野村万作・萬斎 狂言公演 3/8 びわ湖ホール
◆狂言 「骨皮」 新発意:野村萬斎 住持:野村万作
檀那:竹山悠樹 檀那:月崎晴夫 檀那:深田博治
後見:岡 聡史
[あらすじ]
寺の住持が新発意を呼び出して、「自分は隠居するので、この寺をお前に譲ろう」と言った。
喜ぶ新発意に、寺を維持するには檀那衆のあしらいが大事を言い聞かせる。
にわか雨が降ってきて、一人の檀那が寺に傘を借りに来ると、住持の言葉を思い出した新発意は
老僧秘蔵の傘を貸す。
意気揚々と住持に報告に行ったが、反対に住持から「そんな時は傘は風にあって、骨と皮に吹き
破れてしまったので、天井に投げ上げてある」と断るように教えられた。
別の檀那が馬を借りに来た際、新発意は先ほど教わった言葉通り、断った。
それを聞いた住持は呆れて、馬の場合は「駄狂いをして腰が抜けたので、厩の隅につないで
ある」と言って断るものだと教える。
次に、別の檀那が住持と新発意を食事に招待しに来ると、新発意は住持が出掛けられない
理由を話しだし。。。
20分の休憩が終わると、再び、出囃子が鳴って岡さんが「めくり」をめくっていく。
狂言「骨皮(ほねかわ)」の始まり。 上部の提灯と「びわ湖狂言」の文字が消えてゆく。
バックは襖と壁。いかにも、お寺の一室のように見える。
住持の万作さんと新発意の萬斎さんがご登場~。
萬斎さんは若草色の上衣を着てらっしゃる。
住持から「寺を譲ろう」と言われて、ウキウキ~~の新発意さん。
「檀那あしらいが大事だぞ~」と、言われて、傘を借りに来た檀那にホイホイと秘蔵の傘を貸して差し上げる。
まず、檀那に「あなたを喜ばすことがある~」と、自分が寺を譲られた話を得意気に話す所が面白し。
「傘を貸してやって、きっと、住持は褒めてくれはるやろ~」
と、思って報告するも、
「そんな時は、辻風に遭ったとき、骨は骨、皮は皮とバラバラになってしまい、使い物にならなくなり、天井に押し上げています。と、言って断るものだ。今度は上手にやれよ。」
と、叱られちゃんですね~。
口を少し尖らせながらも、「今度は失敗しないぞ~~!」と誓う新発意さん。
次は馬を借りに来た檀那に
「馬は、風に煽られ骨と皮がバラバラになって。。。」
と、さっきの傘の断り方をそのまんま伝えたものだから、檀那さんはビックリ仰天!
「な、何?! 馬の骨と皮が、バラバラに!?」
そら、ビックリします。馬の骨と皮がむけちゃったら、死んでしまいますがな。
ここでも、新発意さんはまず、檀那さんに自分が寺を任されたんだ~、自慢報告から入るんですぅ。
ムッチャ、可愛い。クスクスと笑える。憎めないキャラだ。
今度こそ、住持は褒めてくれるだろ~と思ったのに、こっぴどく叱られる新発意さん。
拗ねたようなお顔がまた、可愛い♪
馬を貸すのを断るときは
「駄狂いになったので、腰が立たず、厩の隅に繋いである」
というのだ、とのご指南。
次に来た檀那は、住持と新発意を家に招待したいと言うのだけど、新発意さんは「住持は行けない」と勝手に断ってしまうんです。
その理由とは。。
「駄狂いになって腰が抜け、厩の隅に繋いである」というもの。
それを聞いた檀那さんは
「え!? 住持がですか?」と、またまたこちらもビックリ仰天!
全く、素直すぎるというか、悪意があるのかないのか、新発意さんの真意はイカに!?
住持に事の次第を報告すれば、当然叱られますわなぁ。
だけど、新発意さんはここで逆襲~~に出ちゃう。
「だって、身に覚えあるでしょ~? いちゃ(女)と眠蔵で駄狂いして~、堂の鳩が鳴くような~~。」
というと、後ろの襖が開いて、奥に設置されてた障子に女性の影が映し出されました♪
「眠蔵=ベッドルーム」というキーワードが隠れてるって萬斎さんが枕でお話されてた事が活きてきます。
(女が尋ねてきた時に、ベッドルームで鳩がポッポと鳴くような声を上げて。。。)
「何!?ワシがいつ駄狂いなどした!」
住持は必死になって叱るのですが、ついには障子に大きなピンクのハートが映し出されて、新発意の悪乗りは最高潮~!に。
「破壊の出家は牛にうまるる」
とまで言って、住持に「やるまいぞ!やるまいぞ!」と追い込まれて、終わりました。
いやはや、障子にピンクのハートが浮かんだときは、大爆笑~~でした。
面白い演出だったわ。
娘は意味がどこまでわかっているのか不明でしたが、ピンクのハートはウケたようです。
萬斎さんは太郎冠者が良く似合うけど、こういうお惚けたキャラも似合いますね。
ちと、オツムが足らないんだけど、憎めないキャラ。
セリフの間とちょっとした表情が絶妙~~、なんだな。
万作さんのセリフの折には、万作さんに視線を向ける。。
ように努力するけど、やはり自然と萬斎さんの方を見てしまう。
あぁ。あたしって、いつまで経っても「萬斎さんを見に来てる」感じだなぁ。
だけど、次はいつ生舞台を拝見できるかわからないし。。
一瞬の表情も見逃したくないっつーか。。
もうちょっと、成長せんとアカンな。
っていうか、今回の狂言会。むっさ、時間が過ぎるのが早かった。
「もう、終わり~~~!?」つい、愚痴ってしまった。。
そうそう、全ての演目が終わったとき、ふたたび「めくり」がめくられて
「お気をつけて、お帰り下さい」の文字が。。
最後まで落語的で笑止めで終わる狂言会でした。
さて、来年はどんな演目かな?今から楽しみです☆