藤原歌劇団「トロヴァトーレ」はバランス良く楽しめた
鑑賞日:2022年1月30日(日)14:00開演入場料:2,500円(E席/5階 R2列)【主催】(財)日本オペラ振興会、(社)日本演奏連盟2022都民芸術フェスティバル参加公演藤原歌劇団公演歌劇「イル・トロヴァトーレ」ヴェルディ作曲全4幕(イタリア語上演/日本語字幕付)会場:東京文化会館大ホールスタッフ指 揮 :山下一史演 出 :粟國 淳総監督 :折江忠道美 術 :横田あつみ衣 裳 :増田恵美照 明 :大島祐夫舞台監督:齋藤美穂合唱指揮:安部克彦合 唱 :藤原歌劇団合唱部管弦楽 :東京フィルハーモニー交響楽団出演レオノーラ :西本真子マンリーコ :村上敏明ルーナ伯爵 :上江隼人アズチェーナ:桜井 万祐子フェランド :相沢 創イネス :髙橋未来子ルイス :工藤翔陽 ロマの老人 :江原 実 伝 令 :濱田 翔 感想 新型コロナ・オミクロン株の流行で「まん延防止等重点措置」が出されている中、藤原歌劇団の新春公演を聴きに上野まで出掛けた。 アクシデントを予想し、早めに移動し、開場時間にはホール到着。入り口の「本日の出演者」掲示に変更なくまずは一安心。 13:15分からの作品解説は総監督の折江忠道さんが登場。何時もの大声で、コロナ禍での準備、練習の苦労状況を聞くことが出来た。 客席は1階席両サイド、3階席に空席が多く、都民芸術祭で安価に設定されているE席にも空席が見られ6~7割程度でコロナの影響大。 1幕と2幕は連続して演奏され、途中休憩は2回。幕が開くと舞台前面の左右5m程は上までの壁で、中央部分を囲むように舞台装置を配置。 場面に合わせ、階段や扉、木々等が配置され、奥に大きな月が映される。 事前の作品解説でコロナ対策で人の動きを制約して演出するため、舞台上を狭くしたとのこと。また左右と奥の上部に人が並べるようになっており、そこに合唱が加わり、距離を取った上で歌、演技をしていた。 3幕フィナーレのマンリーコのカヴァレッタ「見よ、恐ろしい炎を」では、奥の壁が3箇所開いて、赤い照明とともに兵士たちが登場し盛り上がる演出に。 4幕レオノーラのカヴァティーナ「恋は薔薇色の翼に乗って」で、途中指輪の中の毒を飲む場面で、舞台奥の月が赤色に変わるなど、歌に合わせた演出が取られていた。 以前本作品を鑑賞した際は、4幕が呆気なく終わってしまう印象だったが、今回3幕フィナーレと4幕で音楽のテンポ、ダイナミクスを大きく変えるオケの演奏と、演出も加わり、違和感なく4幕を理解することが出来た。 歌手の方は、レオノーラのビブラートが大きく音程が不明瞭な部分があったり、マンリーコが途中で音が届かなくなった所もあったが、全体としては各役を歌えていた。 有名なマンリーコのカバレッタ「見よ、恐ろしい炎を」ではハイCが出ていたので良かった。1幕フィナーレの三重唱はバランス、テンポも良く、ヴェルディらしさを感じることが出来た。 歌手の中ではアズチェーナ役の桜井万祐子が恐ろしさを感じさせるよく通る歌声で素晴らしかった。 合唱は残念ながら全員マスク装着、「見よ、恐ろしい炎を」の男声合唱は少々迫力不足に。 コロナ禍のオペラ公演、準備、練習、演出等、ご苦労も多かったかと思われれるが、その中でオケ、歌手、演出がバランス良くまとめられた公演だった。End