河原忠之《水戸 de Opera!》は素晴らしい歌手の良いとこ取りで!
鑑賞日:2020年02月24(月・祝)16:00開演入場料:4,000円(F列) 【主催】(財)水戸市芸術振興財団河原忠之の《水戸 de Opera!》Vol.3ドン・ジョヴァンニ~モーツァルトとドイツの歌曲&アリア~会 場:水戸芸術館 コンサートホールATM出演:佐藤美枝子(ソプラノ)林美智子(メゾ・ソプラノ)望月哲也(テノール)黒田博(バリトン)種谷典子(ソプラノ)河原忠之(ピアノ、おはなし)曲目<第1部>ドイツ歌曲からR.シュトラウス:アモール(佐藤美枝子)R.シュトラウス:眠りにつくとき(4つの最後の歌より)(林美智子)マーラー:別離と忌避(望月哲也)シューベルト:魔王(黒田博)ドイツ・オペラの名アリアR.シュトラウス:「ナクソス島のアリアドネ」より“偉大なる王女様”(佐藤美枝子)R.シュトラウス:「ばらの騎士」より “あなたはすばらしかった、とても!そして今も!”(林美智子)ワーグナー:「ローエングリン」より“はるか遠い国に”(望月哲也)コルンゴルト:「死の都」より“あこがれと空想はよみがえる”(黒田博)<第2部>モーツァルト:「ドン・ジョヴァンニ」ハイライト“カタログの歌”(レポレッロ)“お気の毒なお方、信用してはなりません”(四重唱)“窓辺のセレナード”(ドン・ジョヴァンニ)“恋人を慰めて”(ドン・オッターヴィオ)“あの恩知らずは私を裏切り”(ドンナ・エルヴィーラ)“おっしゃらないで、愛しい方”(ドンナ・アンナ) ほか ドンナ・アンナ:佐藤美枝子 ドンナ・エルヴィーラ:林美智子 ドン・オッターヴィオ:望月哲也 ドン・ジョヴァンニ、レポレッロ:黒田博 ツェルリーナ:種谷典子<アンコール>モーツァルト:「ドン・ジョヴァンニ」より“フィナーレ”モーツァルト:「コジ・ファン・トゥッテ」、「フィガロの結婚」より“フィナーレ”感想: ピアニスト河原忠之氏が企画のコンサートで今年で3回目。第1回イタリア、第2回フランスに続き、今回はドイツがテーマ。一流の歌手を集めてオペラはモーツァルト「ドン・ジョヴァンニ」を取り上げるとのことで、水戸芸術館まで出掛けた。 2階席はクローズで約600席のホールで7割程の入り。マスク姿が多く、コロナウイルスの影響で来られない人もいるのか。 時間となり、客席暗転、河原忠之氏がマイクを持って登場。まずは歌手とドイツ歌曲4曲の紹介があり、名歌曲を4人4様で歌い上げる。 やっぱり耳が行ってしまうのがピアノ伴奏。歌手にピッタリ合わせるのは無論のこと、伴奏だけの部分での曲の強弱、テンポの揺れは素晴らしく、シューベルトの「魔王」は黒田博氏の豊かな歌声もあり物語が十分に伝わってきた。 女性歌手達を舞台に呼び、これから歌うオペラアリアの紹介があり、R.シュトラウスの2曲が歌われる。佐藤美枝子さんは超絶高音コロラトゥーラを完璧に歌い、林美智子さんはオクタヴィアンの若々しさを表現。 続いて男性歌手を呼び、同じくオペラアリアを紹介。望月哲也氏のワーグナー、黒田博氏のピエロの歌も絶品。 15分程休憩を挟んで第2部はモーツァルト「ドン・ジョヴァンニ」にからハイライト。種谷典子さん加えた5人が女性陣は華やかな衣装に変えて登場。各人より「ドン・ジョヴァンニ」だけでなくオペラに関する話があり。最も驚いたのは佐藤美枝子さんがモーツァルトでは「魔笛」と「後宮からの逃走」しか歌ったことがなく「ドン・ジョヴァンニ」は今回始めてとのこと。 各アリアの前には河原忠之氏の場面紹介が入り、アリアが歌われる。最初のカタログの歌の前では、ドン・ジョバンニが各国でものにした女性の人数の足し算のクイズが入り、当てた方に出演者サイン入りのマスクのプレゼントで会場を和ませる。 歌手の皆さんはただ立って歌うのではなく、歌詞に合わせた動きが入る。表現豊かに歌われるので、思わず頭の中で、場面設定を想像して聞くことが出来た。“お気の毒なお方、信用してはなりません”の四重唱では、客席奥の扉からドンナ・エルヴィーラ役の林美智子さんが登場し、舞台上のドン・ジョヴァンニに訴えかける様子が表現される。ドンナ・アンナ役の佐藤美枝子さんは、初めてとは思えない落ち着いた歌唱で超高音コロラトゥーラを歌い上げるのはさすが。 カーテンコールの後のアンコールは「ドン・ジョヴァンニ」の“フィナーレ”で、よく響くホールの中での5人の歌声の音圧と迫力のピアノ演奏に圧倒された。 拍手は鳴り止まず、更に「コジ・ファン・トゥッテ」、「フィガロの結婚」も“フィナーレ”が連続して演奏される大サービス、あっという間の2時間半に満足して帰路へ。 東京もなかなか見られない一流歌手を集めてのオペラコンサート。来年のテーマはロシア?オーストリア?と今から楽しみ。End