ロイヤル・オペラ「ファウスト」は題名役の降板で残念な結果に
鑑賞日:2019年9月22日(日)15:00開演入場料:16,000円(F席3階14列) 【主催】(財)日本舞台芸術振興会・日本経済新聞社英国ロイヤル・オペラ来日公演歌劇「ファウスト」グノー作曲全5幕(フランス語上演/日本語字幕付)会場:神奈川県民ホール・大ホール指 揮 :アントニオ・パッパーノ演 出 :デイヴィッド・マクヴィカー再演監督:ブルーノ・ラヴェッラ装 置 :チャールズ・エドワーズ衣 裳 :ブリギッテ・ライフェンストゥール照 明 :ポーリー・コンスタブル再演振付:エマニュエル・オベヤ管弦楽 :ロイヤル・オペラ管弦楽団合 唱 :ロイヤル・オペラ合唱団出演:ファウスト:ヴィットリオ・グリゴーロ →ゲオルギー・ヴァシリエフメフィストフェレス:イルデブランド・ダルカンジェロマルグリート:ソーニャ・ヨンチェヴァ →レイチェル・ウィリス=ソレンセンワグナー:ジェルマン・E.アルカンタラヴァランタン:ステファン・デグージーベル:ジュリー・ボーリアンマルト:キャロル・ウィルソン女性プリンシパル・ダンサー:メーガン・グリフィス男性プリンシパル・ダンサー:ヤセット・ロルダン感想: 今年一番楽しみにしていたロイヤル・オペラ「ファウスト」公演。来日公演に歌手の変更はよくあることで、本公演も当初マルグリート役のソーニャ・ヨンチェヴァが、2月に変更とのアナウンスがあったが、E,F席発売前だったため、タイトルロールのグリゴーロを楽しみに、3月ネット発売日にどうにかチケットを確保。 来日後の記者会見や東京公演での良好な感想書き込みを見て、すっかり安心して、当日朝、念の為開演時間を確認するためNBSのHPを開いた所、配役変更の通知が・・・。 一変に気分が重くなり、台風が近づく空模様の中、ラクビーWCで外国人グループを大勢見かける関内を通り抜け、山下公園そばの神奈川県民ホールへ向かった。 ホール入口、ロビーには配役変更の掲示がされ、開演前にロイヤル・オペラ関係者から変更の説明があった。HPや掲示は「急な体調不良から」と書かれていたが、9/18まで3公演、元気に歌っていた訳で、関係者の「急用があり」が正しいのでしょう。急用の詳細な説明はなく、本人は既に帰国済みらしい。これが英国本国やスカラ座、メットだったら汚点になるものの、ぞれだけ日本公演キャンセルは軽いことなのでしょうね。 すぐに代役を立てられたのも、事前の準備があり、主催者側は折込済みだったのでしょう。 気分を取り直し、オペラを楽しむことに。ベルリオーズ「ファウストの劫罰」やリスト「ファウスト交響曲」は公演を聞いたことがあるが、グノー「ファイスト」は日本では公演機会少なく、メットのライブビューイングでカウフマン主演で見たのみで、初めてのオペラ公演鑑賞になる。 5幕ものだが今回第1幕から3幕、4幕と5幕を連続演奏し、休憩は間の1回のみ。それだけ音楽に集中して聞くことが出来た。また場面毎に舞台装置入れ替えあるものの、幕間の転換も短く、演出も素晴らしい。 途中のバレエも、物語と関連付けた演出となっており、違和感なく楽しむことが出来た。 オケもゆっくりした所、スピーディーに畳み掛ける所、各楽器のソロも完璧で素晴らしい。特に金管がFFになっても、ただ大音量でなく、ふくよかに聞こえるのは、日本のオケには無い所。歌手とのテンポ、バランスもよく、指揮者の功績でしょう。 合唱も、影歌が多く、聞こえづらい所もあったが、兵士の合唱などピタリと揃い、流石でした。最後の天使の合唱も素晴らしかった。 歌手は、メフィストフェレス役のダルカンジェロが、ただの悪役でなく、ニヒルな歌声に聞こえるところが格好良い。マルグリート役のレイチェル・ウィリス=ソレンセンは、よく高音まで歌え声量あったが、声質が少々暗めな所が残念。題名役のゲオルギー・ヴァシリエフは、よく高音が出ていたものの、声量が少なく、オケに消えてしまう所も。特にメフィストフェレスやマルグリートと重唱となると、ほとんど聞こえてこない状況。 カーテンコールでは、一人ブーイング入っていましたが、本人には気の毒ですが、致し方なしでしょう。 これで題名役がグリゴーロだったら・・・。End