新国立「トスカ」は主役、指揮者が揃って素晴らしい
鑑賞日:2021年1月31(日)14:00開演入場料:5,544円(C席 4階3列)【主催】(財)新国立劇場2020/2021シーズンオペラ『トスカ』プッチーニ作曲全3幕(イタリア語上演/日本語及び英語字幕付)会場:新国立劇場オペラパレススタッフ指 揮:ダニエレ・カッレガーリ演 出:アントネッロ・マダウ=ディアツ美 術:川口直次衣 裳:ピエール・ルチアーノ・カヴァッロッティ照 明:奥畑康夫管弦楽:東京交響楽団合 唱:新国立劇場合唱団、世田谷ジュニア合唱団出演トスカ :キアーラ・イゾットンカヴァラドッシ :フランチェスコ・メーリスカルピア :ダリオ・ソラーリアンジェロッティ:久保田真澄スポレッタ :今尾 滋シャルローネ :大塚博章堂 守 :志村文彦看 守 :細岡雅哉羊飼い :渡邉早貴子感想 緊急事態宣言が再度発令下、スカラ座出演の指揮者、主役歌手達が早期来日、隔離期間を経て出演とのことで、販売停止の直前にチケットを入手し、初台へ向かった。 入り口の来場者カード提出、体温測定(案内ルートが短く改善)、手の消毒、自身でのチケット半券モギリ、チラシピックアップはこれまで通り。 本公演は1階前3列除き空席設けず販売していた所に、緊急事態宣言のが再発令。その段階でチケットが50%以上販売済みだったため、その後の販売を急遽中止。客席は4階はほぼ満席。Z席分は販売無く空席。1階、2階に所々空席が見られた。 今回の演出は2000年がプルミエで、当方は2009年に鑑賞済み。演出家のアントネッロ・マダウ=ディアツは2015年に亡くなっている。オーソドックスで豪華な舞台装置。特に1幕の聖堂外側から瞬時に聖堂内に切り替わり豪華な祭壇が登場、3幕で地下牢と塔の上が上下に入れ替わるのが鮮やかで、オペラパレスの舞台装置に合わせて作られた、劇場を代表する演出と言えるでしょう。 歌手は期待通りの素晴らしい歌声。タイトルロールのキアーラ・イゾットンは声質としては少々暗めだが、場面に合わせて歌い方を次々に変える。1幕でのカヴァラドッシへの愛情と嫉妬心、2幕スカルピアとの憎悪のやり取り、3幕の不安な心境からの最期の悲しみの表現がその歌声だけで伝わるところが凄い。 カヴァラドッシのフランチェスコ・メーリはよく通るテノールの歌声。高音にも余裕があり、弱音でも十分に飛んでくる。「妙なる調和」「星は光りぬ」でも、一本調子にならず、歌詞の内容に合わせた歌声に変えていく。拍手は鳴り止まず、コロナ過でなければ盛大な「ブラボー」が飛んだでしょう。 スカルピア役のダリオ・ソラーリは、明るめのバリトンの声で、容姿も良く、悪役に見えないが、2幕でのトスカとの掛け合い重唱では、恐ろしさが表現出来てきた。 オケのテンポは早くなく中庸。アリアの所はテンポを落とし、歌手に十分に歌わせる。さすがイタリア人指揮者。 合唱は、児童唱含め良い。1幕「テ・デウム」は迫力満点で、2幕カンタータの影歌もきっちりと歌っており素晴らしかった。 まだまだ続く新型コロナ感染で世界中のオペラ劇場が公演中止となる中、イタリアの素晴らしい指揮者と歌手を揃えて、豪華な演出でオペラを鑑賞することが出来たのは、新国立劇場の関係者皆さんのご努力の結果と言えるでしょう。 次の公演は「フィガロの結婚」。今回スカルピア役のダリオ・ソラーリがフィガロを歌うようで、今から楽しみ。End