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聖歌は生歌

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2007.11.14
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カテゴリ:答唱詩編
172 わたしたちは神の民

【解説】
 詩編122は、タイトルに「都に上る歌」とあることからも分かるとおり、巡礼のときの詩編です。3-5節に、ある記述、たとえば「ダビデの家の座」などから考えると、バビロン捕囚以前、あるいは、聖所がエルサレムに限られていた時代の歌と思われます。今日は歌われませんが、詩編の6-8節(詩編唱の4・5節)では、たびたび「平和」が祈られていますが、巡礼団がエルサレムに入るときには、このような平和のあいさつを行うのが慣わしだったようです。今のミサの「平和のあいさつ」にも受け継がれているようにも思えます。
 答唱句は、全体に低音部を中心にして歌われますが、それが、かえって、答唱句で歌われる信仰告白のことばを、謙虚に、しかし、雄大に力強く歌わせる効果があります。旋律が付点四分音符でことばを延ばしているところでは、必ず、どこかの声部が、次に来ることばを、四分音符によって、八分音符一拍分早く歌い始め、ことばへの集中力を高めるとともに、祈りの流れが継続するように、工夫されています。最後は、旋律が最高音のB(シ♭)に高まり、信仰告白のことばを力強く結びます。
 詩編小の基本的な旋律構造は、四小節目を除くと答唱句と同じで、答唱句と類似構造と言う点でバランスをとっています。四小節目だけは、終止の和音が五の和音(=F-A-C)で、答唱句の冒頭に戻る(続く)ようになっています。ちなみに、この答唱句で歌われる詩編は3つあり(他に、詩編50、詩編122)ますが、いずれも、神殿の祭儀に関連しています。それででしょうか、詩編唱の部分は、やはり、神殿祭儀(おそらく「仮庵の祭り」)で用いられた詩編81が歌われる、162 喜び歌え神に叫びをあげよと同じ旋律が用いられています。

【祈りの注意】
 この答唱句で一番気になることは、早く歌いずぎることです。速さは四分音符=60くらいと指定されていますが、一番早い速さ、と考えて歌ってもよいでしょう。冒頭「わたしたちは」は、確固とした信仰を持った、力強い ではじめましょう。「わたしたち」から「み」へは、音域が広がりますので、少し cresc. すると、祈りが深まります。解説でも書いたように、旋律が付点四分音符で延ばす間、すなわち、「わたしたち」の「」、「かみのた」の「」、「まきば」の「」では、他のいずれかの声部が、八分音符一拍分早く、すなわち、四分音符でもって、次のことばを歌い始め祈りを継続させていますから、旋律をうたうかたがたは、この、祈りの継続が十分になされるように、付点四分音符をできるだけしっかりと延ばすようにしましょう。これは、混声四部で歌われない場合でも、オルガンの伴奏がその役割を果たしていますので、忘れないようにしてください。この、付点四分音符の後は、なるべく、一瞬で息を吸うようにしますが、しゃっくりをしたようにならないでください。特に、最後の「むれ」は、最高音で歌うので、どうしても、「」をぶつけるように歌いがちですが祈りの終止としては一番よくない歌い方です。乱暴にならにように、やさしく、しかし、芯がしっかりした声で、祈りが神に昇ってゆくようにしたいものです。
 今日から、典礼暦はマタイ福音書が朗読される、A年となります。この、待降節第一主日には、毎年、「目覚めていなさい」というテーマで、福音の箇所が選ばれています。それを受ける、A年の第一朗読は「アモツの子イザヤが見た、終わりの日のユダとエルサレムの幻について」の預言です。神の国が完成されるときには、争いは終焉を告げ、神が神としてあがめられる、まことの「平和=シャローム」が訪れます。その日こそ、主の再臨のときですが、待降節は、この再臨の日を待ち望む準備の期間でもあるのです。
 今日の詩編は、C年の最後の主日、王であるキリストの答唱詩編とおなじ詩編が歌われます。典礼暦年としては、異なるものであっても、答唱詩編によって、二つの主日がつながっていることは、典礼暦のサイクルが、つながることで、いわば、神の国の完成への螺旋階段が昇り行くことを示しているといえるかもしれません。
 今日の詩編に出てくる「平和」ということばを心に留めて、わたしたちも、神が神としてあがめられるまことの「平和」の到来を祈り、そのために働く決意をしたいものです。
 DVD《この答唱詩編のCD》
典礼聖歌アンサンブル」『四旬節の聖歌』(詩編は異なります

【参考文献】
『詩編』(フランシスコ会聖書研究所訳注 サンパウロ 1968)
 








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Last updated  2007.11.14 10:27:22



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