『パブリック・エネミーズ』 2009年12月12日(土)公開
監督:マイケル・マン
出演:ジョニー・デップ クリスチャン・ベイル マリオン・コティヤール ビリー・クラダップ
スティーヴン・ドーフ スティーヴン・ラング ジェイソン・クラーク ジョン・オーティス
デヴィッド・ウェンハム ジェームズ・ルッソ クリスチャン・ストールティ スティーヴン・グレアム
ジョヴァンニ・リビシ ビル・キャンプ スペンサー・ギャレット ピーター・ゲレッティ
ブランカ・カティッチ リーリー・ソビエスキー ロリー・コクレイン ジョン・キッシュライン
キャリー・マリガン リリ・テイラー ジョン・オーティス ドン・フライ ランス・ベイカー
スティーヴ・キー デヴィッド・ウォーショフスキー アラン・ワイルダー マット・クレイヴン
ダイアナ・クラール 他
【ストーリー】
1933年、アメリカ。それまでの“強盗”のイメージをくつがえす紳士的な立ち居振る舞いと、圧倒的なカリスマ性によって、不況に苦しむアメリカ市民のヒーロー的存在になっていた銀行強盗のジョン・デリンジャー(ジョニー・デップ)。
ある日、シカゴのバーにいたデリンジャーは、他の女たちとはどこか違う雰囲気をまとった神秘的な美女ビリー(マリオン・コティヤール)に目を奪われ、ふたりは一途な愛で結ばれるようになった。
その頃、創設されたばかりのFBIの長官エドガー・フーバー(ビリー・クラダップ)は、敏腕捜査官メルヴィン・パーヴィス(クリスチャン・ベイル)をシカゴ支局長に就任させ、ジョン・デリンジャー逮捕をマスコミに公言する。
滞在中のホテル内で起きた火事がきっかけとなり、デリンジャーと彼の仲間たちはあえなく逮捕されてしまう。
その後、刑務所に収監されていたデリンジャーは偽物の銃で看守を脅し、脱獄に成功。
デリンジャーは、シカゴに戻っていたビリーに、真っ先に電話を入れる。
FBIから盗聴されていたビリーは「シカゴに来ないで」と哀願するが……。
公開初日のレイトショーで見て来ました♪
男臭い映画だったなぁ。想像していたのとは少し違う、ジョン・デリンジャーというカリスマ人物のドキュメンタリーみたいな感じだった。
こういう映画は、好き嫌いがハッキリするだろう、と思いました。
エンターティメント要素は希薄だし、わぁお!と驚くようなストーリー転換があるわけでもない。
ただ淡々と史実にのっとって、ジョン・デリンジャーという「パブリック・エネミーNO.1(社会の敵NO.1)」といわれながら、大衆には絶大な人気を誇っていた人の『男の美学』を美しく見せてくれる映画でした。
そりゃぁ、ギャング映画だからドンパチ!は派手だし、人の目線を模したカメラワークは見事だし、注視する部分はてんこ盛りあります。
実際、ジョン・デリンジャーが収監されていた刑務所や、FBIと銃撃戦を行った山荘での撮影など、リアルすぎるくらい当時とシンクロさせた映像は見ていてもドキドキするし、真実味が伝わって来ます。
ラブ・ストーリーで展開していくところは、ちょっと意外だった。
ジョニーが来日するまでは、ジョン・デリンジャーという銀行強盗の人生の一部に女性が登場するだけだと思っていたから。
「今日が楽しけりゃ、明日のことなんて考えない。」
「汚い金にしか手を出さない」「仲間を決して裏切らない」「愛する女を最後まで守り抜く」
そんなデリンジャーの前にFBI捜査官のメルヴィン・バーヴィスが現れてから、仲間がドンドン減り、シンジケートから疎まれ、愛するビリーにも逢えない日々の中、不本意な相手と手を組み、自身のポリシーも守れなくなっていく転落の人生を、ジョニーは目の動きや、ふっと見せる表情で表現していました。
ジョニーは子どもの頃、デリンジャーに憧れていたと言うだけあって、彼になりきってましたね。
最後は、仲間の裏切りでジ・エンド。 そんなのアリかよ?!ですね。
確かに銀行強盗は犯罪です。が、もっと悪いヤツは一杯いたのです。
今の時代にも共通しますが、現場に出ないで机上のみで物事を判断し、自らの身を守っている輩のFBI長官のフーバーなどは、腐ったヤツです。
銀行自体も弱者に対して不当な担保や差し押さえで汚い商売をしていたんだから。
デリンジャーを追い詰めるFBIのメルヴィンに対して、「(命尽きてゆく仲間の)目を見たろ?そいつの目には最後にお前が映り、そして何も映さなくなる。・・・夜も眠れないだろう。」とデリンジャーが言います。 「俺は慣れてる。」とも。
果たしてあの言葉は真実だったのだろうか。。?と思った。
仲間の死に際して、いつも最後まで諦めずに手を差し出していたデリンジャー。
死に逝く仲間の目にはデリンジャーの姿が移り、そして光りを失ってゆく。
その事に彼は本当に「慣れていた」のか?
仲間を大切にする彼が平気だったとは、到底思えない。
メルヴィンはFBIを去り、最後は自ら命を絶ったということです。
デリンジャーが言ったように、眠れない日々を過ごしていたのかも。
ビリーとの恋模様はそりゃもう、ジョニーのような男前で強く押してくる男だったら誰でも落ちるわなぁ~と、つい羨望の眼差しで見てしまいました(笑)
次々と仲間を失い、仲間に裏切られたデリンジャーだったけど、ビリーだけは彼を裏切らなかった。
どんだけ自分が傷ついても、最後まで彼を守ったビリーは本当に強い女性でした。
デリンジャーと最後まで行動を共にしていた強盗仲間のレッド。
彼の死の間際の最期の忠告は「ビリーのことは諦めろ。」だった。
それでもデリンジャーは、ビリーを救い出す為に危ない橋を渡り再会を果たすのです。
もう、デリンジャーにはビリーしか残っていなかったんだよね。
彼女だけが、最後の望みだった。
二人の逃避行のシーンは「俺たちに明日はない」の映画シーンとちょっとシンクロした。
破滅への道のりをあなたたちは行くのか。。と、哀しかった。
しかし。。ビリーと出会ったことで、明日のことを考えなかったデリンジャーが、異国への高飛びを考えて保守的になったのが運のつき。。みたいな感じも否めないです。
失礼な話だけど、ビリーは↓マンだったのか~?と、つい思ってしまいましたぁ。
でも、本当に愛する女性に出会えて、ジョン・デリンジャーは幸せだったかもしれないですね。
彼女の愛も本物だったんだし。。
「バイバイ。ブラックバード」
デリンジャーからビリーへの、泣けるメッセージでした。
あと、2回くらいは見たいです。登場人物の相関図をもそっと把握したいので。