音C(ド)に向かって cresc. してゆきますが、決して乱暴にならないようにしましょう。また、ここでいったん6度での終止となりますし、文脈上も句点「、」があるので、少し rit. しましょう。ただし、最後と比べてやり過ぎないように。後半は、テンポを戻し、「うたを」くらいから、徐々に rit. をはじめ、落ち着いて終わるようにします。
 答唱句、全体の気持ちとしては、全世界の人々に、このことばを、呼びかけるようにしたいところです。とは言え、がさつな呼びかけではなくこころの底から静かに穏やかに、砂漠の風紋が少しづつ動くような呼びかけになればすばらしいと思います。
 第一朗読でも福音朗読でも語られる重要なテーマは「神の前にへりくだること」です。お金、名誉、地位などを持つと、人間は、ついつい、高ぶってしまうものです。それゆえ、人間は「偉くなればなるほど、自らへりくだる」(神の前に)ことが大切なのです。なぜなら、お金、名誉、地位により頼み、肝心の神に信頼することを忘れてしまうからです。
 ですが、もともと、人間はその存在自体、自ら自由に決定することができるのではありません。その、存在の最初から最後まで、神のみ手にゆだねられているのですから。
 
 DVD《この答唱詩編のCD》
典礼聖歌アンサンブル」『四旬節の聖歌』(詩編は異なります

【参考文献】
『詩編』(フランシスコ会聖書研究所訳注 サンパウロ 1968)
 










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Last updated  2007.08.17 10:39:57



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