東京二期会「カヴァレリア&道化師」は指揮、ヒロイン、演出が良い
鑑賞日:2012年7月14日(土)14:00開演入場料:\5,000 D席(5階L2列)【主催】(財)東京二期会二期会創立60周年記念公演東京二期会オペラ劇場マスカーニ作曲歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」(全1幕:イタリア語上演/字幕付)レオンカヴァッロ作曲歌劇「パリアッチ(道化師)」(全2幕:イタリア語上演/字幕付)会場:東京文化会館 大ホール指揮:パオロ・カリニャーニ演出:田尾下 哲装置:幹子 S.マックアダムス衣裳:小栗菜代子照明:沢田祐二合唱指揮:佐藤 宏演出助手:家田 淳舞台監督:村田健輔公演監督:多田羅迪夫合唱:二期会合唱団管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団出 演:カヴァレリア・ルスティカーナ サントゥッツァ:清水華澄 トゥリッドゥ:大澤一彰 ルチア:池田香織 アルフィオ:松本 進 ローラ:澤村翔子パリアッチ(道化師) カニオ:片寄純也 ネッダ:高橋絵理 トニオ:上江隼人 ベッペ:与儀 巧 シルヴィオ:与那城 敬 感 想: カヴァレリアと道化師のヴェリズモ・オペラの公演。清水華澄さんの歌声を楽しみに三連休初日、真夏日の中、上野の東京文化会館まで出かけた。 息を切らせて階段を登っていつもの5階席へ。舞台は既に幕が開き、十数席の椅子がランダムに置かれている。左右の壁は斜めになり前後の間に隙間があり、2部道化師の最後まで使われる。 指揮者登場で前奏曲が始まると子供達が出てきて、座った後に椅子を片付けてしまう。物語は演奏前から続いていると言ったところか? カヴァレリアは衣装は原作19世紀シチリアの設定だが、椅子、机、絨毯程度の道具のみで、合唱団の動きと照明で、教会や酒場を表現。最期の決闘は酒場の長机の上で行い、切られた所で長机を回転させ、サントゥッツァがすがり付いて幕と分かりやすい。 道化師の方は1960年台のテレビ局との設定。劇団が飛行機のタラップから降りて来たり、ベッペがエレキギターを掛けエルビス・プレスリーの衣装で登場したりと面白い。最期はテレビ局舞台上で斬り合って3人が倒れ、観客席からトニオが「喜劇は終わりだ」と言って幕。 演出の田尾下哲は2000年から欧州、新国立のオペラ初め、ミュージカルも演出で活躍中。東大建築学科卒業とのことでTVスタジオの観客席は舞台ギリギリのサイズで回転させており確かに建築的か。 演奏の方は、2部ともどんどん音楽が進む中で、強弱は大きく、またテンポも的確に変化させ、東フィルとは思えない演奏。欧州で売れっ子の指揮者カリニャーニの功績が大きいのでしょう。 歌手の中では、カヴァレリアのサントゥッツァ役の清水華澄と道化師のネッダ役の高橋絵理が存在感のある歌声で演技含め素晴らしい。テノールも高音が多いのだが、トゥリッドゥ役の大澤一彰、カニオ役の片寄純也とも日本人としては良く歌えていた。その他の歌手も出来が良く、オーディションで選んだだけのことはある。合唱も演技含め良かった。 オケ、歌手、演出が揃い、料金分以上に楽しむことが出来た。 東京二期会は11月に大隅智佳子、清水華澄が揃って出演する「メデア」が予定されており、今から楽しみだ。End