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2006/05/08
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カテゴリ:陰陽師大好き♪

昨日は一日中、雨が降ってました。
予定されてた娘のサッカーの試合は延期になり、時間が余ってしまった つきうさ家。
ダンナはテレビとお友達♪ 娘はゲームとお友達。 息子は惰眠を貪ってる。

さて!ワタクシメはジトジトした空気の中、掃除する気も全く起こらず。
ダンナがいるとPC触れないんで、読書に耽る事にしました♪
むっちゃ、読んでない本があるんよね~。
そんな山のような新品の本の中から選んだのは。。
「安倍晴明 陰陽師」 伝奇文学集成 ↓
     安倍晴明陰陽師伝奇文学集成

陰陽師 安倍晴明にまつわるお話ばかり詰まった本です。
それも、私がいままでに目にした事のない作家のお話や、名前はよくよく知ってるけれど、読んだことがない小説家の戯曲などが収められていて、中々内容の濃い本でした。(“でした”といってもまだ全部読んでないのですけどね)

中でも、目を引いたのは『郡 虎彦(こおり とらひこ) 1890~1924』さんの「丑の時詣りの小戯曲 鉄輪」

前妻を捨てた橘元清が夜な夜な現れる前妻の生霊に今にも命を取られそうになって、晴明のいる明神にやってきて助けを求めるのですが、晴明は「それはそなたの運命だ。抗う事が出来ない。
この晴明であつても、『恋の嫉みに生きながら鬼になった女(おなご)の執念には、ありとある妄執が一念の炎(ほむら)にもえてゐるゆゑ、陰陽師の祈念も力に及ばぬ、この上どのやうに祈ればとて、お身達の命は逃れやうも無いのぢや。』(本文より抜粋)」と拒むんですよ。

それでも、今の妻の命と自分の命を助けてくれ!と哀願する元清だけど、「この杜に来たのも、私に逢う為ではなく、たまたま通りかかって私の事を思い出しただけであろう? それよりも今は心を沈めて思い知ることがあるはず。先の妻は毎夜ここへ来て、三七日の満願成就を遂げようとしている。それから逃れることは出来まい。」

と、どこまでも冷たい返事の晴明だけど、「ついてきなさい。消え行く最後(いまわ)のそなたの心を、先の妻の物狂しい呪いの爪でむごたらしく傷つけたくはない。それに、掃き清めた神前にあからさまな血を流してもならぬ。」と、助けようとするんです。

でも、もう先の妻が杜に嬉々として近付いてる足音がそこまで迫って来てる。
そして、恐ろしい鉄輪の女が新妻の藁人形を杉の木に打ち付けて命を奪う、おぞましい場面が!

『さあ女(おなご)、勿体らしう着飾ったそちが命も、この釘の一と打ちで一度(はじめ)生まれた沼地の泥に帰るのぢや。ぱつと破れた血袋に、灰白(はひじろ)なそちが体も真赤に塗れて、宇治の川瀬の蝦蟇よりもまだ見苦しい孕み姿は、子供がつぶした蛇の様に打ちひしやがれてしまふぞよ。長(なが)の春秋(はるあき)添いながら、生まれもせぬ「嫉妬(ねたみ)」の胎児(はらご)を覚えたばかりで、身は何一つ宿しもせなんだに、ようもそちはこの姿になつてのけた、見い、大切(だいじ)さうに包んだ頭も今は一つ打ちぢや。
---このやうな所に白眼(しろめ)の切が飛び散つて、まだしぶとうも動くさうな、暗(やみ)の中では葡萄のやうに碧う見える男の瞳も、この眼は宵々に見てゐたのぢや、嫉ましいぞえ、嫉ましいぞえ、ほんにほんに力の限り打てばとて、乳の先までもえ立つた夜毎の嫉みは足りもせぬ。』
(本文より抜粋)

とまぁ、その怨念のすざまじさ!( ̄Д ̄;)
この後も壮絶な怨みの釘打ちが続きます。 そりゃ、物凄いでっせ。

「かな」が旧使いだし、言葉も古いですから、その分、凄く恐さが伝わって来ます。
ただ、この鉄輪はこの一幕だけしかないのか、一幕の部分だけをこの本に載せてあるのか、よくわからないんですが、新妻の命を奪い、さぁ、次は恨めしい男の命を!って所で「幕」になってるんですよ。

晴明に仕える社人が「恐ろしい呪ひようで御座りまする。先前(さいぜん)のお人はどうなされました。」と、晴明に尋ねたら
「知れた事ぢや。生きながら嫉みの鬼になつて呪ふ力に、水にゆれる影のやうなはかない命が、一と時でも抗うてゐられぬのぢや。」との返事。

で、どうよ? やっぱり、元清は助かったのかねぇ。
夢枕さんの「鉄輪」にしても、能の「鉄輪」にしても、最終的には呪われたご本人は助かってるんですが、この郡さんの「鉄輪」に限っては、男の身勝手さがものごっつう出てるので、『このまま取り殺されてもいいのでは?』と、思ってしまった。

郡さんは「道成寺」の一幕劇も書いてらしゃって、帝国劇場で上演されたそうです。
実際のところ、郡さんの存在は全く知らなかったなぁ。名前の読み方すらわからなかったです。
この方も山月記の中島敦さん(享年33歳)と同じく、34歳という若さで夭折されてるんですよね。
それも、スイスで没したとか。
今度、図書館で郡さんの本を探してみようっと!

さて、まだ読みかけのお話があるので、続きを読むとしますか。
えぇ~っと、次は小松左京さんの「女狐」。 おっ!葛の葉伝説とかかわりのある話かな?!期待大です♪






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最終更新日  2006/05/08 10:20:27 PM
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