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カテゴリ:答唱詩編
《C年》
70 神よあなたの顔の光を 【解説】 詩編27は大きく二つに分かれます。前半(1-6)は神へのゆるぎない信頼と、神とともに住む願いを歌います。後半(7-14)は困難な状況から神に救いを願います。全体に神への信頼と神の家で神にまみえることを願うこと、とりわけ、今日の答唱詩編では歌われませんが13節が「神をありのままに見て、終わりなくたたえる」(第三奉献文)ことと結びつくことから、死者のための典礼で用いられます。宗教的な感情が深い詩編の一つです。 答唱句は、詩編唱と同じように、各小節最後の四分音符以外は、すべて八分音符で歌います。旋律は第三音のEs(ミ♭)から始まり、主音に降り、神が穏やかにその顔の光を照らしてくださる様子が表されています。旋律もその他の声部も動きが少なく、特にバスは他で歌われているすべての詩編に共通する、神への信頼を表すように、主音に留まります。 詩編唱も基本的にドミナントから段階的に下降しますが、各小節とも終止音は持続音より2度上昇しており、この反復が詩編唱に緊張感と安らぎを与えています。4小節目の終止の部分は、答唱句の終止の部分と同様に終わっています。 【祈りの注意】 答唱句の最初は、mp で始め、1小節目の終わりで、いったん rit. と dim. しますが、2小節目の冒頭で元に戻し、最後は、さらに rit. と dim. を豊かにして終わります。特に、最後の答唱句は、最初からp あるいは、pp で始め、早さも、一段とゆっくりします。とはいえ、祈りのこころ・精神は、一段と深く、強くしなければなりません。 解説でも書いたように、答唱句は各小節の最後の四分音符以外、すべて八分音符で歌ってゆきます。楽譜を入れることができませんので、ことばだけで書きますが、「ー」は八分音符一拍分延ばすところを、太字は自由リズムの「1」(テージス)にあたる拍節を、*は八分休符を、赤字は音が変わった最初の音を、それぞれ表しています。 かみよあなたのかおのひかりをー*|わたしたちのうえにてらしてくださーぃ となります。 「わたしたちの」は わたしたちの と三拍ずつのリズムにすることもできますが、これは司式者が歌う部分で用いるのが基本で、会衆や共同体全員で歌う場合には、二拍ずつのリズムで歌います。 よく聞く歌い方で気になるのは 1小節目=かみよーあなたのかおのひかりをー 2小節目=わたしたちのうえにーてらしてくださいー というように「かみよー 」と「うえにー」さらに「さいー」を延ばすものです。「かみよ」の「よ」の後で間があく場合もあります。しかし、延ばしたり、間をあけるのでのであれば、楽譜にきちんとこのように書いてあるはずです(たとえば367 「賛美の賛歌」参照)。「かみよー 」ではなく「かみよ」、「うえにb>ー」ではなく「うえに」となっていますから、この「よ」と「に」は、八分音符で歌い、すぐに「あなたの」と「てらして」に続けなければなりません。特に「うえに」は、その後の「あなた」の「あ」と字間があいているので、間をとるものと勘違いされることがありますが、ここで、字間があいているのは、楽譜を作る上での技術的な限界から来るもので、決して延ばしたり、間をあけたりするしるしではありません。実際に、歌い比べてみると、延ばさないほうがはるかに深い祈りとなるはずです。2小節目の最後の「ください」も「くださいー」としてしまうと、品がない歌い方になります。「くださーぃ」と「さ」を延ばし「い」を最後に添えるようにすると、品位ある祈りになります。 今日の答唱詩編は、第一朗読と福音朗読の間の、展開と言えるでしょうか。第一朗読では、神がアブラハムと契約を結ばれたとき、アブラハムは暗黒におそわれます。それに対して福音朗読では、イエスの変容の場面が読まれます。ちなみに、福音朗読で弟子たちが包まれてゆく雲は、旧約時代から神の臨在のしるしとされいます。わたしたちは洗礼によってキリストの栄光にあずかる者となりました。今日の福音で読まれるイエスの変容は、受難・死・復活による過越によって栄光を受けられたキリストを象徴するものです。わたしたちは洗礼によって、すでに、この過越しに結ばれ、キリストの栄光にもあずかるものとなっています。毎年、四旬節第2主日に主の変容が朗読されるのは、洗礼志願者が復活徹夜祭における洗礼によって、この主の栄光に結ばれることをあらわしています。今日の詩編を味わいながら、わたしたちもモーセやエリヤ、また、ペトロ、ヨハネ、ヤコブたちのように、いつか、主の栄光に包まれ、神の美しさを仰ぎ見ることを願いましょう。 この答唱詩編は、答唱句・詩編唱ともに、非常に繊細なものです。祈るわたしたちも、日本語の繊細さを生かしながら、細やかなこころで祈りを深めてゆきましょう。 【オルガン】 いつも、この形式の答唱詩編の前奏で注意していることですが、前奏のときも、実際に歌う長さで、音を出すことを忘れないようにしてください。答唱句のことばや福音朗読の内容を考えると、明るめながら、控えめな音色がよいと思われます。強い音量や派手な音色は、四旬節でなくとも避けたい答唱句です。フルート系の8’、会衆の人数によっては、4’を加えてもよいでしょうが、最後の答唱句は8’だけで、しっとりと味わえるようにすると祈りも深まるのではないでしょうか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2016.02.18 16:49:21
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