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カテゴリ:不動産屋話
今日は私が新築分譲マンション販売をしていたときのお客さんの話。
別の担当者のお客様であった。40代後半のご夫婦でマジメなご夫婦だった。 初めての「夢のマイホーム」を購入し、契約も済み、引渡し間近の内覧会(完成したお部屋のチェックの日)でのこと。 内覧会では、主に自分の購入した部屋の仕上がりをチェックしてもらい、気になるところには、ポストイットを手渡し、貼ってもらっていた。 マンションと言っても人間の作ったものだからほんの1~2mmの傷がクロスに付いていたり、建具の端についていたりする。でもお客様は様々なので、それを気づかない(元々気づかないレベルの傷なんかだと)方もいれば、虫眼鏡を持って来る人もいる。そんな方の場合は、お部屋がポストイットだらけで、神社のお札のようになってしまう。 そのご夫婦はそれまでは普通のご夫婦だったが、お部屋は典型的なポストイットだらけになっていた。 あとからわかったことだが、ご主人は気にしないレベルのことでも奥様が気にして貼っていたらしい。 私たちが冷静に第三者として見ても、『ここまでは気にしなくてもいいのでないかな~』という感じのチェックだった。例えて言うなら、ちょっと2回位掃除機でもかけたら出来るだろうという傷まで行かない傷。 でもどうしても奥様が気にして仕方ないので施工業者は掃除を中心に手直しして引渡しを迎えた。奥様もとりあえず納得した。販売の私達とはそこからあまり接点もなくなった。 が、後々聞いた話である。 奥様は入居してからというもの、家の汚れや家族が付けたちょっとした傷、そういったものに神経質になり過ぎてノイローゼになってしまったとご主人が売主に話していた。 入居してからもちょっとした傷(たぶんいつの間に家族が作ったちょっとした傷)も売主にすぐ文句の電話をしてしまい、それをわかっているご主人は、逆に売主に申し訳なくて謝ったりしているうちに、売主とご主人が仲良く飲みに行ったりするようになっていた。 ご主人は、「こっちが具合が悪くなりそうで、離婚を考えている・・・」とこぼしていたらしい。 『夢のマイホーム』をせっかく購入したのに、ちょっと複雑なお話で、切ない気持ちになる私達販売の面々であった。 ★★★ 今思えば、『自分の家を購入する』という人生最大のお買い物に夢と希望や期待で奥様はいっぱいになっていたのだと思う。 でも、そのせいで平穏だった日々が逆転してしまう方もいるようだ。 過度に神経質になるとこうなってしまうみたい。 今頃あのご夫婦はどうしているだろうか・・・。 何ともちょっと切ないのである。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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