1364370 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X
2012/11/12
XML
   

『野村万作・野村萬斎 狂言公演』

  2012年11月11日(日)  午後1時開演    びわ湖ホール

 ★解説     野村萬斎
 ★「苞山伏」  山伏:中村修一   山人:内藤連   男:深田博治
                                 後見:月崎晴夫
 ★「川 上」  盲目の夫:野村万作   妻:石田幸雄
                                 後見:岡聡史
 ★「釣 針」  太郎冠者:野村萬斎  主:高野和憲  妻:月崎晴夫
           腰元:深田博治、中村修一、内藤連   乙:岡聡史
                                 後見:石田幸雄


【解説】
時間になり、切戸口から黒紋付きの萬斎さんが登場~。拍手~♪ いつものように、手に公演の冊子を持ってご挨拶。
最初に映画「のぼうの城」のお話から入られました。以下、文章はこんなニュアンスで、って事で解釈して下さい。
最近はテレビに出たりして、お茶の間に顔を出しております。メディアに出て物食ったり、ゲームしたりねぇ。
なかなかテレビの世界も大変だなと思いました。
久しぶりに私の事を思い出したって人もいるようで。メディアに出る事も大切だなと思いました。
映画は水攻めのシーンがあるので、震災に配慮して1年公開が延びました。
1年延ばしたからどうだって事も言えないんですけど、水攻めから復興していくというメッセージもあります。
映画では滋賀で撮ったシーンもあるんですよ。北海道の苫小牧では東京ドーム20個分の所で撮影して、滋賀でもロケをして。
麦踏みや田植えをしているシーンが滋賀で撮ったところです。
(映画の)舞台は埼玉なのに、埼玉では撮ってないっていう。
埼玉の人が映画みて、麦踏みの場面で「ここは埼玉じゃない」とすぐ分かったらしいです。田んぼの後ろに山が迫ってましたからね。
埼玉は関東平野のだだっ広い所なんだから、あんなに近くに山はないってね。
映画をご覧になった方はどれくらいいらっしゃいますか?(観客、挙手)
あ、結構、ご覧いただいてますね。滋賀は映画館が多いんですね。(会場、笑い)
いや、京都よりは多いですよ。京都って、案外少ないのね。
まだご覧になってない方は、是非見て下さい。1回見た方は2回3回と足を運んでいただけたらな、と思います。

今日は「苞山伏」と「川上」と「釣針」をご覧いただきます。
「苞山伏」の「苞」は草がんむりに包むと書きます。「川上」もそうですが、和泉流の占有曲です。
苞とは藁で作ったもので、中食を包んだものです。中食とは中の食と書いて中食です。
こちらでも何か藁に包んだ食べ物はありますか。水戸だとね。納豆を包みますが、鮒ずしを包んだりします? 包まない?
3人の人物が登場して、舞台で寝ちゃうんです。寝ている間に山人が持っていた苞が食べられてしまう。
誰が食べたのか三者三様に言い分が違う、サスペンス仕立てになっています。
芥川龍之介の籔の中はご存じですか。あの中でも、みんな言い分が違うから本当の事はわからない。

「川上」は父の熟練した芸がご覧いただけるかと思います。海外でもたくさん公演しました。イタリア、フランス、ワシントンDC、ニューヨークもあったかな。
最初から目が見えなかったわけではなく、途中で視力を失った盲目の夫が、霊験あらたかな川上のお地蔵さまに目が明くように願掛けに行きたいと妻にいいます。
川上の中にも滋賀が出て来ますよ。近江の国から願掛けに来ている人が出て来ます。
妻は快く送り出します。夫がお地蔵さまに祈ると目が見えるようになります。
ですが、最後は男と女で意見が分かれるかもしれませんね。今日、ご夫婦で来られている方もあるかな。
イタリアで公演した時に、老夫婦が演目が終わった後、そっと手を握り合っていたって話を聞きました。
今日は、照明効果を少し使う演出が入ります。舞台が暗くなったりしますが。。眠らないように。。。(会場をグッと睨む)
最後は静かな余韻を感じて下さい。

「釣針」は婚活の話です。婚活、ね、結婚活動ってことになるんでしょうか。
独身の主が妻がほしいと、太郎冠者と一緒に西ノ宮のゑびす様に願掛けに行きます。西ノ宮のゑびす様というとね、毎年、門から境内を走りますね。一番福を取ったら、福男っていうね。
そのゑびす様から、西門に釣り針を置いておくからそれで妻を釣るようにお告げをもらいます。
ゑびす様はご存じですか? ビールのラベルですよ(笑)  釣り針と海老を持ってますね。
どこでどうやって妻を釣るのか良くわからないですけどもね。泉鏡花の「天守物語」には女性が欄干から釣針を垂らして花を釣るというのがありますが。
ゑびす様からもらった釣針で主の妻を釣って、ついでに自分の妻も釣るのですが、その後は見てのお楽しみです。
謡いも入って、ミュージカルのような演目です。

ではここで、その謡いのレクチャーをしたいと思います。背中をくっつけてると姿勢が悪いので、体を起こして下さい。
では、リピート・アフター・ミーでお願いします。私の後に続けて下さい。
「釣ろうよ~。釣ろうよ~。」「はいっ!」(観客リピート)
(微妙な表情)「リズムが取れてないかな。」(膝を叩いて拍子取りながら)「釣ろうよ~。釣ろうよ~」「はいっ」(観客リピート)
---再度リピート----
これだけなんですけどね(笑)

では、「苞山伏」はサスペンス、「川上」では重厚な、「釣針」はミュージカルと3つの演目をお楽しみ下さい。

拍手万来♪ 萬斎さんご退場~。


【苞山伏】
早朝から山に薪取りにきた山人(内藤連さん)が休んでいると、旅の山伏(中村修一さん)が通りかかり、近くで昼寝を始める。さらに通りかかった男(深田博治さん)は、山人の枕元に置かれた昼食の藁苞を見つけて食べてしまうが、山人の目を覚ます気配に慌てて寝たふりをする。まもなく、目を覚ました山人は、昼食がなくなっていることに気づき、男を起こして問いただすと、男は素知らぬ顔で山伏に罪をなすりつける。あらぬ疑いをかけられた山伏は、真犯人を明らかにすべく祈祷を始めるが。。。


9月に名古屋のござるで、狂言共同社の方で拝見したばかりでまだ記憶に新しい演目です。
共同社は苞を食べる時、お箸もついていて行儀よく食べていたのがインパクトありましたが、深田さんは、そのままむさぼりつくようにガッついて食べていたので驚きました。
まぁ、その方が「人のメシを盗み食い」的な印象を持ちますけどね。
山伏と山人は若手のふたりが、そつなくこなしていて、とても楽しめました。
その中でもやはり深田さんは安定した演技で、二人の良いお手本となっていたのではないでしょうか。
普段は胡散臭い山伏がこの曲では、修業の成果を発揮し、怒り心頭の山人を宥める役所なのが意外であり、ヒーローに見えるから不思議。
でも、山人の怒りを最後まで抑えられないのが、らしいっていえば、らしいかな。



【川上】
吉野の里に住む盲目の夫(万作さん)が、霊験あらたかという川上の地蔵に参詣する。参篭の甲斐あり、早速目が開くが、地蔵のお告げには「連れ添う妻が悪縁ゆえ離別せよ」という条件があった。それを聞いた妻(石田さん)は腹を立て、地蔵をののしり、絶対に別れないと言い張る。それを聞いた夫は。。。


この曲は昨年の京都ござるで見た曲です。盲目の夫が萬斎さん。妻が高野さんという配役でした。
あの時もみなさんが笑っている箇所で笑えなかった記憶がありますが、今回は一段と笑えなかったです。
万作さんのそっとした佇まい。目が開いた時の喜びの表情。そして再び闇が訪れた時の暗澹たる哀しみ。
全身から、万作さんを包む空間から喜び・哀しみが伝わって来て泣けました。
また妻役の石田さんの良いこと、良いこと。
まさか、夫の目が再び暗闇に包まれるとは思わず。しかし、それが現実だと知った時のあの心の底からの悲しみの涙。
目頭が熱くなりました。
萬斎さんが仰っていたように、舞台の照明が明るくなったり暗くなったりで、夫の目が開いたのやら、闇に包まれたのやらが表現されて、感情移入が甚だしかったです。
最後は悲しく切なく残酷で、静かな余韻に浸りながらお幕に入られるのを見送ろうと思っていたのに、早い段階で拍手が起こったのが残念だった。
萬斎さんも余韻を感じて下さいとおっしゃっていたのに。
二人が幕に入られてから、舞台の照明もまた一段と落ちる演出がなされてました。



【釣針】
独り身の主人が、同じく妻を持たない太郎冠者と共に妻を得ようと西宮の夷に参詣すると、西門に置いてある釣針で妻を釣るよう夢のお告げを賜る。太郎冠者は「釣ろうよ、釣ろうよ」とフシ面白くかけ声をかけながら、主人の妻に続いて、数人の腰元、さらには自身の妻を釣り上げる。主人が奥へ入った後、太郎冠者は自分の妻に対面するのだが。。


この曲も、昨年の京都ござるでかかった曲です。もちろん、太郎冠者はあの時も萬斎さんだった。
妻を釣るなんて突飛もないのは狂言らしい話です。それも神様が釣れるように釣針を貸して下さるなんてね。
萬斎さんは楽しそうでしたわ。
どんな妻がいいなか~って、主に聞いているときは、開場の人を吟味してるみたいで、思わず「ハイっ!」って手を挙げそうになった(笑)
萬斎さんの謡いに舞も見られる楽しい演目。自分の妻を釣る時は、もの凄く高い跳躍で会場から「わーー」と声が上がる。思わず拍手してしまいそうになった。
一緒に行った娘も言ってましたが、あれだけ高い跳躍したら着地の時に大音がしそうなもんだが、全然音しなかった。です。
凄い人だね。そりゃ~、水に浮いてる舟のゆれを吸収して踊れる訳だわ。
主人の為に見目麗しい妻を釣ったつもりが、一瞬見たそのお顔は。。「えぇっ?!」このリアクション最高ですね。
そして、自分の妻の顔を見た時のフリーズ型(笑)「花子」の時もこんなフリーズだったな~。
長いフリーズタイム(爆)ちょうど真ん前で見られたのは貴重だわ。
主人の妻、腰元3人、太郎冠者の妻。合計5名の女性の衣装が華やかで、とてもいい笑いで終わる びわ湖ホールの公演でした。



来年は12月15日(日)に昼夜2回公演が開催される予定です。
まだ1年以上先だけど、楽しみが出来ました♪






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2012/11/13 12:14:34 AM
コメント(4) | コメントを書く
[つきうさの舞台鑑賞日記] カテゴリの最新記事



© Rakuten Group, Inc.
X