滋賀県立大学能楽部主催の能楽を観て来ました。
場所は彦根城博物館内の能舞台。
県立大学創立後まもなく活動を始めた能楽部の「淡海(たんかい)能」も今年で十回目の公演になるそうです。
私が観に行ったのは、今回が始めて。去年は、都合が悪くて観にいけませんでした。
観覧料は無料♪
内容は「連吟」「素謡」「仕舞」「舞囃子」。
そして最後の演目は、能楽「船弁慶」
(今日の演目はコチラから見れます)
用事があったので、途中からしか見れなかったのですが、「敦盛」の舞囃子や、学生さんのお師匠さんの仕舞が見れました。
学生さんの初々しいけれど、基礎のしっかりした所作に、すっかり感心しました。
女子学生さんもいらっしゃる訳で、いつもは男性ばかりの能舞台が凄く華やかな印象でした。
お師匠さんは観世流シテ方の深野新次郎さん、貴彦さん親子で、やっぱりお師匠さまの舞は型に全くブレがなく、キレも抜群で全然違いますね。
長年培って来た歴史が舞に表われていました♪
で、今日の見せ場は、最後の演目「船弁慶」にキマリ!
実は。。アイ(狂言方が勤めます)に茂山家の正邦さんのお名がっ!
つきうさ☆嬉しい悲鳴でございます。( ̄0 ̄☆)/ オォー!!
タダで正邦さんのアイが見れるなんてね~。
おまけにカメラ&ビデオカメラO.K~~~な淡海能~~。
ですが。。持って行ってませんでした。(⌒-⌒;)
船弁慶の内容というのは、
九朗判官義経は、兄頼朝に追われて九州に逃れる途中、摂津国から船に乗り込む所でした。
その一行の中に静御前がこっそり加わっており、義経についてゆこうとしますが、義経に説得されて都に帰る事になりました。
弁慶が船の門出を祝って静御前に舞いを舞うように願い出ます。
静御前は別れを哀しみながら舞い、いつか頼朝の怒りが解けて、二人が再会出来る事を祈りました。
船出の際、涙ながらに見送る静御前を見て、船頭(正邦さん)も涙を流します。
最初、よいお天気で雲ひとつ無かった空がにわかに掻き曇り、風も出て船が揺れます。
波もさざめき、このままでは陸地に着きません。
と、そこに波の合間から滅んだはずの平家の亡霊が次々と現れ、平知盛の亡霊が義経を襲います。
しかし義経は怯むことなく、生きている人間と戦うかのように剣を繰り出します。
が、相手は悪霊。。いくら剣を交えても消えゆかない。
その時、弁慶が進み出て義経を庇いつつ、読経を唱え始めます。
知盛は一旦、引き離されるが、尚も船を襲います。
義経が応戦し、弁慶が読経で調伏しているうちに、距離は次第と離れ、知盛の姿は引き潮に流されて見えなくなりました。
後に残るのはただ白波ばかりでした。
って、いう事で主役(シテ)は誰かと申しますと、前半は「静御前」。中入り後の後半は「知盛」です。
判官源義経は普段は子方が演じる役で、これを女性が演じてたのですが、セリフは棒読みです。
子方ですから、そのような読みをワザとしているんですね。
弁慶と従者がワキ(読みの通り、脇役です)。
そして、船の漕ぎ手、船頭役をアイの茂山正邦さんが演じていました。
前シテ(静御前)も後シテ(知盛)も女性シテでした。
これがまた、素晴らしい出来でね。
前シテの静御前の舞いはその名の通り、「静か」そのもの。。
まだ、判官義経の船は出てないのに、私は睡魔に襲われ既に船を漕いでました。。(⌒-⌒;)
素人さんなのに、よくぞここまで仕上げて来れたな~って感想です。
後シテの知盛は打って変わって激しい動きの連続!
それでいて、序破急の動きは完璧でした。
波の合間から現れるので、揚げ幕から出て、また幕内に隠れるんですよ。
そして、登場する。。へ~~。なるほど~~。やっぱり、いろんなお能を見ると、その状況を感じる事が出来ますね。
義経との剣合わせの動きも二人とも呼吸が合っていて良かったです。
それと、弁慶も必死に主を庇う所作と読経が迫力ありました。
で、アイの船頭は、前シテが退場した後、『静御前が哀れで涙なしではいられない。弁慶殿はどう思われましたか?船の用意が整っています。』
というような問答を弁慶とします。
そして、義経が船出する時に船を用意するんですが、この作り物の船を幕内から出して来て、義経・弁慶・従者を乗せて漕ぎ出でます。
最初は穏やかな海で快晴でした。「今日は良いお天気になりました。船出にもってこいのお天気です」と、船頭は言うのですが、山の向こうから怪しげな雲が出てきたときには「むつかしい雲が、近付いて来ました」という言葉を使ってました。
『むつかしい雲』結構、インパクトのある言葉でしたヮ。
珍しくアイも最後まで船に乗ったままで、最後まで舞台にいらっしゃいました。
が、船が舞台の右袖(見所から見て)にあったものですから、一番奥にいる船頭の正邦さんは良く見えず。。(って、別に正邦さんだけを観に行った訳ではないのだけど)
学生さんが披露する淡海能。
プログラム冊子も演目やお能の見方、番組表の読み方なんかも詳しく載せてあって、学生さん手作りの味のある冊子に仕上がっています。
このような若者たちが古典芸能を懸命に勉強し、素晴らしい舞台を見せてくれるって本当に素敵な事ですよね。
まだまだ古典芸能は、捨てたものではありませぬな。
来年は、必ずカメラ持参で観ようと思います。
来年のアイ方は誰かな~~(←結局、これが目的かぃ!)