オペラ夏の祭典2019-20「トゥーランドット」は全てが揃って!
鑑賞日:2019年7月14日(日)14:00開演入場料:5,400円(E席4階L2列) 【主催】(財)東京都歴史文化財団(東京文化会館)オペラ夏の祭典2019-20 Japan→Tokyo→World歌劇「トゥーランドット」プッチーニ作曲全3幕(イタリア語上演/日本語・英語字幕付)会場:東京文化会館大ホール指 揮 :大野 和士演 出 :アレックス・オリエ美 術 :アルフォンス・フローレス衣 裳 :リュック・カステーイス照 明 :ウルス・シェーネバウム演出補 :スサナ・ゴメス舞台監督:菅原 多敢弘合唱指揮:三澤 洋史管弦楽 :バルセロナ交響楽団合 唱 :新国立劇場合唱団、藤原歌劇団合唱部、 びわ湖ホール声楽アンサンブル児童合唱:TOKYO FM少年合唱団出演:トゥーランドット:イレーネ・テオリンカラフ :テオドール・イリンカイリュー :中村 恵理ティムール :リッカルド・ザネッラートアルトゥム皇帝 :持木 弘ピ ン :桝 貴志パ ン :与儀 巧ポ ン :村上 敏明官 吏 :豊嶋 祐壹感想: 「オペラ夏の祭典2019-20 Japan→Tokyo→World」は、大野和士氏が総合プロデュースとなり、東京文化会館と新国立劇場が、2020年に向けて、初めて共同制作を行い、日本を代表する各地の劇場と連携して2年に渡り展開する国際的なオペラプロジェクト。 新国立劇場の音楽監督に留まらず、どんどん大きなプロジェクトを立ち上げて行くのは大野和士氏らしい。その1作目を観に、あいにくの梅雨空の下、上野まで出掛た。 客席は満席。幕が開くと、舞台は上部まで左右、奥が灰色の壁に囲まれ、その壁には網の目の様に階段が付けられている。 舞台下手の上部から官吏の告示、民衆の合唱から始まる。合唱はプロ3団体で100人越える。更に三方の壁が反響板となって、大迫力の歌声が客席に届く。またTOKYO FM少年合唱団も壁の中段付近に並び歌うことで、歌声が良く届いた。 王や王女の登場場面では、舞台上部から灰色の部屋が降りてきて宮殿との位置づけ。衣装は黒っぽいものがほとんどで、宮殿内の高貴な人々が白で、全体的に暗い。 オケは大音量なるも、バランス良く、ダイナミクスも大きく、全体的に明るくメリハリのある演奏。3幕冒頭のカラフの有名なアリア「誰も眠ってはならぬ」は、原作通り拍手の間を空けずに続けて演奏された。 歌手はタイトルロールのイレーネ・テオリンが、素晴らしい高音で最後まで歌い切り、新国立劇場でのリングを思い出させた。カラフ役テオドール・イリンカイ、ティムール役リッカルド・ザネッラートも大音量のオケの中でも良く聞こえてきた。歌う部分が少ない割に目立つリュー役の中村恵理は、感情の入った歌声で素晴らしかった。 問題の3幕ラストは、プッチーニのト書きとは異なった演出になっていたが、それなりに納得できる内容になっていた。(これから多くの公演があるため記載は省略) 歌手、オケ、合唱、演出と全てが揃い、大変素晴らしいオペラになっており、さすが大野和士氏プロデュース! 来年は、同プロジェクトでワーグナー「マイスタージンガー」が既に予定されており、今から楽しみ。End