本屋さんで、NHK「日本の伝統芸能」のテキスト本を立ち読みして来た。
狂言のところで、山本東次郎さんと村上湛さんの対談が載っていたんだけども。。
最近の見所(けんしょ)の「笑い」の質について、厳しい事が書かれていた。
「笑わないといけない」と思っている。
泣きの型を見て、笑う。。。 それまでの舞台の内容が、その笑いによって台無しになる。
いわゆる、不必要な笑いが増えたと、お感じになっているご様子。。
私はどうだろう。。面白ければ、結構、笑っているほうだが、演者に「?」と思われるような笑いをしていないだろうか。。
はなはだ、自信がなくなってきた。
見所の笑いも品が必要なのか。。?
インタビュアーの村上さんが別のページで狂言界について語ってらっしゃるんだけども。。。
若手の狂言師の代表は「東の野村萬斎」「西の茂山宗彦・逸平」と、名前を挙げて一応、それらしく持ち上げてはいらっしゃったけれど、若手の狂言師は忙しさのあまり稽古が充分に出来なくて、声が腹の底から出ていない。
これでは、狂言の将来が危ぶまれる。。な~~んて、事を書かれていた。
そうですかぁ~~? 若い狂言師の方もちゃんとお腹の底から声出てると思いますけど~?
私は素人だから、わからないのか?
だいいち、そんな事をテキスト本に書かなくてもエエやんか!
と、読みながら段々、不愉快になってきた。
私のこんな意見を読まれたら、
「そういう色メガネのファンが見所を荒らしている」
って、思うんだろうな~。
テキスト本には、狂言「花子」や「釣狐」の内容が書いてあって、結構、魅力的だったけど、
なんか興醒めしちゃった。
この前、NHKで「それぞれの“ちりとてちん”」(関西地区だけみたいですね)というのを放送していて、
その中で茂山宗彦さんがこんな面白いお話をされていました。
もっぴー演じる小草若は「そ~こ~ぬ~け~」のセリフとポーズですっかり、おなじみになりましね。
それが背景にある話です。
狂言「仏師」で、ニセモノ仏師の逸平さんが仏像の印相を作る時に、絶対、やっちゃイケないんだけど「そこぬけ」のポーズを本舞台でやって、お客さんにメチャクチャ受けていて、悔しい思いをした。
また、当主の茂山千五郎が最後の挨拶で「これからも“そこぬけ”によろしくお願いします」などと挨拶し、自分より周りが使って喜んでもらえたので嬉しかった。
この話を聞いて、どこかで「言語道断!」と言ってる、その筋の人も多いんだろうな~。
イッペちゃんはすっごい危ない綱渡りをしちゃったかもしれないけど、当主の千五郎さんが最後に救いの手を差し伸べた形で「さすが!」だと思う。
これが何度も続けば「言語道断」でしょうけど、一度限りのオチャメな遊びが観客の心を掴み、それが千五郎家の親しみやすい本来の狂言の形なんだから、見所で文句を言ってる人は誰もいないだろうなぁ。
萬斎さんにしても、もっぴー達にしても、自分の立場やこれから先の狂言をしっかり見据えて行動している筈。
けっして、狂言の未来は暗くない!