フェニーチェ劇場「椿姫」はヴェルディの世界を満喫
鑑賞日:2018年05月5日(土)19:00開演入場料:180EUR(StallA 1階B列) 【主催】フェニーチェ劇場フェニーチェ劇場2017-2018シーズン歌劇「椿姫」ヴェルディ作曲全3幕(イタリア語上演/イタリア語&英語字幕付)会場:フェニーチェ劇場指揮:フランチェスコ・イヴァン・チャンパ演出:ロバート・カーセン舞台装置&衣装:Patrick Kinmonth振付:Philippe Giradeau管弦楽:フェニーチェ劇場管弦楽団合唱:フェニーチェ劇場合唱団合唱指揮:Claudio Marino Moretti<出演>ヴィオレッタ:フランチェスカ・サッスアルフレード:マッテオ・リッピジェルモン :ジュリアン・キムフローラ :Elisabetta Martoranaアンニーナ :Sabrina Vianelloガストン子爵: Enrico Ivigliaドゥフォール男爵:William Corroドビーニ侯爵:Matteo Ferraraグランヴィル医師:Francesco Milanese <感想> はじめてのイタリア旅行をGWに計画、ローマ近郊でオペラ公演を探したが、ローマ歌劇場は公演がなく、フィレンチェ五月音楽祭はヒンデミット「カルディヤック」で観たことなくパス、ヴェネチアのフェニーチェ劇場で「椿姫」「愛の妙薬」公演があり、ヴェルディ作曲初演の劇場でもある「椿姫」に決定。 フェニーチェ劇場は2回の火災を経て建て直されたホールで現在の建物は1996年火災から2003年に再建されたもの。入り口は小さいものの、中に広がっており、客席は、5階席まであり1,000人収容となっている。 ロビーは豪華シャンデリアの飾り付けがあり、客席の壁も絵が書かれ、間には金色の装飾が施され、日本ではお目にかかれない内装。特に2階席中央の装飾は豪華。ホールに入っただけで夢の世界にいるよう。 今回平土間(プラテア)のオケピットから2列目中央の席。座席は日本のホールのような連続席ではなく、個別の椅子席を固定してるもので、座り心地良く、幅も広め。 開演前のオケの音出しでは、トランペットのワルキューレの騎行や夜の女王のメロディーが聞こえてきたのはイタリア人のサービス精神か。 旅行会社経由のインターネット予約でチケットもプリントアウトしたものをそのまま入り口で見せ難なく入場。プレミエとのこともありダークスーツ、ドレスの方が多いが、観光地のためか、Gパン、シャツ、スニーカー姿のお客もちらほらいる。 当方は黒スーツにネクタイ、山の神は黒っぽいドレスでスーツケースに詰め込んで来て良かった。 字幕は舞台の天井付近にイタリア語と英語で表記される。 演出は売れっ子のロバート・カーセン。時代設定は現代となっており、2幕2場のジプシーの踊り、マタドールでは、銀色カーボーイ衣装姿のビキニ女性とマッチョ男性が現れセクシーなダンスとなった以外は、特に目立った読み替えなく、原作通りの物語の流れになっており解りやすい演出。 時間通りにチューニング、指揮者入場で序曲へ。最初の消えるようなバイオリンから徐々に大きくなり、後半はテンポよく、これからの物語に期待をもたせる演奏。指揮者フランチェスコ・イヴァン・チャンパは36歳だが、ヨーロッパ各地でオペラを指揮し、近年来日も多く、昨年のパレルモ・マッシモ劇場来日公演、2016年新日フィルの第九も振っている。 オケピット舞台側正面に穴がありそこへ常設のカメラを設置、舞台左右客席側面のモニターにその指揮が映し出されいる。途中のバンダも指揮しており、舞台裏にもモニターがあるのでしょう。 アリアでの伸ばし等、歌手へも細かく指示を出していることがよく見えた。 舞台上の歌声がよく届く。オケも大編成でないものの、よく聞こえて来る。 歌手皆さん素晴ら良い。特にタイトルロールのフランチェスカ・サッスは、1幕2場の超高音のアリアでも、叫び声や無理に押し出す声でなく、透き通るような歌声でよく響いていた。34歳、容姿も素晴らしく、下着姿で正しく椿姫の雰囲気。コンクールの優勝経験もあり、これからも、ヨーロッパ中で歌っていくのでしょう。 アルフレード役マッテオ・リッピ、ジェルモン役ジュリアン・キムもよく歌えており、合唱もズレなく素晴らしかった。 音楽全体は途中緩むこと無く早いテンポの中でも、ダイナミックが大きく、遅い部分はメリハリを付け、終始音楽が流れ、ヴェルディの世界を表現していたのは、イタリアの劇場、イタリア人指揮者、イタリア人歌手(ジェルモン除き)だからでしょう。 本演出は公演回数も多く、演技含め手慣れている感あり。歌手は違っても、同じ劇場で上演を繰り返すことで、完成度高くなってきた音楽のように感じられた。音楽だけで言えば、1853年の初演から165年間も演奏されて来たことになるわけで。 はじめての海外オペラ鑑賞でしたが、劇場含め、素晴らしい音楽を感じることが出来た。機会があれば、ぜひ、イタリアの他の劇場へも行ってみたい! End