野村万作・萬斎 狂言公演 『鏡冠者』 『能楽囃子』 『越後聟』
2015年11月8日(日) 午後1時開演 びわ湖ホール 中ホール
すっかり、ご無沙汰しておりました。1年以上、ブログ更新してなかったのですね~。
その間、個人的にいろんな事がありましたが、狂言はコンスタントに鑑賞していました。
今日は久しぶりに感想をUPしたいと思います♪
◆『鏡冠者』 太郎冠者:野村萬斎 主:高野和憲 鏡冠者:深田博治 後見:岡聡 飯田豪
鏡冠者はDVDで鑑賞したのみだったので、とても楽しみにしていました。
解説で石田さんがおっしゃっていた通り、始まったころは太郎冠者がお神酒を何やかやと理由をつけて飲んでしまって、したたかに酔うという狂言らしい滑稽な話しでしたが、鏡の中の自分と連舞(つれまい)を始めて途中で様子を見に来た主が二人を取り違えて話しかける辺りから、段々とゾッと寒気を覚える様相に変わりました。
太郎冠者はいつまでも陽気に謡って舞ってましたが、その陽気さがかえって空恐ろしさを増していたように思います。
鏡の中のもう一人の自分。いや、全くの他人なのかもしれない。その得体のしれない者がこれからは自分として表の世界で暮らしていく。
そして、自分は鏡の中の実態のない空間で生きていく。なんて怖い話でしょう。
太郎冠者の萬斎さんと鏡冠者の深田さんが左右対称の立場に入れ替わる一瞬で、持つ扇をチェンジする早業は鮮やかでした!
深田さんが持つ扇は、わざわざ左利き用の扇を作られたそうです。(石田さん談) 肩衣の鳥の絵も左右対称になっていました。腰帯も萬斎さんは白。深田さんは黒でした。
鏡の中に閉じ込められた太郎冠者は最後にどこへゆくのかしら~。と思っていたら、舞台の後ろに鏡の空間が出来てそこへ倒れこみ、起き上がった時には武悪の面をつけているという演出で最後は客席が鏡映しになるという、これまた「きゃ~~~!」と、声を上げそうになる間がしばらくありました。
果たして、あそこに映っていたのは本当に自分たちだったのでしょうかね。
深田さんが発する大笑いは、凄く迫力があってよかったです。太郎冠者が鏡の中に置いて行かれた時、会場では少し笑いが起きてましたが、私は怖くて笑えなかったです。鏡ってやっぱり異世界の入り口のような気がする。
◆『越後聟』 聟:野村萬斎 勾当:野村万作 舅:石田幸雄 太郎冠者:月崎晴夫
この曲もずっと生で見たい!と思っていたので、見られて本当に良かったです。いや~、萬斎さんの身体能力は素晴らしいですね。
来年は天命を知る年代に入られるので、そろそろこういう体を張った曲は難しいかな。と、大変失礼なことを思ったりしておりましたが、とてもとても。 まだまだイケます!
次女のお聟さんらしく、とても初々しい感じで出で立ちも華やかさが際立ってました。
長女のお聟さんの万作さんは、位の高さから出る品と穏やかさが杖をつく所作に自然とかもし出されていて、さすがだな~~と感嘆しました。
萬斎さんが獅子舞を披露するために一旦、揚幕の中に戻られた中、勾当の万作さんが平家物語を聞かせて下さるのですが、敵に切られた踵と顎を逆さにくっつけたら、踵からヒゲが生え、顎にひび割れができたというムチャクチャな話が面白かったです。
そして、お待ちかねの獅子姿のお聟さんの登場!お囃子に乗って、軽やかなアクロバットを披露。
左右からの跳び返り着地も中央にバッチリ着地。獅子の被り物から垣間見える切れ長お目目が、たまらなくエロい。
あ、しまった。また感想があらぬ方向に行ってしまう。
三点倒立も見事に決まり、欄干越え跳び込み前転も軽~~くこなされてました。
石田さんもおっしゃっていましたが、本当にお目出度い!その一言に尽きる演目でした。
また、ボチボチと感想書きます。