アンドレア・シェニエは主役3人が揃えば
鑑賞日:2010年11月21日(日)14:00開演入場料:¥2,835 D席3階(L2列)【主 催】新国立劇場新国立劇場2010/2011シーズン公演ウンベルト・ジョルダーノ作曲歌劇「アンドレア・シェニエ」(イタリア語上演/字幕付) 会場:新国立劇場オペラ劇場指 揮:フレデリック・シャスラン演出・美術・照明:フィリップ・アルロー衣 裳:アンドレア・ウーマン合 唱:新国立劇場合唱団管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団出演アンドレア・シェニエ:ミハイル・アガフォノフマッダレーナ:ノルマ・ファンティーニジェラール :アルベルト・ガザーレルーシェ :成田博之密 偵 :高橋 淳コワニー伯爵夫人:森山京子ベルシ :山下牧子マデロン :竹本節子マテュー :大久保 眞フレヴィル :萩原 潤修道院長 :加茂下 稔フーキエ・タンヴィル:小林由樹家令/シュミット:大澤 建感想: 日本では余り上演されない作品であり、2005年の再演とのことで、秋を飛び越して冬の冷え込みが続く中、少し暖かい日差しに恵まれて初台まで出かけた。 舞台上には幕の代わりに白のスクリーンが全面に張られ、音楽と伴に宮殿が映写される。そのスクリーンが左右に開くと、斜めの白い板が左右にあり、そこにも宮殿が映される。この後も、舞台上の斜めの板が回転し、照明と映像を使い、途切れることなく場面展開される(様子は新国立HP写真で)。 各幕終わりは幕の代わりに白い斜めの板が舞台上部から降りてくるが、ギロチンの象徴なのでしょう。 休憩は1回で、1幕と2幕、3幕と4幕の幕間は小太鼓の音に合わせ白いスクリーンにギロチンが映写された。また当時の絵画を意識した設定で2幕ではドラクロワの「民衆を率いる自由の女神」が表現されていた。3幕老婆(マデロン)が革命で戦死した子供の代わりに孫の少年を差し出す場面の後に、舞台中央に沢山の墓場の十字架が並んだ場面ではハットさせられた。白が基調の舞台で、衣装も白色が中心。よってフランス国旗より目立つ。 本作品が余り上演されない理由の一つとして、タイトルロールの歌声に高音、技巧が要求されるため、歌いきれる歌手が少ないことも上げられるが、シェニエ役ミハイル・アガフォノフは有名なアリア1幕「ある日、青空を眺めて」、4幕「五月の晴れた日のように」含め見事に歌い上げていたと思う。多少一本調子の様にも聞こえたが、これだけ輝かしい声で歌いきれれば十分でしょう。 マッダレーナ役ノルマ・ファンティーニは、新国立アイーダで表現豊かな声を覚えているが、ラストの二重唱含めボリューム的に少々大変な所も見受けられたが、P部分の表現は相変わらず素晴らしかった。ジェラール役アルベルト・ガザーレも3幕アリア「国を裏切る者」含め、存在感のある声だった。 日本人歌手もベテラン人で揃え抜けが無く、中でも老婆マデロン役竹本節子のアリアには思わず込み上げるものがあった。 管弦楽は東フィルのいつもの唐突な金管の爆発音はあったものの、全体としては淀むことなく、歌手との息も合っており、指揮者の功績と言えるでしょう。 今年のオペラ鑑賞はこれで終わり。新春の新国立、大野和士指揮「トリスタンとイゾルテ」が今から楽しみだ。End