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2012/06/10
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◆彦根城表御殿 『水無月 狂言の集い』
      2012年6月9日(土) 午後6時半開演
        彦根城博物館 能舞台

大蔵流狂言
★解 説    茂山千三郎
★狂言「磁石」  茂山正邦  松本薫  網谷正美
★狂言「口真似」 茂山千三郎  島田洋海 茂山逸平
★狂言「鈍太郎」 茂山千五郎  茂山茂  茂山宗彦



昨日(6/9)、久しぶりに千五郎さんチの狂言を見に行きました。
一週間前にチケット取ったので、「いい席は残っていないだろうな~」と思っていましたが、最前列の左端が空いておりまして、若干、目付柱で演者が隠れる場合が多少あった事を除けば、ラッキーな場所から鑑賞することが出来ました。

彦根城博物館の能舞台は白洲の部分が野外になっていて、彦根城からの風や匂いを感じながら観賞出来るのが特徴となっています。
見所側は屋内ですが、昨日は雨だったので最前列は雨がかかるのが心配でした。
でも、それほど風もなくシトシト降る雨だったのでその辺は大丈夫でした。
前4列目くらいまでは、上演の時間帯によっては西日が思いっきり射して、まぶしいやら暑いやらで大変です。
そして、夏は蚊などの虫に攻撃されるのでホントに自然の中の舞台って感じで、京都で時折お邪魔する能楽堂とは一味違っています。
昨日も足元には蚊取りマットが置いてありました。
しかし、昨日は寒かった~~。前日は暑かったので、ホントに寒暖の差が激しくって困ります。

さて、うんちくやらつまらん呟きはこの辺にして、感想をば。



■解説   茂山千三郎
切戸口から登場された千三郎さん。見所から拍手が起こる(^_^;)
「水無月。。ですが、雨です。寒いですね。ですが、私は絽の着物を着ています。何故か暗黙の了解のように、6月1日・2日の平安神宮の薪能から絽の着物にみなさん替わるんです。今日のようなシトシト雨は能は風情があっていいかもしれませんが、狂言だと寂し~~い感じになりますね。うちの狂言は180ほど演目がありますが、雨の狂言はありません。雷はありますが、雨は降らない。雨は降っていないのに、突然、雷は降って来ます。
狂言は「構ェ」と言って、独特の立ち方をします。今日も中学校に行ってワークショップをしてきましたが、正しい構ェが出来ない子が多かったです。
腰を落とすんですが、お尻を突きだしたり腰を反ったりしてしまいます。私も狂言始めた最初の頃は腰が決まらず、父によく「ババたれ腰!」と叱られました。ちなみに、「ババたれ」ってわかります? 間に合わずチビッてしまうことですね。 お尻にベチャっとくっつくので、付かないように変な歩き方になります。
腰がキチッと決まっていますと、椅子に座っていてもスッとして、人目を惹きます。いや、直さなくていいんですよ。
今日は「磁石」「口真似」「鈍太郎」の三つを持って参りました。三つとも結構、重い曲です。
まずは「磁石」ですが、狂言にしては物騒な内容で、人買い、人売り。いわゆる人身売買ですね。そんな話になっています。それに、刀で人を斬りつける・・なんてここまであからさまなのはあまりないです。
「鈍太郎」は男にはうらやましい話です。二人の女性にモテています。50分近くかかります。40分以上の曲は10曲くらいですので、大曲と言えると思います。途中、男に「おい!」ってつっこみたくなりますが。
その2つの間に挟まれた「口真似」。こちらは短いです。15分くらい。あっという間に終わってしまいます。
私達もここへ来てから「あ、そういや今日、口真似あったっけ。」って、こんな調子です。
入り口にお知らせが貼ってありましたが、七五三が病気療養中で逸平に変更になっています。ご心配をおかけしておりますが、随分、よくなって来ました。8月頃には復帰出来ると思います。七五三より何倍も元気な逸平が演じてくれると思いますので、お楽しみに。

また、万来の拍手に送られて、千三郎さん、ご退場。



■「磁石」
<あらすじ>遠江の田舎者(松本薫)が都見物をしようと出掛け、ようやく近江の大津あたりに着きました。そこで、見知らぬ男(茂山正邦)に声をかけられ、縁のあるものだと言われます。田舎者は、疑いつつも辻褄が合っているので、男の案内で宿を紹介してもらいます。ところが、そこは人買いの宿(宿の主人:網谷正美)。田舎者は眠っている間に売り飛ばされますが、騙されたと気づき、男の裏をかいて逃げます。気づいた男があわてて追いかけると、田舎者は実は磁石の精だと名乗り、男の太刀を飲み込もうとして・・・。

遠江から京の都へ向かう田舎者さん。ちょっと歩いただけで三河・尾張・江州にたどり着くのは狂言ならではだな。。なんて、わかりきったツッコミを自身に入れながら観光地の様子を楽しく拝聴していました。
「人を騙してすっぱ抜く」のすっぱさんが最後は男にまんまと騙されるというお話ですが、千三郎さんがおっしゃていたように物騒極まりない話ですね。
そんな人身売買の宿が大津の設定とは、近江の国の住人としてはちょっと悲しい。
けど、磁石の精だからその鋼の太刀を呑みたいの~~♪ なんて、展開は狂言らしい。
一歩間違えば、死人が出そうなシリアスな場面であるにも関わらず、クスクス笑える場面になっているから面白いです。
寝転がった松本師の体を上を左右に何度もピョンピョン飛び越える正邦師、次期統領の洗練された所作に目を奪われました。



■「口真似」
<あらすじ>主人(島田洋海)にもらいもののよい酒を一緒に楽しく飲んでくれる人を探してくるように命じられた太郎冠者(茂山千三郎)は、知り合いの男(茂山逸平)を連れて帰ります。しかし、男の顔を見た主人は、酒癖が悪いので仲間外れにされている男をなぜ連れてきたのだと太郎冠者を叱ります。主人は、仕方がないので男を座敷に通すように太郎冠者に命じ、自分の言うとおりにふるまって、余計な事はするなと言います。おもしろくない太郎冠者は、主人の言うことをすべて真似して客に言うようになり・・・。

短いし、ストーリーも先の見える簡単な曲ですが、ホッと息抜き狂言にはピッタリですね。
太郎冠者が千三郎さんなのが、効いているって感じです。
セリフも面白いけど、間の取り方と顔の表情などが豊富で、ホントに効いてましたわ。
千五郎さんチでは当たり前の実名での役呼ばわり。太郎冠者さんの知り合いの名は「茂山逸平」でした(笑)
茂山逸平役でご本人登場~~。はい、もうそれだけで、笑えてしまうのであります。
お酒がよばれられる~と喜んで来たのに、散々な目に遭って、ご退場~。
ちなみに茂山逸平の悪い酒癖というのは、一口飲むと太刀を鞘から一寸抜くのだそうです。
二口で二寸、三口で三寸。あな恐ろしや。そら、嫌われますわな。




■「鈍太郎」
<あらすじ>久しぶりに西国から帰ってきた鈍太郎(茂山千五郎)は、下京の本妻(茂山茂)と上京の愛人(茂山宗彦)のもとをたずねて声をかけますが、二人とも本物の鈍太郎とは思わず、別の男と結婚してしまったと嘘をついて鈍太郎を追い返してしまいます。落胆した鈍太郎は、出家して修業の旅に出ることにします。本妻と愛人は、さっきの男が鈍太郎だったことに気づき、二人で鈍太郎が通りかかるのを待ちます。出家を思いとどまらせようとする二人に、鈍太郎は二人が自分を大事にしてくれるなら、思いとどまると言って・・・。

鈍太郎といえば、故:野村万之介師の不貞な男なのにどこか憎めず、愛嬌ある鈍太郎の姿が目に浮かぶのですが、さすがは千五郎師。万之介師に負けず劣らず、憎めない鈍太郎でした。
三年も便りも出さず、二人の女を放ったらかしにしていたんですから、鈍太郎だと信じてもらえなくて当然ですよね。
しかし、再婚相手が槍使い(本妻)と薙刀使い(愛人)って描写がいいですねぇ。どっちが強いかしら。お互い面識ないけど、こんなところに女の闘いが潜んでいるみたいで。
尋ねてきた男が鈍太郎だと気づいたのは本妻で、愛人に頭を下げて一緒に探しに行ったりしているのに、そういうことも知らずに鈍太郎が本妻に冷たくあしらうのは、ちょっとばかり悲しいです。
男ってほんっとに勝手だな。などと、狂言だということをすっかり忘れて憤慨している私なのでした。
でも、本妻も負けてなくて、鈍太郎に「殿」をつけて囃したてる時に「鈍太郎殿」と言わず、「鈍太郎め!」と言って逆襲~してましたけどね。
萬斎さんチでも、「鈍太郎め!」って言ってたかなぁ。記憶が曖昧。。
でもま、囃しながら鈍太郎を二人の女が手車に乗せて帰るというのは見ていても華やかで、茂&もっぴぃの息の合った手車が見られて良かったな~って思いました。
余談ですが、茂さんの足のハコビがすごく良くて、足元ばかり見つめていた私です。




全体的に千五郎家特有(?)の吉本新喜劇的なアドリブ&爆笑は少ない、狂言中の狂言という正攻法な演目となっていた気がします。
口真似が唯一、爆笑が何度かあったかな。
他のお客さんが「今日はあまり笑う所が少なかったな。」とおっしゃてるのが聞こえました。
どんな場面でも、ひとり大爆笑されているご婦人がいらっしゃって、それが返って笑いを少なくしていた感もありだけど。。

七五三さんは喉に腫瘍が見つかって治療中。千五郎さんも1月に脳梗塞で入院されたりして、ちょっと健康面で不安定な千五郎家だけど、後進の人達が着実に芸を身に着けてらっしゃるのが見える舞台だったな、と思います。






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最終更新日  2012/06/10 11:48:16 PM
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