リングを表現することは大変だ!
鑑賞日:2008年2月24日(日)14:00開演入場料:¥7,000 C席3階(4列10番)主催:(財)東京二期会、(財)日本演奏連盟東京二期会オペラ劇場平成19年度文化庁芸術創造活動重点支援事業2008東京都民芸術フェスティバル助成公演 楽劇「ワルキューレ」 R.ワーグナー作曲 全三幕 字幕付原語(ドイツ語)上演 会場:東京文化会館大ホール 指 揮 :飯守 泰次郎演出および装置:ジョエル・ローウェルス衣 裳 :小栗 菜代子 照 明 :石井 リーサ明理 演出助手:飯塚 励生 舞台監督:小栗 哲家 公演監督:曽我 榮子、多田羅 迪夫管弦楽 :東京フィルハーモニー交響楽団出演:ジークムント :大野 徹也 フンディング :小鉄 和広ヴォータン :泉 良平ジークリンデ :増田 のり子 ブリュンヒルデ:桑田 葉子 フリッカ :増田 弥生 ゲルヒルデ :林 志保 オルトリンデ :星野 尚子 ヴァルトラウテ:三本 久美子 シュヴェルトライテ:北澤 幸 ヘルムヴィーゲ:吉村 美樹 ジークルーネ :浪川 佳代 グリムゲルデ :田辺 いづみ ロスヴァイセ :平舘 直子感想:強風により交通機関が遅れたため15分遅れで開演。それを見越して早めに上野まで来たのだが、結局は待たされる羽目に。開演前から幕前、舞台中央部分がオケピット側に飛び出し、そこに黒い立方体が置かれている。幕が上がるとそれは1、3幕では井戸であり、2幕は白いテーブル?になり、そこを中心に主役達が歌う。舞台奥の壁の背景の絵が上下、左右に動く、後は照明の効果程度で大道具を使った大がかりな演出は無し。(ジョエル・ローウェルスの「演出及び装置」の装置とはいったい?)よって演奏で魅せる必要があるが、それなりに聞こえては来るもののフォルテ部分で歌声がオケに隠れることがしばしば。オケの方も全体的にはまとまった演奏だったと思うが、終盤管で外れた音が所々聞こえ来て、最終公演でお疲れか。居眠りをすることはなかったが、残念ながら演奏に引き込まれて感動に至る所は無かった。歌手の声量に合わせるようなオケではワーグナーの音楽は表現出来ず、オケにかき消される歌声ではオペラにならない。ワーグナーは大変である。リングは神が自らの契約に縛られて思い通りにならないストーリーで、そもそもの設定に無理を感じるが、神→人間に置き換えて捉えるものなのだろう。リングの矛盾に満ちたストーリーをそれなりに聞き手に納得させるには、例えばワルキューレ1幕の兄妹間や3幕の父娘間の長時間に渡るの愛の語らいの音楽表現が決め手であり、その出来次第で聞き手に感動を呼ぶか、退屈で居眠りをさせてしまうのかが決まるのでしょう。新国立では2008-2009と2009-2010の2シーズンかけてリング全4作が再演されるので一応期待。やっぱりバイロイトへ行かないとだめか。End