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2008/04/03
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カテゴリ:鞍馬天狗

野村萬斎さんが鞍馬天狗の主役を演じられて此の方。
鞍馬天狗のヒーローぶりに魅了され、原作の鞍馬天狗の世界にも触れてみたくなりました。

原作者は大佛次郎(おさらぎじろう)さん。
つい、「だいぶつじろう」と読んでしまいますね。 変わったお名前ですホントに。

NHKの放送が終わった頃から、図書館に行って探してみました。
しかし。。作品が古いからか。。多分、借りる人が少ないんでしょうねぇ。
「一般書架」には置いてなくて、職員だけが出入り出来る「書庫」に蔵(しま)われている状態でした。。
っていうか、「テレビ放送してたのに、誰も借りに来んかったんかいっ!」と、ちと、ご立腹なワタクシでした。
いや。。誰も借りてないから、スムーズに借りられたんだけどもね。

図書館にあったのは、朝日新聞社から出版されている「大仏次郎時代小説全集 全24巻」で、
24巻の内、1~5巻に「鞍馬天狗」の小説が収められているのでした。

私、てっきり、ここに「鞍馬天狗47作品」全部が収まってると思ってたんだけども。。
26作品(27かな?)しか収録されてなくて。。

読んでみたかった「鞍馬の火祭り」や「天狗倒し」が入ってない。
奇怪な事に「山嶽党奇談」まで、なかったのです~(泣) こは、イカに!?

幸いな事に「山嶽党奇談」は、違う出版社の本が図書館にあったので、読む事が出来たんですけどね。
これ、読めなかったら悲惨でしたわ。

借りた「山嶽党奇談」の本は、市民からの寄贈本だったみたいで、寄贈者のお名前が書いてありました。
ありがとう~~。寄贈してくださった方!感謝です。
あなたがいらしゃらなかったら、読む事、適わなかった~。

またこれがレアな本でね~。 読み終わって、何気なく最終ページを見たら、あなた!
大佛さんの検印が押してあるじゃないですかっ!


  sk


時代を物語る検印だな~。と、思った次第です。

んでもって。。朝日新聞社の「鞍馬天狗1~5」にしても、この「山嶽党奇談」にしても、
字が細か~~いったら、なかったよ~。
オマケに1ページが上下段になってますのじゃ。
朝日新聞社から出てる本の大きさと分厚さは。。
そうですね~、「ハリーポッター」シリーズと同じくらいでしょうか。。
目がうっとおしくなってきた私には、ちとツライものがあります。

でも、内容はどれも惹き込まれるものばかりで、時間を忘れて鞍馬天狗の世界に浸りきってた。
何と言っても、使われている言葉が美しいというか、今では絶対、使いこなせない言葉が数々あって、
それが魅力のひとつとなっています。

  孤影悄然(こえいしょうぜん)    ひとりぼっちで寂しい様子
  浪裡白跳(ろうりはくちょう)     水中を自由に跳び回る様
  仮借(かしゃく)            赦す、見逃す
  瞞着(まんちゃく)          世間を欺く、ごまかす
  黒白(こくびゃく)           明暗、善悪、是非
  足下(そっか)            貴殿
  磊落(らいらく)            気が大きく朗らか、小事に拘らない
  陥穽(かんせい)           落とし穴
  生胴(いきどう)           新刀試(あらみだめし)にする生きた人間
  ゆくりなく               思いがけず


こんな美しい日本語があるなんてね。
ほんの少し前の時代の人は自在に操っていた言葉だろうに、今、使える人はほとんど居ないだろうなぁ。
もっと、知りたいな、こういう綺麗な日本語。


鞍馬天狗が「御用盗異聞」の中で語っていた、鞍馬天狗の真髄。
とても印象的だったので、書き留めておきました。

 「拙者は、薩摩の家来ではない。また、徳川に代わって島津が天下を取ることを望むのではない。
 いや、むしろ、そのようなことがあれば、幕府に向けた剣をひるがえして、一死、島津を討つ者だ。
 ただ、天下を天子の所有と心得る。二千年の歴史がまた父祖代々に享けた血がこの胸にかく語るのみじゃ。
 かかるゆえに、日本国の尺寸の土地、一木一草も私の物でない。
 人もじゃ。将軍も橋の下の乞食もひとしく大君の民。天子の御目にすべては平等だ。
 京都もない。薩長もない。」
(原文どおり)

鞍馬天狗は一匹狼であり、どこにも従せず、常に俯瞰して物事を見定めている。
本当に天狗のような御仁なんです。

それでいて、男前と来てる。

どのお話だったか忘れましたが。。
眠っている鞍馬天狗の顔を眺めている吉兵衛の呟き。

 疲れもしたろう、昨日の朝から今朝にかけ、ずっと一昼夜打っ通し の緊張しきった時間が続いた。
 それにしても、鞍馬天狗の寝顔を見まもって吉兵衛が驚くのは、少しもやつれたような影さえ見えない
 ことだ。若い!
 起きて話しているときは例のように颯爽として、時によっては吉兵衛などは鼻面を持って曳き摺り
 廻されたように右へ左へうろうろさせられるくらいなのだが、このひとの言うこと、することは
 妙に明るくて気持ちがよかったが、それも起きている間は気を張って意識的にやっていると見て
 見られぬこともないのだが、こうして睡っているのを見てやはり同じような心持で眺められるのは、
 この男に惚れ込んでからもうかなり長い吉兵衛のような者まで、また新しく惚れぼれと見まもる
 くらいだった。長い睫毛も美しい。皮膚なども久しく浪人暮らしをして来たひととも思われぬ。
(原文どおり)

こういう言葉を読むと、姿、出で立ちは、萬斎さんがスッと重なって見えるから不思議。
原作に書かれていた「暗殺人別帳」の鞍馬天狗の部分は。。

      鞍馬天狗
    本名判別せず。倉田典膳と名乗りおることあり。
    身長五尺五寸ぐらい。中肉にして白皙、鼻筋とおり、
    目もと清し。一時洛南の松月院に潜伏しいたることあるも、
    その後の行方不明。
    不逞の徒中の元凶なり。
    剣道は一刀流皆伝。獰悪。慓悍。
(原文どおり)


やっぱり、見た目は萬斎さんですね(笑)

でも。原作を読み進めると、鞍馬天狗のイメージは市川雷蔵さんに変わって行ってしまうのです。
原作の天狗さんは気風の良過ぎる所があります。「男気」が全面に出っ放し。

でも、相手の出鼻を挫く落ち着いた(人を食ったような)先制攻撃などに触れると、
声音は萬斎さんに変わってたりする(笑)

   
言葉の美しさ。鞍馬天狗の人としての大きさ。幕末から明治にかけて、必死に生きた人の命の重み。
いろんな意味で勉強になったり、教訓になったりします。
みなさんも機会がありましたら、一昔前の文学に触れてみて下さい。
きっと、心が豊かになると思いますよ♪






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最終更新日  2008/04/03 09:50:43 PM
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